高校化学の教材;分子と結晶模型の「ベンゼン屋」

2021/03/02(火)17:17

エネルギー源としてのアンモニア③アンモニアの貯蔵と輸送

授業(163)

(1)電力の貯蔵技術 発電所で作られた電力は作りっぱなしで、電力網で各地へ調節(大電力が必要な地域には多く)されて送られています。 ついでのはなしですが、 各家庭には40Aとか60Aのブレーカーがありますが、これは電力会社と契約すると「この電流まで発電し、保証しますよ」という契約を結んでいるのです。 いくら家庭で節電しても、電力会社は契約分発電しているので、社会全体のエネルギー消費量はかわりません。 そうはいっても、発電しても社会で使われなかった電力を貯める方法があれば無駄になりません。 ​NIES環境展望台:電力貯蔵技術​  一度発電した電力をムダにせず、必要なときに効率的に利用できるように、 充電・放電を繰り返す工夫が電力貯蔵技術です。  上の図は夜間に電力消費が少ないとき、電力を貯めておいて、昼間の需要が多いときに送り出そうという考えです。  現在、実際に使われているのは「揚水発電※」ですが、その他にも研究が進んでいます。 主な用途の「負荷平準化」が上のグラフの「エネルギーの貯蔵」「放出」にあたります。 ※揚水発電 ​揚水発電の仕組​ (2)アンモニアの貯蔵と輸送  CO2フリー(二酸化炭素を排出しない)水素の生産は可能になりつつあります。 しかし、  水素H2の沸点はー253℃で貯蔵や輸送に困難、さらに金蔵容器では水素脆化(水素により金属がもろくなる)が起こります。 一方、  アンモニアNH3は、常圧(1atm)でー33℃、20℃では8.5atmで液化します。 すでに、アンモニアは世界中で2億トンも作られていて、貯蔵と輸送技術は蓄積があります。 そこで、エネルギーの貯蔵・輸送にアンモニアを使うことが研究されています。 (水素やその他のエネルギーキャリアとあわせて研究されている)   さて、後はエネルギーをできるだけ使わずにアンモニアを合成するかが問題です。 ハーバーボッシュ法では500℃、200atm(Fe系触媒)です。これでは、原料の水素H2が得られても合成だけでエネルギーを使ってしまいます。 このアンモニアの合成法については次回の記事で紹介します。 関連した記事 ​エネルギー源としてのアンモニア①人類を再び救うか ​​→2021/2/28ブログ ​エネルギー源としてのアンモニア②アンモニア発電​→2021/3/1ブログ

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