2015/12/10(木)13:19
ジプシーの音楽
先月の話になるのですが、近所の仮設住宅の集会場でクラシックのミニコンサートがありました。去年もあって、とてもよかったので今年も誘われて喜んで出かけたのです。いやぁ、すばらしかった。
特にハンガリー舞曲5番が。そのコンサートに出かけるちょっと前に 伝心柱さんのブログで映画「旅芸人の記録」についての記事を読んでいたのです。
「旅芸人の記録」は 公開されたのがもう30年くらい前になるのかな。
私は当時 東京在住で、その年一番の傑作!!と評判が高かったので 岩波ホールまで観に行きました。
内容はギリシャ悲劇を演ずる旅芸人の一座が 内戦で荒れ果てたギリシャの田舎を巡って歩く風景を淡々と描いた映画です。私若かったしね~、映画はストーリーを追って楽しむもの・・・って設定だったんでしょう。
えらく長くてストーリーがほとんどなくて、退屈だぁ、くらいしか感じなかった。
なんかとても暗かったし。
ウーン /(-_-)\でもね、そんな風にしか思っていなかったのに
伝心柱さんのブログを読んでいたら、昔見たその映画のシーンが次々と鮮やかに浮かんでくるのです。びっくりしました。
そうして力のある映画ってこんな風に自分の中に刻印されるんだ!と あらためて感心したのでした。そんな経験が前提としてあったのです。
その仮設住宅でのコンサートですが、新日本フィルのヴァイオリニストとピアニスト、それからファゴット奏者の方3人での演奏でした。ヴァイオリンのハンガリー舞曲がすばらしくて。
このハンガリー舞曲はブラームス作曲とされていますが、実はブラームスはお祭りで演奏していたジプシーの人たちの曲を楽譜に写したということを明言していたのだそうです。
自分が作曲したと言われているのを知ったらびっくりするだろうと。そのヴァイオリンの演奏を聴いていると 本当に生きてそこにいた人たちの姿がリアルに脳裏に浮かんできました。
広々とした草原を仲間たちと馬で駆け回る若者たち。
広場でのお祭り、喧噪、皆の注目を集めて踊る若い娘、若者。
演奏するジプシーのおじさんたち。ジプシーではないけれど、数日前に脳裏に浮かんだギリシャの旅芸人たちの心理とオーバーラップして、その存在が臨場たっぷりに私の中に感じられたのです。音楽ってすごいなあ!って思いましたよ。本当に音楽の中に人間が現れるんだ!と。その後に演奏された日本の懐かしのメロディーを聴くと、日本人の精神の位相がそこにはやはりちゃんと現れていて。
やさしいし、穏やかで心地いいけれど、ハンガリー舞曲のような きりきりとしたがけっぷちで生きている人間の切迫感みたいなものはかけらもない。
日本の中で生きていると、どこか人間としてのセンサーが鈍くなってしまうのかもしれないな・・・なんてことも考えました。そういう中でもアーティストはとがっていなけりゃならないから、厳しいね、とかね。そのヴァイオリン演奏が私のど真ん中に響き渡って、私は思いがけずボーボー泣いてしまっていましたよ。
(〃_ 〃)ゞ ポリポリ
いや、すごい体験させてもらいました。
ありがたいことでした。
ハンガリー舞曲5番
https://www.youtube.com/watch?v=NFRscTuCFz8後でまたハンガリー舞曲を聞きたくて、いくつかyoutubeで探したのですが、やはり演奏家によって、曲の印象が全然違うのね!!この方のが私のイメージにはぴったりくるかな。
音が際立っているように感じます。