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現行犯逮捕をせず、微物鑑定(繊維鑑定)で合理的に有罪に
容疑者の手についた繊維成分を調べる「繊維鑑定」が決め手になり、電車内で女子高生の下半身を触った男が、犯行から2カ月半後に警視庁に強制わいせつ容疑で逮捕された。痴漢は現行犯逮捕が一般的で、繊維鑑定はこれまで公判上の物証として利用されてきた。鑑定結果をもとにした逮捕は異例という。満員電車での痴漢捜査は目撃者らの証言に頼ることも多いとされ、関係者は「逮捕前の“ミクロの証人”ともいえる繊維鑑定の活用は、新たな手法になるだろう」としている。 逮捕、起訴されたのは埼玉県越谷市の会社員(61)。被告は1月29日午前7時半ごろ、東武伊勢崎線西新井~北千住駅間の電車内で、埼玉県内の女子高生(17)のスカートの中に手を入れ、下半身を触ったとされる。 千住署は被告が否認した上、目撃情報などが得られなかったため、現行犯逮捕は見送り、任意で捜査。容疑固めの一環として、採取した手と指の付着物を警視庁科学捜査研究所での鑑定に回す手法を試みた。 その結果、被告の指から採取した繊維が女子高生の下着の繊維と同種と確認され、犯行から約2カ月半以上経過した4月18日、逮捕にこぎつけた。北岡被告は逮捕後も否認しているという。 警視庁は全国の警察でも比較的早い平成9年から痴漢の捜査に繊維鑑定を導入している。 逮捕後に容疑者が否認している場合に実施しており、同種の繊維が検出されれば裁判の有力な物証になった。逆に検出されなければ、慎重な捜査が必要となり、冤罪防止の有力な“武器”となっている。 警視庁によると、都内を走る電車内の痴漢被害件数は16年は約2200件と8年間で約3倍に増えた。女性警察官の増加などで被害者の泣き寝入りが少なくなってきたのが一因とみられるが、9年は1件だけだった繊維鑑定も16年117件、17年192件、昨年326件-と増加している。 肌質や汗の有無などで個人差はあるが、一般的に、繊維は軽く触っただけでは付きにくい。素材や色、形状などの組み合わせは膨大で、同一とは断定できないが、「『類似』との鑑定結果が出た場合、その精度は非常に高い」(捜査幹部)。痴漢で無罪判決が相次いだこともあり、冤罪防止の観点からも繊維鑑定の重要性は大きい。 捜査幹部は「痴漢はすべて摘発されるわけでなく、泣き寝入りしている被害者は依然多い。否認する容疑者も少なくなく、繊維鑑定は今後は逮捕前の捜査でも、必要不可欠な手段になるだろう」と話している。 ----------------------------- 痴漢冤罪事件に詳しい荒木伸怡・立教大法学部教授(犯罪社会学)の話 「痴漢捜査では、被害者の思い込みだったり、客観的証拠がないまま、現行犯逮捕されることがあった。供述だけに頼らないためにも、繊維鑑定などで、捜査に客観性をもたせることは望ましいことだ」 ----------------------------- 【繊維鑑定】 痴漢捜査では容疑者の手に、被害者の衣類と同種の繊維が付いていないかを調べる。「鑑識採証テープ」と呼ばれる特殊なテープで両手の指の表裏、手のひらと甲から付着物を取り、顕微鏡などで素材や色などを比較する。素材は綿、絹など10前後、色は最大1000以上に分類。形状は星形やフルーツ形などメーカー特有のものが多い。 ----------------------------- (産経新聞Web 2007/5/17) 問題のある現行微物鑑定(繊維鑑定) ~太さが1.5倍も違う繊維を「非常に類似している」と!? しかし、現行の微物鑑定(繊維鑑定)は手放しで賞賛できるレベルのものではない。 微物鑑定が証拠として提出された97年痴漢冤罪、いわゆる「長崎事件」では、「繊維鑑定書」では被疑者の手から採取された200本の繊維のうち、10本が痴漢をされたとする女子高生の下着と同じポリエステル製であり、「非常に類似している」との鑑定結果が添えられた。 しかし、被疑者と弁護人が私財を投げ打って民間の研究機関、大学、下着メーカーなどに改めて繊維の鑑定を依頼し、調査した結果は「繊維の太さが45%も違う」「別の衣類の繊維である可能性が極めて高い」というものだった。 ポリエステル繊維の太さが1.5倍も違うということはどういうことか? 旭化成で繊維の開発に従事した経験のある友人に聞いたところ「繊維の太さが変われば下着にせよ、上着にせよ、厚みも通気性も変わってくる。特にポリエステル自体は吸水性が乏しいので、下着であれば用途や季節が別と考えていいだろう」とのことであった。 そのため、裁判所もさすがに「鑑定結果は結局不明」として証拠採用を取りやめた。 