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encantada

題詠マラソン2004


題詠マラソン2004 出詠作品

001:空
夕空に白き満月淡く浮き娘の出産の時が近づく

002:安心
乳を吸ふ形に唇(くち)を動かして安心しきつたベビーが眠る

003:運
「幸運はとつ捕まへて引き寄せろ」元気な頃の父は言ひゐき

004:ぬくもり
両親に愛されてゐしぬくもりを憶ひ出しつつ雛(ひひな)を飾る

005:名前
ザビエル(Xavier)はエグゼイビヤー 英語では名前もあくまで我儘に読む

006:日
タラ屋敷の土をひとかけ握らせてレッドバトラー去りて行きたり
(by スカーレット。『風と共に去りぬ』より)

007:数学
数学はあなたに敵はなかつたけど口げんかでは負けなかつたわ

008:姫
なかなかに家に帰つて来ない彼 乙姫さまでもみつけたのかな

009:圏外
ウインドウズ98はヴイルスの攻撃圏外 取るに足らぬか

010: チーズ
逢ひたいと思いゐし彼見つけたりワインとチーズの午後のパーティー

011: 犬
ロボット犬アイボが眼(まなこ)緑にし喜びいつぱい尻尾振りたり

012:裸足
靴が嫌い靴下も嫌や 一歳のトム君よちよち裸足で歩く

013:彩
あかい傘開いた五歳のあつちゃんはまるでちひろの水彩画です

014:オルゴール
ほろほろと零れて優しMIDIで聴くオルゴール調の「さくらさくら」は

015:蜜柑
蜜柑五個絞りてぐつと飲み干してひきかけの風邪追ひ払ひたり

016:乱
久々に泊まる温泉旅館なり乱れ籠には浴衣、丹前

017:免許
もう多分どこかに失くしてしまひたり 昔とりたるハムの免許は

018:ロビー
サザエさんの漫画が読める銀行のロビーが今日の待ち合はせ場所

019:沸
業績の上がらぬ部署の会議なり懸案一つに議論沸騰

020:遊
カラオケに二時間遊びし罰のごと煙草の匂ひの残るセーター

021:胃
きりきりと自己主張する胃をなだめ折り合ひながら平和共存

022:上野
小学校の同級生の上野くん ひよろろんとした秀才だつた

023:望
木星の黄色がかった縞模様望遠鏡のレンズに揺らぐ

024:ミニ
亡き母と何回か来しレストラン オーダーはいつもミニ懐石で

025:怪談
狂牛病、鶏インフルエンザ、次は何?「怪談」などとは片付けられぬ

026:芝
冬ごもり知らぬ黒栗鼠シュルシュルと霜の芝生を駆け抜けてゆく

027:天国
「ああ、まるで天国のやう」天国を知らぬ私が勝手に騒ぐ

028:着
ピピピッと携帯電話が呟きてあなたのメールの着信を告ぐ

029:太鼓
夫の手を借りて締めたるお太鼓が常よりしつかり体に馴染む

030:捨て台詞
「ご勝手に!」捨て台詞言ふ夢を見るクレイム処理に疲れたる夜

031:肌
祖母となる春の日近く窓際に小さき肌着をちくちくと縫ふ

032:薬
飲みすぎのひとつ覚えの言ひ訳ね 「楽しい酒は百薬の長~!」

033:半
割り勘に消費税まで折半し友と二人でファミレスを出る

034:ゴンドラ
ゴンドラに「オー、ソレ・ミオ」と歌ふのは少し不良の男に限る

035:二重
カレンダーの四月四日に二重丸つけてベビーの誕生を待つ

036:流
日本丸が汽笛を残し遠ざかりふつと湧き来る流離の想ひ

037:愛嬌
今の世は「男も愛嬌」にこやかに大きな契約とりつけてくる

038:連
連れ立ちて母と出席する歌会 常より少し口を慎む

039:モザイク
人生のモザイク模様全貌が中々見えずに混沌とする

040:ねずみ
一人ではねずみにひかれてしまふのに「バッキャローッ」と笑ふのは誰?

041:血
「タイガース」と聞けばたちまち血が騒ぎ夫は「六甲おろし」を歌ふ

042:映画
映画なら我が人生のこのあたりズームアウトしハッピーエンド

043:濃
その昔日本の敗色濃き頃に生まれてきました 幸か不幸か

044:ダンス
盆踊りを「オボン・ダンス」と呼び慣らし日系人たち浴衣で踊る (カナダのお盆)

