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カテゴリ:水のメモ
☆まず、タイトルは記事の内容を強調したもので、ブックオフコーポレーションを非難したり貶めたりする意図ではないことをお断りしておきます。

記事を読んでいただければ、私が浅慮ながらブックオフ(というより古本業界全般)の繁栄を願っていることをご理解いただけるかと思います。


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○5万円の本、大手古本チェーン店で600円・・・

一昨年だったか、部屋を整理していてたくさんの本が出てきたので、古本屋に売りに行くことにした。

小説から雑誌まで50冊あまり、購入価格にして5万円以上はあったろう。

まず、近所に新しくできた古本大手チェーン店にもってくと驚きのスピード査定と超低評価だった。
査定時間はたった10分ほど、買い取り価格は600円足らずだった。

経験上、数千円と踏んでいた私は、あまりに安い査定にも驚いたが、査定明細を見てさらに驚いた。

なんと!!私の本は状態・価値や相場価格などお構いなしに、種類とサイズだけで査定されていたのだ!?

たとえば新書・B6サイズなら全部10円、単行本マンガは全部5円という具合だった。

さらに、古い本は「買取不能」となっていた。
絶版になっているとはいえ、ヤフーやAmazonならプレミア価格で売れる本なのに・・だ。

対応してくれた20代とおぼしき店員は「処分されるのなら引き取りますが・・・」という。
タダで引き取って売るのは目に見えていた。

その時、古本チェーンで最大の成功を収めているブックオフが、こういった「超簡易査定法」を作って、アルバイトにも古本の査定ができるようにし、日本最大手の古本屋になった理由が実感として分かる気がした。

仕入れ(原価)が安く、販売価格がそれなりなら利益率は高くなる。


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○小さな古本屋で600円→10,000円に買取額アップ

だが、ビジネスモデルに感心しても、買取価格があまりに安いのはもちろん面白くない。

大手チェーン店を出て、段ボールいっぱいの本をまたトランクに載せ、町の小さな古本屋に持っていった。

店主のお爺さんは「数が多いからちょっとお時間を頂きます。よかったら、お電話しますから後日いらしても・・」と言った。
私が「いや本も見たいので」というと「では、立ち読みでもして待っていて下さい」と言って、本を一冊一冊めくりながら丁寧に査定を始めた。

私はお目当ての小説を探しながら、こんな小さな店なのに、先ほどの大手チェーン店と同じ本(その時は海堂尊や伊坂幸太郎の本が目に付いた)の値段が安いことが不思議だった。

あと、比較的最近の本やベストセラーに混じって、レアな本、古い本などが多いことが大手チェーンと違うと感じた。

30分ほどしただろうか、店主が私を呼んだ。

「珍しい本もあって、本当はもうちょっと頑張りたいのだけど、不景気なのでこの値段でお願いできませんか?」

お爺さんから申し訳なさそうに提示された価格は10,000円を少し超えていた。

先ほど「買取不能」とされたレア本には500円の値段がついていた。

その他、稀少で状態のよい本ほど高値がついていたのが、買取価格を押し上げたようだった。
(私は昔買った本でもブックカバーをあまり外さず、本棚でも日焼けしない)

同じ本を持っていって、600円から10,000円にアップなのだから、断る理由はない。

快く本を売って、そのお金で、新しく数冊の古本を買って帰った。


-------------

○良心的な古本屋が一軒、また一軒・・

この経験の後、私はつくづく思った。

「二束三文の本はチェーン店に、価値のある本は古本屋に持っていこう」と。

その後も、マンガや中古で買った安い本はまとめてチェーン店に「捨てに」行き、ハードカバーや状態がいい本は古本屋に持っていった。

幸い、大手、個人店どちらも近所にあるので、私は随分得な売買をできたと思う。

余談ながら、Amazonで本を売るということもやった。

これは、それなりに高値で売れるのだが、毎日PCを開いているわけではないので、注文メールに気付くのが遅くなり、相手に迷惑をかけたことがあり止めてしまった。


さて、私の本を高値で買い取ってくれた古本屋が、去年いっぱいで閉店した。

本の価値をよく分かり、マンガも大衆誌もハードカバーも、的確に査定してくれる店だった。

買うにしても大手チェーン店より安く、読み終わって手元に置いておくつもりが無ければ、売値の1/3~1/5の価格で再買取してくれる、有り難い存在だった。

店主がご高齢だからという理由だったが、稼業を引き継ぐ人がいなかったのか?

なんにしても、とても残念だ。


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○古本の価値がどんどん下がっている?

