53 美智子さまと雅子さま
裕子も聡美もまだ宝石の街にこだわっていた。今度は裕子と聡美の二人だけで歩いている。相変わらずタムタムを尊敬している聡美は「昨日のタムタムさんのおかげで私たちも大丈夫よね」「それより昨日の彼氏に会いに行かなくていいの?」「お財布忘れるおばぁちゃんじゃね」 ぶらぶらと歩いていくとどの店でも店員がお店の前に立っている。その中の一人が深く頭を下げる。裕子と聡美は怪訝な顔になる。 店員が叫んだ。「おはようございます 美智子さま」「えっ」 と驚く裕子。「どっちのことかしらねぇ」 と聡美。「ねぇ」 すると近くを他の若い女性が通ると別の店員が叫んだ。「おはようございます 雅子さま」 聡美がじろりと見て「あら」 裕子も「私たちを雅子さまって呼んでくれたお店で買ってあげるのにね」 うなづく聡美。 香料の店の前で立ち止まる聡美。「サフランが安かったら買いません?」「カレーに使うのよね。是非是非」 店員が出てきて日本語で「見るだけでもどうぞ」「見るだけ見るだけ」 と入っていく二人だがサフランと言っても何種類もあるらしい。二人で香りを鼻でかいでいる。「いい香り」と裕子。「ねぇ」と聡美も答える。だが小さな袋に50ドルと書いてある。聡美は店員に向かって「ウーパー」 と首をすくめる。「ウーパーって何?」 と裕子。聡美の答えは「高いわーってこと」 納得して聡美の真似をする裕子。「ウーパー ウーパー」 仕方なく店員が45ドルとする。二人でウーパーウーパー。店員が40ドルまた二人でウーパーウーパー。繰り返し値段を下げるうちに聡美が叫ぶ。「10ドル」 あきれた店員が叫ぶ。「ノー ノーノー」 二人はあきれ顔で店を出る。だが店員が追いかけてきて「10ドル OKOK」 裕子が大喜びで「やったわね」 でも慎重派の聡美「でも裕子さんもいるんだから二つよ」 と指二本。 店員はうなづく。だが聡美は満足しないで「二つで17ドルよ」 あきれて首をすくめて店に帰って行く店員だった。「聡美さんはすごい。私だったら20ドル出しちゃうわ」「買おうと思ってもすぐには買わない!! タムタム流よ」 納得顔の聡美だった。