36 貴女に神のお恵みを
バスに乗る裕子と聡美。 裕子はバッグの中をひっくり返している。 「裕子さん どうしたの?」「あれが見つからない!!」「あれって?」「あれあれ」 「スカーフ?」「そうそう スカーフスカーフ この頃なんて言ったらいいか忘れちゃうことがあるの」「みんなそうよ」「でもスカーフ部屋に取りに行かなきゃね」「裕子さん忘れたら困るから二つ持って来たの 裕子さんのピンクのスカーフほどキレイじゃないけど」 子どもみたいに飛びつく裕子。「よかった!! それでスカーフはどうするの?」「バスでご説明しますわ」「聡美先生 よろしくお願いしま〜す」 ますますはしゃぐ裕子。 バスに乗ってアル·パリード遺跡を通りヨブの墓をお参りした。 聡美は話始めた。 ヨブと言う人は色々な困難に会ったがただひたすらにアッラー(神)を信じたんです。それゆえに恵みを受け救われて以前より幸せな人生を送ったと言われているの。心境心の厚い人だったそうよ。そこをお参りするには必ず素足にならなければいけませんよ。そして女性は必ず頭にスカーフのようなものをかぶらなえれば行けなかったんです。 聡美が裕子に黄色いスカーフをかけた。白いブラウスとよく合っていた。まるで裕子は妹のように見えた。「オマーンの言葉で サラマレコン」 「サラマレコン?」「サラマレコン 貴女に神のお恵みを」「貴女に神のお恵みを」 抱きしめる二人。