さて、私がこの記事を書こうと思ったきっかけは「書店数が10年で29%割減少、県によっては半減」「本の販売、2兆円割れ確実。20年前の水準に」という報道(ともに朝日新聞)を知ったからだ。

原因は活字離れ、週刊誌など雑誌の不振、Amazonなどネット書店の台頭、大型店舗への集約化などいろいろ指摘されている。

これは通常書店の話で、古本屋の場合はまた少し事情が違うが、好ましいことではない。

古本屋については(個人的な推測の域を出ないが)「古本市場のデフレ化」が進んでいる気がするのだ。

デフレとはいうまでもなくモノの価値が下がることだ。

実感として、ここ数年、古本の買取、販売価格とも下がり、体力のない町の古本屋さんがバタバタと倒れている。

そればかりか、快進撃の出店を続けてきた大手チェーン店も、古本デフレに苦戦を強いられている様子だ。

古本最大手チェーンのブックオフコーポレーション(3313.t)の売上高は、ここ10年間まったくの右肩上がりで2002年246億円から2009年605億円に倍増している。

しかし、ブックオフが全国展開を加速する中、純利益は近6年、10億円前後でうろうろしている。

つまり「売上は上がったが、いっこうに儲かってない」のだ。
(私はいまのブックオフの株はとてもじゃないが買えない・・)


-------------

○古本業界も読者もみんな損する「古本デフレ」

そこで元の話に戻る。

古本業界の不振原因はいろいろあろうが、私は一つに古本の価値が下がった・・・デフレ化しているのが原因だと思う。

私の想像話を、本に限定して、シンプルに言えばこうだ


1.大手チェーン店が古本相場を下げる(買取価格、販売価格ともに下げる)
     ↓
2.これまで高値買取してきた古本屋が経営難、倒産
     ↓
3.大手チェーン店に古本が集まる、買取価格さらに下がる
     ↓
4.古本の買取で、新しい本を購入していた消費者の財布が寂しくなる
     ↓
5.消費者が新刊、古本ともに購入しなくなる
     ↓
6.大手チェーン店はさらに販売価格を下げる、利益を出すために買取価格も下げる
     ↓
   1に戻る


まるで、古本のデフレスパイラルのような格好だ。


この古本デフレが終わらず、古本相場が下がったままだと、体力のない町の古本屋はバタバタ倒れ、大手チェーン店も自ら首を絞めるごとく大手同士の削り合いで苦しくなる悪循環だろう。


しかし、逆風の中でも、地域の人に信頼され、適正価格の買取で頑張っている町の古本屋さんがまだ残っている。

私は、こういった「町の古本屋さん」が業界も消費者も苦しめる古本デフレ打開の鍵を握ると思う。



-------------

○賢明な消費者が古本デフレを止める

古本デフレは手持ちの本の価値も下げる。

それは、あなたの資産価値が下がるということだ。

当然だが、古本デフレで、古本を多少安く買うことができても、高く売ることができなければ、トータルで損をしている。

・街の本屋で本を500円で売り、400円の古本を買えば+100円。
 さらにその本を200円で売れば+300円

・大手チェーン店で本を50円で売り、400円の古本を買えば-350円
 さらにその本を50円で売ると-400円


同じように本を売り買いしているのに、方やプラス、方や大幅マイナス。

同じ古本屋でも随分な差がつく。これが現実だ。

なのに、私たちがこういった当たり前の「損」に無頓着になってしまうのは、本を買う→売るの間に時間的ギャップがあるため、なかなか大損に気付きにくいからだろう。


これを打開する根本的解決策は一つしかない。

自他ともに得をする「賢明な消費行動」だ。

本を読む人が、賢明な消費行動「高く売って、そこそこの値段で買う」を繰り返せばよい。

大手チェーン店より町の古本屋さんの方が高いというイメージを持つ人も多いが、経験上そんなことはない、だいたい同じ値段だ。

大手チェーン店の数倍、場合によっては10倍以上の値段で買い取ってもらい、別の古本を買えばいい。

古本屋さんも儲かる、あなたはもっと儲かる。


つまり、「本を売るならブックオフ」に恨みはないが、CMをもじって言えば

「本を売るなら町の古本屋」

「本を捨てるならブックオフ」


ということだ。


要するに、クズ本は一律査定の大手チェーンに、価値ある本は適正査定の町の古本屋さんに持ってゆく。

結果的に、大手チェーン店は雑誌などの他、CD、DVD、ゲームソフトなども手がけ、量で商売するだろう。

町の古本屋さんは、買取査定の強みを発揮し、大手には集まらない良書・レア本を集めて質で商売するだろう。

このような棲み分けが作られ、さらに大手チェーンと町の本屋さんが穏便にけん制しあい、消費者は漁夫の利でお得な売り買いをする。

(繰り返すが、大手チェーンでも個人店でも古本の値段は似たり寄ったりだ)

これが、消費者にとって最も理想的ではないだろうか?


本の適正価格が形成され、買値、売値の削り合いが終われば、古本デフレが終わり町の古本屋さんも大手チェーン店も業績が回復するだろう。

もちろん、こんな単純な話で古本デフレが終わるとは思えないが、小さくない一石を投じることにはなるのではないだろうか。


そして、それは巡り巡って人々の読書人生を充実したものにするだろう。


全国古書籍商組合連合会

古本店仲間

古本店- Yahoo!電話帳





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最終更新日  2010/02/07 08:47:22 AM
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