|
カテゴリ:青く踏み世界一周ひとり旅
船の裕子の部屋。朝裕子は船長のアナウンスをベッドの中で聞いている。
「これからハドソン川をさかのぼってマンハッタン島に向かいます。右舷側の風景 はニューヨークに向かって入港の感激をお味わいを下さい。女神さまから半マイル先がエリス島移民局です。七時半ごろ自由の女神を通過いたします」 慌てて飛び起きる裕子。 シャワールームのカーテンの向こうで歌いながらシャワーしている音。 やがてお化粧を終えた裕子は彼女の中ではかなり上等な服を着る。そしてテーブルに置いてあった裕の位牌を手にしてハンカチで包む。窓から外を見る。 その時丁度歓迎のヘリコプターが飛び交っていた。 自由の女神が見える。位牌も外に向ける裕子。 「パパーー。劇的ーー。映画がなんだ写真がなんだ」 いつまでも自由の女神を眺めている裕子と裕。 その後シャトルバスに向かっていた裕子と聡美。例によってはしゃぐ裕子。 「大都会のニューヨーク。半日観光して午後自由。夕方はブロードウエイミュージカルそしてヒルトンでお食事!! 何から何まで行き届いたサービス」 「ニューヨーク州知事の歓迎メッセージもあるのよ」 「あっ! 聡美さん! 今日は二人だけじゃないの」 「えっ」 聡美は振り向くが後ろには誰もいない。 「イケメンの二人がデートしてくれるとか」 ときょろきょろする。 「ここ。ここ」 と裕子はバッグの中を見せる。位牌を持って来た裕子。 「何!?」 「位牌持ってきちゃった」 唖然とする聡美。 「持ってきちゃって いいの?」 「二人で歩きたかったもの」 「夫婦っていいものね」 「あら。聡美さんだっていいご夫婦じゃないの?」 「ああ。うちの主人は忙しくて」 「でもお元気でうらやましい」 「そう?」 小走りにバスに乗り込む裕子。後を追いかける聡美。 シャトルバスに並んでいる裕子と聡美。こちらも例によって説明係の聡美。 「ニューヨークは世界の首都よ。自由の女神 エリス島 ロックフェラー セントラルパーク タイムズスクエア ウォールストリート シテイホール メトロポリタン美術館 アメリカ自然史博物館 近代美術館 グッケンハイム美術館 イントレピットシーエアスペース博物館 ブロードウェイミュージカル あー期待した通りに楽しい街ね」 「さすが聡美さん 何も見なくてもすらすら出てくるわー」 「それより今日のブロードウェイミュージカルの題」 裕子にこっそり教える聡美。 「えっ!? 私たちのこと?」 とくすくす笑う裕子。 通りにあるブロードウェイの大きな看板。 「美女と野獣」。裕子と聡美はこのミュージカルを見ていたが裕子は小声で 「以外とこじんまりしてるのね。勝手に大劇場で豪華版ばかりだと思ってた」 「でも演技力は素晴らしいわ。衣装も洗練されてる」 「色使いも粋ね」 うなづく聡美。 そして裕子は部屋に帰ると疲れでバタッと眠り込んでいた。 夢で映画の「猿の惑星」を見ている裕子。 映画のラストシーン。自由の女神が倒れている。がばっと起きる裕子。 「まさかね」 とまた寝ようとするが今度はベッドから飛び起きる。 「ごめんごめん」 イスの上に乗せたままのバッグの中を見る。 「パパ。ごめんね」 裕の位牌を取り出す。テーブルの上に置こうとするが 「今日は一緒」 といってベッドに寝かせる裕子。 ベッドの中で抱き合う二人を想像するが。裕子の目から一筋の涙。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2026.01.26 06:48:01
[青く踏み世界一周ひとり旅] カテゴリの最新記事
|