1969年製のオリンパス-35SP、このカメラを愛用している人は未だに相当多くいるようで諸先輩のホームページでも使用記録などよく見かけることができます。60年代の国産カメラは今となっては傑作といえる機種が各社から産み出されましたが、これはオリンパスが60年代の最後に送り出した力の入った傑作カメラです。
露出制御は、今で言うところのプログラムAEとLV(ライトバリュー)読みとりのマニュアルそしてフラッシュマチックが使えます。勿論、ネーミングの元となったスポット測光が出来るのが大きな特長です。スポット測光はAE、マニュアルのどちらでも作動します。明暗差の大きい被写体って結構多くあるもので、露出に迷ったときは強い味方になってくれますよ。
ファインダーは像も大きく明るくて見やすく歪みのまったくない高級なもので、距離計の二重像は今でも非常にクリアーです。唯一パララックスを補正してくれないのが残念な点ですかね。後に出てきた「DC」にも明るいf1.7のF.Zuikoレンズが奢られているが、これだけの明るい良いレンズを生かすのであればプログラムAEだけでは勿体ないですよね。
ファインダー上部に表示されるLV値を銅鏡の速度ダイヤルに移行させ撮影していくのはなかなか楽しい作業です。速度と絞りの両リングを同時に回すこと で、今で言うところのプログラムシフトができるのでついつい開けようか絞ろうかと真剣に考えながら撮影してしまいます。このカメラを使う時、いつもマニュアルで使っていると自然と目がLVメーターになっていて露出計のないカメラを使った時でも結構カンで露出が分かるようになります。人間の目というのも案外正確に使える露出計なんですよ。 昔のお父さんはみんな自分の眼球露出計で写真を撮っていたんですものね。
「大の大人が露出ごときでビビるな!」と申しておきましょう。日中の日向順光なら、ISO100、1/250 、f.11でどんな場面でもちゃんと撮れているはず、ましてネガフィルムなら露出が2段位ズレていても広いラチチュードを有している富士フィルムなら、なんとか絵にはしちゃいます。
さて、ボディに目をやるとファインダー窓右横にフィルム感度調整用の採光窓があります。軍艦部右端の感度調整ダイヤルを回しながら、その小窓を覗くと小さな4枚の絞り羽根が巧妙に開閉し採光面積を変えるのが見えます。こうゆうメカがダイレクトに見えるところも、このカメラを触っていて楽しめるところですね。
12年ほど前、オリンパスサービスに点検のためメンテに出したのだが、受け取りに対応してくれた50歳代の修理担当の方がメンテ内容を詳しく説明してくれた後、「これは、いい機械なのでいつまでも大切に使ってください」と思い入れのある表情で渡されたのを思い出しました。当時でもすでにデジタルカメラの展示場のようになってしまったオリンパスのサービスセンターで、「いつまでもこんな40年前のカメラ使っていないで、早くデジカメに替えたら」という表情を予想していたので、少し意外でオリンパスという会社の物づくりの姿勢を垣間見たような気がしたものです。
この35SPは一言でいって、格好いいカメラ。鏡胴とボディとのバランスが絶妙で、どの角度から見ても寸分の隙もないくらい美しいでしょう。特に軍艦部正面 のレイアウトが秀逸。左右が段違いになっていて、ファインダー側が一段下がって、大きなファインダー窓をさらに強調している。このあたりが、カメラ好きの 人たちに強くアピールする心憎いデザインで、ついそそられてしまうんですね。
OLYMPUS-35SPの主な仕様
発売年度・価格 | 1969年 24,800円 |
レンズ | G.ZUIKO 42mm f1.7(5群7枚構成) |
シャッター | SEIKO FLA No.00 B・1秒ー1/500秒 |
露出計 | CdSメーター搭載プログラムEE及びマニュアル
画角20度の平均測光と6度のスポット測光が選べる |
焦点調節 | 距離計連動直進繰り出し |
ファインダー | 採光式ブライトフレーム、倍率:0.7倍 |
大きさ・重さ | 幅129・高さ76・奥行き61mm 600g |
シャッター速度設定リング端の切りかきがLV表示。
ここにAを表示させ、絞りリングのAを指標に合わせると、
プログラムAEになる。スカイライトフィルターは東芝製。
フラッシュマチックはG.N.40まで使える。
右端の感度設定ダイヤルを回すと、右端の採光窓の中で
絞り羽根が巧妙に動くのが見える。
Olympus 35SPを使ってみました
今回も、最後の1枚までご覧下さりありがとうございました。
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