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テーマ:集団的自衛権(9)
カテゴリ:ニュース
2014年7月1日。
日本の国防政策が転換を迎えたかもしれないその日、私の地元の駅には
「憲法9条を守れ」「日本を戦争できる国にするな」「打倒・安倍内閣」
といった手作りのプラカードやのぼりを手にした20人ぐらいの人がシュプレヒコールを上げていた。
帰宅時間帯のサラリーマンや学生、主婦たちは目を合わさないように、いやな物でも避けるように足早に過ぎ去ってゆく。
女子高生3人組が「ヤバイ、ヤバイ」とくすくす笑いながら彼らに見つからないよう写真を撮っていた。

その女子高生3人組が突然、手を叩いて爆笑した。
ハンディマイクでいかに平和が大事かを呼びかけていた50代ぐらいの男性が、高ぶったのか、早口言葉のように「平和!平和!平和!へいわぁぁぁぁぁ~!」と最後は声を裏返して絶叫したからだ。
私も思わず笑ってしまった。

その少しほのぼのとした光景を見ながら、森達也の「世界が完全に思考停止する前に」という本の内容を思い出していた。

このおじさんは、この人々は、まさに森達也が言っているとおりに完全に思考停止していた。
森達也の本は処分してしまったのだが、要するに、大勢に流されているときは人間は思考停止している。独りで立ち止まって考えるべきだという主張だった。
鋭い指摘だ。この人達は、夜なべしてプラカードを作り、仲間とケータイで打ち合わせをし、街角に立って「平和」と叫んで、そのあと、居酒屋で気炎を上げていれば、何も考えなくてよいのだ。
たぶん、新聞に煽られ、戦争を前のめりに受け入れていった、昭和の人々もそうだったのだろう。
好戦が反戦に変わっただけで、本質はなにも変わっていないのだ。

鬼籍に入った小室直樹の「新戦争論―“平和主義者”が戦争を起こす」という本がある。

いま、絶版で入手困難だが、その内容のダイジェスト版は「日本人のための憲法原論(痛快!憲法学の再編)」の中にもあるので、興味のある方はそちらを読まれたい。
日本人のための憲法原論 [ 小室直樹 ]

日本人のための憲法原論 [ 小室直樹 ]
価格:1,944円(税込、送料込)


小室直樹は、「平和とは均衡状態のこと」と説明している。
当たり前すぎて拍子抜けするのだが、実は多くの人が正しく理解していない非常に重要な指摘だ。

たぶん、駅前にいた9条信徒の中では”平和”の理解はこうだ。
「日本が平和を望んで、中国や韓国も平和を望んでいること」
だから、中国や韓国の意にそぐわない日本の対応にピリピリしている。
「尖閣諸島は日本固有の領土」とか「竹島は戦後、韓国が不法占拠した」などと指摘されると、非常にナーバスになる。
日本人が中韓に腹を立てたり、中韓がより反日的になることを恐れている。
なぜなら、そうすれば、必ず戦争になると信じているからだ。
だから、日本人に「中国を好きになれ、韓国を好きになれ、平和のためだ」と強要する。

だが、小室直樹はそれは違う(念力主義だ)という。
小室に言わせれば正しい平和の定義はこうだろう。
「日本と中国が、お互いに相手を攻撃する理由か実力がない状態」
平和とは、両国の事情でたまたまそうなっている不戦状態のことだと小室は説明している。

それはとてもよく分かる。
「相手を攻める理由もないし、負けるかもしれないから攻めない。相手もそうだったら、相手も攻めてこない。それが平和だよ」
こう説明すれば、たぶん、小学生でも分かる。

だが、「日本の方だけが、相手を攻めるつもりがなくても、それは平和じゃないんだよ。相手次第なんだよ」
という当たり前の説明が理解できない人たちは、どうしても「平和=不戦状態」であるということを理解できない。
敵国同士が核兵器を持っていることが、こうも明確に不戦状態を作り出している事実を知りながら、目を背ける。
そんなのは平和じゃない。平和は優しいのだと。
そして、ひたすら念じる。
「平和!平和!平和!へいわぁぁぁぁぁ~!」と。
平和を願うのはいい。
だが、平和を実現しようとするならば、努力しなければならない。
平和への努力とは、平和と100万回叫ぶことではない。
なぜなら、中国には中国の事情があるのだ。
武力に訴えてでも、東・南シナ海を確保したい事情が。
平和と100万回唱えて、中国が攻めてこなくなるという幻想を抱いているとしたら、それはあまりにも中国に無関心だし、中国をバカにしすぎている。

いま、中国は、一党独裁の共産主義政権が、資本主義を導入したために、社会システムにひずみが出てしまい、非常に大変だ。
だから、尖閣に触手を伸ばす。資源、権益が欲しいのだ。
一方で、急速なスピードで自衛隊に対抗できる軍事力も付けてきている。

中国と日本の間の不戦状態(=平和)をできるだけ長く続けるためにはどうすればよいのだろう。
日本が持つ資源や権益を欲する中国の欲望は止めることができない。
それはどこまで行っても中国の都合にすぎないからだ。
残すは軍事力のバランスが崩れ、中国に勝てると思わせないことだろう。
そのためには、アメリカはもちろん。東南アジア諸国とも強力な連携を保つことが大事だ。
そして、その間に中国暴走エンジンのガソリン・・・経済を細らせて体力を失わせれば、不戦状態は長く維持されるだろう。

日本と中国の情勢を正しく理解し、均衡が崩れる場所を素早く手当てする努力が必要だ。
「集団的自衛権は、保有すれども行使できず」という、どの国の憲法学者に説明しても首をひねられてきた珍妙な憲法解釈を見直し、世界基準で当たり前の憲法解釈に訂正する流れも、また必要な手当てなのだろう。

平和は優しくない。
平和は現実的で厳しい。

それは、非常に微妙なバランス・・・国家の駆け引きによってなんとか維持される。
そして、その駆け引きのおかげで、私たちは何事もない日常を送ることが出来ていることに、9条信徒は気付いてくれないだろうか。

英首相チャーチルが「平和主義者どもが戦争を起こした」と吐き捨てた気持ちが分かる、駅の光景だった。





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最終更新日  2014/07/02 03:22:59 AM
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