△6 克己の女
克己のマンションの部屋。布団の中で眠っている克己と若い女。 そっと入って来た紗喜。若い女に気づくが部屋の奥に行こうとて、女の足を踏んづけてしまう。がばっと起き上がった女。「何よ。この子」と克己を揺り起こす。目をこすりながら「妹だよ。(紗喜に)早すぎるんだよ」「ごめんなさい」「妹がこんな時間まで何してるのよ」「アルバイトでベビーシッター。なっ」 うなづく紗喜。布団から出てくる克巳。裸。「金 もらってきたんだろ」 紗喜のバッグを取り上げて中を覗き込む。「金だろ」「それはダメ」「ここを誰のうちだと思ってるんだ。お前を置いてやってるんだ。道端でぼんやり突っ立ってた。俺が面倒見てやらなかったら今頃」「アラ 妹じゃなかったの」「だからさ」「まぁ いいわ。もてるかっちゃんがこんな子ども相手にするわけないもんね」「当たり前だろ」「でもベビーシッターってお金になるのね」 と克己の手から札をひったくる。札を数え始める。突然部屋のドアを激しく叩く音。「何だよ。朝っぽらから」 ドアをけやぶって男たちが飛び込んでくる。「なんのつもりだよ」 立ち尽くす克己と女。女の手から札を取り上げてポケットにしまい込む紗喜。 一人の男が紗喜に突進して紗喜の手をつかむ。「何するんだ」 男のもう一人につかみかかる克己。克己に殴りかかる男。若い女が悲鳴を上げる。「何も見なかったことにするんだな」 と女にいう。 男は紗喜を抱きかかえて部屋を出て行く。心配そうに振り返る紗喜。「紗喜」 克己は追いかけるが男に腹を蹴り上げられてうめき声を上げる。女も「かっちゃん」 駆け寄るが女の手を振りほどく克己。「紗喜 紗喜 紗喜」 とにじり寄っていく。 その後車の中の後部座席に紗喜が座っていた 。 運転している若い男。 助手席には浜本満が 電話をかけている。「はい。もう少しで着きます」 いってから受話器をおいた浜本が紗喜を振り向く。紗喜が言った「どうしてわかったの。お店にも出ていなかったのに」「先生がそりゃあもうご心配で。八方手をつくして」「さっきいたかっちゃんはどうなるの? 亡くなった妹さんに似てるって大事にしてくれたのに」「大事に? お嬢さまさえ戻られればいくら先生でも‥‥‥」「知り合った人はみんないい人だった」 と窓の外に目を移す紗喜。紗喜の横顔を見つめる浜本。