東部黒海地域の旅・・アルトゥヴィン YUSUFELI
今回の旅行では、アルトゥヴィン県に散在する知り合いを訪ねましたが、その移動がいかに時間がかかり大変なものかは知る由もありませんでした。舗装されていない細い山道をほぼオフロードで移動するとなると、たった30kmに2・3時間かかってしまったりするわけです。今回私達はグルジア国境から迎えにきた友人の住むARHAVI(ほぼリゼ県境)に行き、そこからHOPAに逆戻りでARTVINに向かい一泊し、翌日YUSUFELI,その翌日にSAVSATに向かいました。こんな移動だと、トレッキングもできるはずがありません。(トレッキングには少なくとも2・3日必要です)なぜもっと長く日程を見積もらなかったのだというブーイングを浴びつつも、知り合い友人達の心からのもてなしにより、短いながら精いっぱい色々なところに連れて行ってもらい、滞在を満喫できました。とにもかくにも感謝感謝です。アルトゥヴィン県の地図(Artvin)北側がグルジア。東は黒海。東南部はリゼ、南部はエルズルムとの県境があります。【道路事情と景観】グルジアBatumi→Sarp→HOPA→ARHAVI右手に黒海を望みながらの移動。約40分。海岸沿いの幹線道路なので移動も非常に楽で迅速。HOPA→ARTVINここから内陸に向かうにつれ、標高が高くなり険しい山道が続く。道路は舗装されているが、曲りくねり、長いトンネルなどを通過。移動は約2時間。ARTVIN→YUSUFELI絶壁を登ったり下ったりのローラーコースターのような移動。途中まではダムの続く嫌な景色でうんざりだが、YUSUFELIに近づくにつれ遠方にKackar山脈と左手に渓流が望める。移動は約2時間だが途中でダムの工事に当たると、しばらく行き止めを食らう。YUSFELI→YAYLALAR(イスマイルさんのペンション)ここからの山道は一本道のオフロードサファリ。一寸先は崖の下。車体もガタガタ揺れ、生きるか死ぬかという感じ。ただし、車窓からの眺めは素晴らしく、黒海の秘境に踏み入る醍醐味を感じる!途中にはいくつか古い教会も散在し、訪問可能。移動には2時間はみたほうがよい。Yusfeli。上流に行くにつれ、川の水が本当に綺麗になる!!流れは速いけど・・ARTVIN→SAVSATARTVIN十字路からは高い岩壁が右手にそびえる雄大な眺め。道路状態も悪くはなく、約45分でSAVSATに着く。*****************************YUSUFELI YAYLALARユスフェリの高原地にて・・・アルトゥヴィンといっても広く、ユスフェリといっても広い。地名だけを頼りにたどりついても、そこがイメージしていた目的地点に似ても寄らないただの田舎町にすぎないという誤算が起こりかねない。そこからどうやってカルデラ湖に行くのか、山に行くのか、谷を降りるのか。それは地元の人に聞くしかない、地元の人に連れて行ってもらうしかない。そこで、ユスフェリの高原滞在をオーガナイズしてくれるお勧めペンションをご紹介。ISMAIL ALTUNAY PENSIYONイスマイル・ アルトゥナイ ・ペンションADRESS:Hevek Yaylasi Yusufeli /ARTVINTEL:0466 822 2001ismail@kackar3937.comオーナーのイスマイルさんは政府の研修事業で日本に来たことがあります。寡黙でもの静かな、非常に心の優しい人です。この村に生まれ、この村に育ち、そしてこの村を世界で一番愛する男。家族経営の小じんまりとしたペンションはこ綺麗で居心地良いです。ここでトレッキング、登山、ヘリスキー、ラフティングなんでもアレンジ可能です。Altunayファミリー(左がイスマイルさん)世にあまり知られてもいない、こんな辺鄙なところに、日本人旅行客や団体さんなどが来るはずもありません。しかし、その質素なペンションには、なぜか欧米人が沢山・・!私達が訪問した時にはドイツ人の自然愛好家グループが滞在していました。彼らは毎年一度ここにやってきてしばらく滞在するリピーターなんだそう。「世界でここにしかない植物がある。ここは本当に比類なきパラダイスだ。」ある時は植物観賞やバードウオッチングを目的とするグループ、ある時はトレッキングや高山ハイキングを目的とするグループ、ある時はヘリスキー愛好家などのグループ、特色ある欧米の富裕層が口コミでここにやってきます。イスマイルさん達は彼らのような特別な顧客だけで十分だと言います。目的を持ってここまで来るだけあって、非常に教養のある立派な人達が多いそうです。彼らは笑顔で滞在し、部屋を綺麗に使用し、環境に気を使い、人々に敬意を持って振舞い、そして何も言わなくても十分すぎるほどのお金をおいてゆくのだそうです。それはもちろん、イスマイルさん達への満足度の表れでしょうが、物事の対価を理解しているごく稀な人々、その人間性の豊かさの表れとも言えます。もし、ここがアクセスの容易な場所だったとしたら、ゴミを平気で高原各地に捨てたまま帰ってきたり、1リラでも値引きさせようと喧嘩ごしで口論したり、あらゆる部屋の備品を盗んでしまうような旅行者も来るのかもしれません。そういう意味で、秘境に身を置くことのメリットを彼ら自身が一番良く認識しているのです。「私達は貧しくても幸せで、この自然豊かな郷土を愛している」そしてイスマイルさん達のところは、食事もとても美味しいこれはカフカス・スタイル・ディナーアフタヌーンティーみたいなものです。テーブルの上に、あらゆるチーズ、ジャム、ペースト、蜂蜜、オリーブや野菜の前菜が置かれ、お茶と一緒にいただく。皆土地の食材で、お母さんの手作りで、食べ過ぎてしまうほど美味しいのユスフェリはできれば最低3日は滞在したいところ・・・。トレッキングで高原の美しい自然を堪能し、数々の教会を訪れることもできる・・・。旧グルジア教会跡・・・こんな山奥に、古くから文明が息づいていたなんて…感動です!大規模ダム建設計画がこのまま進めば、今あるYusufeliの市街がすべてなくなってしまいます。美しい川の流れは大きく変貌し、生態系にも影響を与えることでしょう。それでもYusufeliの人々はそんなこと危惧しないかのように平穏としており、のどかに、ゆっくりとした時間が流れてゆきます。また同じところに来れるかわからないけれど・・はるばる来て良かった、そんな神聖な場所・・。