|
カテゴリ:短歌 故郷を詠む
あちこちに秋桜の咲く
道に立ち眼下に見下ろす 故郷の今 ★ 昨日は、義姉の一周忌。長兄の家での読経を済ませ、少し坂道を上ること10分程度のところにあるお墓にお参りをしました。 ★ 登っていく坂道のほとりの畑や空き地に、色とりどりのコスモスの花があちこちに咲き、昔とあまり変わることのない、覚えている故郷の秋の光景でした。 ★ 墓参りを終えて、次兄とともに眼下の家並み、その向こうに走る線路と、並行して走る国道、そのまた向こうの高梁川、左手の山すそに今は従弟が後を継いでいる祖母の住んでいた家、変わるところは当然変わっているのでしょうが、大きな景色としては、これまた昔と変わらない景色が広がっていました。 ★ そんな故郷ですが、従妹たちと聞いていますと、どんどん人が出て行って、空き家になっているところがけっこうあるということで、住んでいる人たちには寂しくなるばかりだと言います。 ★ ちあきなおみがカバーした歌で、私が最近知った「帰れないんだよ」という歌は、昭和の一時期を「こんな姿を初恋の君に見せたくないんだよ…だからよ、だからよ、帰れないんだよ」と歌っています。 ★ 岡山出身の作家・随筆家で夏目漱石の弟子であった内田百閒は「帰らないんではなくて、帰れないんだよ。あまりに故郷が変わりすぎたから」と、地元紙のインタビューで答えていたと言います。 ★ そして、この内田百閒と同じ時期に活躍した作家・室生犀星は、「小景異情(その二)」 と題する「ふるさとは遠きにありて思ふもの. そして悲しくうたふもの.…」と、詩にしたためました。 ★ 人それぞれに、故郷に対する思いは様々ありますが、私にとっての故郷は、子どもの頃にすごした故郷であり、そのころにたまらなく帰りたくなる、いわば心の故郷です。 ★ 最後に、石川啄木が故郷をうたった2首を紹介して閉じたいと思います。 ふるさとの山に向かひて/言うことなし/ふるさとの山はありがたきかな ふるさとの訛なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.10.21 08:07:00
コメント(0) | コメントを書く
[短歌 故郷を詠む] カテゴリの最新記事
|