|
カテゴリ:こんぺいとう〜世界一周ひとり旅
クルーズ船の裕子の部屋で明け方だった。ベッドで横になっているがもんもんとしている裕子。ベッドの時計に目を向けると四時過ぎになっている。ごそごそ起きる裕子。地図を開いてスエズ運河に目を向ける。
いつの間にかまたベッドで横になっていた裕子。地図を枕にして。 目を覚ます。航路がゆっくり進んでいくと今まで聞こえていなかった大きなエンジンの音がした。起きあがってクルーズ船の外を見ると運河の静かな水面を進んで行く。脇は日本の公団住宅のような細長い建物が並んでいる。 街をすぎると左側は大きな砂山が続き右側は椰子の木や畑に何か作物が植えられていた。 レストランで裕子と聡美がランチをいただいていた。また例によってはしゃいでいる二人。 「聡美さんとは久々だもの」 返事もしない聡美がいう 「ちゃんと肝吸いまであるわ」 とうなぎを食べている。 「デザートには白玉ですって 日本でもこんなにいいものいただける人は わ ず か よ」 「しかもスエズ運河でよ」 「ありがたいありがたい」 「また、裕子さん泣かないでよ パパがいたらなぁって」 「泣かない泣かない」 といって泣いている。 その後二人は最上階のデッキに出かけた。両サイドの景色を撮りまくっている裕子。 「ここまで上の階は来たことないわ」 「どの階に行ってもいいのよ」 「ちょっといじけてた 私一番安い方だから あー ごめん またつまらないこといっちゃった」 何人かが集まったことで中の一人が講義のふりをしだした。 「えー 田村のタムタムと申します スエズは紅海と地中海を結ぶ長さ104海里の国際運河で地中海側にポートサイト港 紅海側にスエズ港があります 気候は北端ポートサイドは地中海性気候 真ん中のイスマイリアは半乾燥気候区 南端スエズは乾燥気候区」 「道理で唇が乾くは リップクリーム何度も付けちゃう」 「それよりタムタムさんの歌はしびれたわ しかも学校の先生みたいね やっぱり地理かな?」 「言えてる」 「スエズ運河には橋は一本もありませんが運河の両端を結ぶ『マッド・ハムディ』という海底トンネルがあります。あと両岸には二つのフェリーがあって重要な交通機関になっています」 ちゃんとクルーズデリーを持ってきていた聡美。ちらちら読みながら 「よく知ってらっしゃる」 「聡美さんだって」 二人のそばに立っていたタムタムが急に二人を振り向いて 「ポートサイドを楽しみにしていますか?」 「えぇ」 うなづく裕子と聡美。 「ここは交渉の国ですからね 物売り(ボートマン)の言い値では絶対に買ってはいけませんよ 何度も交渉すれば最初の半額にります」 裕子と聡美は顔を見合わせる。けげんな顔のタムタム。二人でタムタムの両側に立って 「一緒にお買い物に付き合ってください 交渉役お願いしますー」 あてにする二人、驚いたが嬉しそうなタムタム。
![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.03.21 10:05:12
[こんぺいとう〜世界一周ひとり旅] カテゴリの最新記事
|