045:家元
先代の家元好みの茶杓買ひ母は大事にケースにしまふ

046:練
ひさびさにベビーの沐浴引き受けて抱き人形で練習をする

047:機械
機械音痴と夫は名乗りて何もせぬ 巧みな策略なるかもしれず

048:熱
逸りたる気持ちを和音に閉じ込めてソナタ「熱情」第二楽章

049:潮騒
潮騒に耳がやうやくなれた頃旅の終はりが明日にせまる

050:おんな
わがうちの「をんな」が時に窒息す「電話は五分」と決められてより

051:痛
この痛さ男に我慢はさせられぬ出産終へし娘と笑ふ

052:部屋
部屋中に書類が本が散乱す 今日は何より手をつけやうか

053:墨
たつぷりとバケツの墨汁含ませる箒のやうに大きな筆に

054:リスク
リスクなど覚悟の上の筈なのにサインする手が妙に強張る

055:日記
若き日の日記の中に今も咲く故郷の家の大きな桜

056:磨
わが顔を「おかめ」に写す銀の匙 磨き上げつつ「にらめつこ」する

057:表情
みどり児を抱き上げやうとおじいちやんとろけるやうな表情をする

058:八
産室に入りたる娘が気になりてついつい夫に八つ当たりする

059:矛盾
これはもう矛盾ですよね 新品のプリンターよりインクが高い

060:とかげ
肖像画のセルバンテスの服の襟「えりまきとかげ」のやうな形す

061:高台
その夫と高台寺にて祀られる寧寧は勝利者なのかもしれぬ

062:胸元
胸元に薔薇のコサージュ飾りたる花嫁の母少し哀しげ

063:雷
雷をひとつ落として出かけゆく 今朝より機嫌の悪き夫は

064:イニシャル
私の名Noriko SatoはNSと磁石のやうなイニシャルになる

065:水色
水色のタオルに包まれ眠りをり私を祖母にせし小さき者

066:鋼
手拭ひに二重に包み仕舞ひたり手打ち鋼の菜切り庖丁

067:ビデオ
何回も巻き戻しては練習す 手話講習の教材ビデオ

068:傘
唐傘をくるりと回し決めポーズ 素人芝居の幕が降りたり

069:奴隷
四十年時間の奴隷なりし夫 退職してより時計を持たず

070:にせもの
にせものの若さでもよし とりあへず背筋伸ばして歩き始める

071:追
長き文(ふみ)書きたる後に思ひつき更に「追伸」二行を添へる

072:海老
角海老に身を売る美登利 初恋は心の奥にしまひこみたり
(樋口一葉「たけくらべ」より)

073:廊
回廊に小学生の書き初めを隙無く並べ初詣待つ

074:キリン
首を下げ子供の耳をなめてやる産後間もなき母親キリン

075:あさがお
「今年こそ」とあさがお蒔きては失敗す カナダの夏はいつも短い

076:降
もう降参 心ゆくまで食べました 土佐の豪快皿鉢料理

077:坩堝
多民族・多文化間のジレンマの坩堝が加熱…戦争となる

078:洋
太平洋超えて遥かな日本なり電子メールは瞬時に着くが

079:整形
心にも整形手術が可能ならも少し丸みと深みが欲しい

080:縫い目
兵なりし父の遺品の千人針縫ひ目のサイズがそれぞれ違ふ

081:イラク
荒廃の底に喘げるイラクなりメソポタミアの文明はるか

082:軟
柔軟な発想はもう種切れで今日は手慣れた献立にする

083:皮
結論の出ない話は棚上げし林檎の皮をくるくると剥く

084:抱き枕
喘息の発作が起きてしがみつく 頼りになるのは抱き枕だけ

085:再会
「また来ます!」再会約して帰り来しその夜届けり父の訃報は

086:チョーク
交差点にチョークで描かれし人型を残して事故の検証終はる

087:混沌
「実情は混沌としている」と書く無責任なる我の結論

088:句
鯉のぼりをカナダの空に泳がせる初孫トムの端午の節句

089:歩
早足に夜更けの道を歩みたりわが足音に我が怯えて

090:木琴
木琴は鍵盤楽器に成れぬのが少し不満でポロポロ歌ふ

091:埋
暗闇にまだ眠れるか高校の庭に埋(うず)めしタイムカプセル

092:家族
どこまでが家族でどこから親類か 夫と私で意見が違ふ

093:列
今度こそ10ドルくらいはあてたいと宝くじ買ふ列につきたり

094:遠
だれかさんに遠隔操作さるるごと近頃映画の好みが変はる

095:油
赤塗りの姫鏡台の上にありき母愛用の椿油は

096:類
ペーパーレスのオフィスの筈が中々に書類が減らずファイルも減らず

097:曖昧
結論を曖昧にして引き延ばす いつもあなたはさうなんだから…

098:溺
ニ三回溺れかけても大丈夫 絶対泳げるやうになるのさ

099:絶唱
太陽と海の明るさ思はせるパヴァロツティの愛の絶唱

100:ネット
クリックでネットに乗りしわがメール太平洋を「シュパッ」と超える 





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