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エピメテウス夢譚

エピメテウス夢譚

2006 (2)

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1月18日(水)


<タイトル> 『モンドヴィーノ』(MONDOVINO) 2004年/フランス=アメリカ/136分
       http://www.mondovino.jp/
<監督・撮影・編集> ジョナサン・ノシター 
<場  所>  シネカノン神戸
<ひとこと> ワインにでなく、別なものに酔う。

 この映画を観て明日選ぶワインが変わるかどうかは別にして、良くも悪くもワインというものは人間が造るものだと思いました。ただ、この作品はワインに興味のない人が観ても昼寝の足しにしかならないでしょう。ワインが好きな私も途中、二・三度記憶を失いましたから。ただでさえドキュメンタリということで、抑揚のない展開なのに、さらにハンディカメラで撮っているために非常に揺れが激しく、それを大画面で観ていると本当に気持ち悪く、というか気持ち良く、というか…何ちゅうか本中華。眠くなるんですね。

 正直、もう少し衝撃的な内容かと思っていたけど、「まあ、さもありなん」な印象でした。実際に記録映像として見せられると「やっぱりそうだったのか」という少し複雑な気持ちにはなりましたが。

 しかし、今風なワインを造る人たちと昔ながらのワインを造る人たちの人間対比は非常に興味深く観ました。素材よりも醸造に重きをおく造り手たち(例えばミシェル・ロランやモンタヴィ一族)やそれを支持する人たち(例えばロバート・パーカー)は、いかにも頭の回転が速そうな理論的で機知に富んだ会話を小気味良く展開する(ふと「巧言令色少なし仁」なんて言葉が浮かんだ)。それに対し、できるだけ自然の力に任せた造り手たち(エメ・ギメールやド・モンティーユ一家)は、自分自身の長大な体験に基づいた哲学あるいは人生観のようなものをゆっくりと、しかししっかりと一つ一つ言葉に紡いでいく。その姿はまさに哲学者というにふさわしい。この人間性というのが造られるワインに少なからず影響しているように思えてならなかった。そういう意味で、ワインは造る人間によって左右されるのだと感じた。良くも悪くもワインというものは人間が造るものだと思った所以です。
 
 で、一ワイン好きとしての感想は、非常に興味深い作品。ぜひ、DVDでも買ってワイン片手に何度も観たいと思う映画でした。


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