さて、結局この裁判は証言の信憑性のみが争われたが、女性が「痴漢の手も腕も見ていない」、「手をつかんでいない」と証言しているにも関わらず、第一審および控訴審は「男性は手を払われた(あるいは掴まれた)瞬間に『すみません』と痴漢を認める謝罪の言葉を発した」ことをほぼ唯一の決め手として有罪とした。 被疑者男性と弁護人は「例えば満員電車の中で肩やカバンがぶつかった(と女性が誤認している)時に、事実を争うよりとりあえずは謝意を示してその場を収め、無用なトラブルを避けるためのごく一般的な発言」と主張したが受け入れられなかった。 私見だが、このような「とりあえずゴメン」は、人によって「やってもいないのに」「そんなこと知らない」と決してしない人も確かにいるが、トラブルを避けることが国民性と言っていい日本では、そういう対処をする人が多いのは顕著な事実といって差し支えないかと思われる。 事実、男性は手を引いて電車から連れ出そうとする女性に対し、意図がわからなかったので「すみません?」と呼びかけけたと証言しているが、裁判所はこの「すみません」も「痴漢を認めた謝意の言葉である」と認定(誤認)した。 もはや和を重んじる国民性などとは言ってはいられない。 身に覚えのない痴漢の嫌疑をかけられたら、問答無用で「手をいきなり掴んでなにをする!何もしていない人様を確かめもせず痴漢呼ばわりとは無礼な!」と一喝しなければならないということだ。 また、満員電車で女性に体の一部が触れても決して「すみません」などと軽い気持ちで謝ってはいけない。 司法はそのような発言は男性が痴漢行為を認めたと解釈するとこの判決は教えている。 どうしても謝りたければ、周囲の乗客にも伝わるように「いま、つり革を持とうとしたとき肘が貴女の腕に当たりましたが、わざとではありませんのでご容赦ください。」などと内容を明確に、大きな声で伝えるしかないのだろう。 少なくとも、こんな裁判官が人を裁いているこの国では・・・。 【重要なポイント】 ・痴漢犯罪においての現行犯逮捕はすべての場合に必要でないし、現行犯逮捕が「人権制限行為」である以上、どうしても必要とする場合にしか行ってはならない。 ・そもそも逃走のおそれなど合理的な理由無くして現行犯逮捕はできない。 過去記事参照:痴漢冤罪対策マニュアル ~もし貴方が痴漢に間違われたら… ・痴漢と間違われた男性は、容疑を否認した上で、微物鑑定(繊維鑑定)を希望し、不当勾留を避けることが、真の痴漢を逃さないためにも、冤罪の被害者を増やさないためにも重要である。 ・微物鑑定は痴漢捜査のいまだ1~2割の案件でしか実施されておらず、仮に犯行を素直に認めた案件が半数以上と考えても、認知度があまり低い。 ・女性と男性の人権を守り、痴漢被害も痴漢冤罪も減らすためのこのような捜査を、全国の警察もすぐに導入するか(大阪府警などが導入済み)、外注鑑定ができる体制を整えるべきである。 ・現行の微物鑑定(繊維鑑定)は精度が低すぎるため、真の犯罪を証明するのではなく、冤罪を構成するための証拠となる可能性がある。 全国警察はこれが人の人生を左右する重要な証拠となることを認識し、鑑定の精度を高めるための努力を惜しまないとともに、必要な人員の配置を行うよう勤めるべきである。 ・我々国民は、痴漢被害者の泣き寝入りを防ぎ、冤罪被害者の発生を防止する科学捜査を充実させるために、血税が使われることを承認する姿勢を示すべきである。 最後に新聞記事では「千住署は被告が否認した上、目撃情報などが得られなかったため、現行犯逮捕は見送り、任意で捜査」とあるが、千住署のこのまともさを高く評価したい。 おそらくは被告人が駅員室への同行を拒み、現行犯逮捕に至らなかったのだろうが、それが法治国家というものだ。 検察が明らかに嫌疑不十分な状態で起訴し、無能で非常識な判事がとりあえず有罪にする。 物覚えはいいが、人間性、有能性に欠陥のある法曹たち。 そういう司法側の信頼性を失わせる状態で痴漢えん罪が次々と生まれている中、行政側(警察)に常識と法治国家の誇りが残っているのは国民として喜ばしい。 さらに、科学的信頼性では不安の残るものの、人証よりはるかに信頼できる物証をもって逮捕に至ったのだ。 これぞ警察の面目躍如といったところだろう。 千住署に拍手。 長崎事件など痴漢冤罪に関する書籍 裁判官はなぜ誤るのか Stop!痴漢えん罪 ~13人の無実の叫び なぜ痴漢えん罪は起こるのか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009/09/27 01:44:57 AM
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