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2007/04/09(月)08:26

ゆるぎない自信

奥村 武(358)

みなさん桜花賞はいかがでしたか?私もピンクカメオとクーヴェルチュールの応援に阪神競馬場まで行ってきました!それにしても、ダイワスカーレットとウオッカの強さには脱帽でしたね!! さて、皆さんも新聞などでご存知の通り、今回カメオとチュールは長距離、直前輸送を避けるため、また美浦とは勾配の違う坂路で鍛えるため、早々に栗東入りし調整を進めてきました。暮れのジュベナイルフィリーズでは、レース直前の長距離輸送による大幅な馬体減があり、力を存分に発揮できませんでした。そのことを教訓に今回の調整方法にチャレンジしてみました。カメオは輸送の疲れなどで飼葉を食べなくなるような馬ではなかったのに、あれだけ馬体が減ってしまったことは本当に驚きでした。若い女の子には精神的、体力的にかなり辛かったとしか説明できません。 今回ピンクカメオは+2キロ、クーヴェルチュールは+4キロで出走することができました。ちょっと結果が伴わなかったのが残念ですが、一応の滞在の成果は残せたのではないかと思います。美浦からの遠征組で頑張ったカタマチボタンとイクスキューズは長距離、直前輸送にもかかわらず、プラス体重での出走でした。また結果が出せなかった関東馬たちの多くは、大幅な馬体減がみられました。その馬の距離や馬場への適性などもあるので、この結果にくじけずまた新たな試みに挑戦していきたいと思います。 さて今週は皐月賞。国枝厩舎からはマイネルシーガルが出走します。このマイネルシーガル君、とにかくおとなしい馬なのです。競馬前のパドックなどでは少しちゃかちゃかするようなところがあるのですが、普段自分の馬房では一日中じーっとしています。ただ警戒心は相当強いみたいで、いつも馬房の外に顔を出しています。ただ、顔を出して周りの様子を伺っているにもかかわらず、うつらうつら(笑)。走る馬は本当に無駄な力を使わないんだなと感心させられます。調教時も少々のことには動じず、いつも堂々と厩舎の馬たちの先導をしています。いわゆるリーダーの資質があるとでも言いましょうか、この馬には三歳のこの時期にして貫禄さえ感じさせられます。 ところで、パドックなどで皆さんも感じられたことがあるかと思うのですが、得てして走る馬にはこのシーガル君のように風格や、貫禄のようなものを感じませんか?ではこのシーガル君のように、成績のよい馬はなぜ堂々としているように見えるのでしょうか? 毎日の調教は彼らにとって、楽しい時間ではありません。馬場に向かう途中、その苦しさから逃げるために立ち止まって動けなくなる馬。まじめすぎる性格で「走らなきゃ…走らなきゃ…」って考えすぎるあまり、騎乗者のコントロールが利かなくなる馬。また、本当に便意をもよおしているわけじゃないのに、何度も何度も立ち止まってはボロをする(するふりをする)馬。なかには鞍をつけて準備を始めると、がたがたと震えだす馬。ハミを持っていくと、ひたすら馬房の中を逃げ回る馬など、とにかくみ~んな調教は嫌いなんですね。 こう言うと、サラブレッド達が怠け者のように聞こえますが、皆さんにもこのような感覚を体験されている方もいるはずなんですよ!  たとえば、トレーニングジムなどに通われている方。はじめのうちは楽しさが先行するため感じませんが、トレーニングの苦しさを知るごとに、徐々に通うペースが落ちてきて、最終的には行かなくなったなんて経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?ダイエットや英会話スクールなどなど… 実は私がそうなんです(笑)。そのように日々の調教は彼らにとって、とてもとても苦しい時間なんですね。 ところが、このシーガル君、そんな苦しがるような素振りを全く見せません。すごいでしょ!いらいらして人や周りの馬に八つ当たりするようなこともありません(見習わなきゃ…)。 そこには「ゆるぎない自信」のようなものがあるように思えてならないんです。ではいったいその「自信」はどこから来るのでしょうか? おそらくそれは、心肺能力がほかの標準的な馬たちに比べて、格段に高く、また足も速い。ほかの馬たちの「苦しい」レベルの調教がシーガル君にとっては朝飯前みたいなものなんですね。ですから、精神的に追い詰められることがない。そこに気持の「余裕」が生まれる様です。それが、あの堂々とした、自信に満ち溢れた姿となるんでしょうね。 レースでの走りも、いつも余裕しゃくしゃく。折り合いの心配もいらないんです。 御覧になった方もいらっしゃると思うのですが、二歳の時のいちょうステークスなんて、落馬寸前の大きな不利がありました。ですが、そのあと鞍乗の後藤騎手の指示に冷静に対処できたのは、「つまずいちゃったけど、へっちゃらへっちゃら~」という、彼の「自信」の真骨頂だったのではないでしょうか… 一週前追いきりも、坂路で半マイル49秒台前半を馬なりでマーク。厩舎のリーダーから世代のチャンピオンへ。本番が本当に楽しみです。 そんな風な目で、皐月賞のマイネルシーガルを御覧になってみてください。きっと今までと違った目で、一頭の「個性」を持った馬として競馬を見ることができるのではないでしょうか。 ただし、皐月賞のようなビッグレースに出走してくる馬はすべてが、このシーガル君のように、牧場や厩舎のリーダーだった馬たちです。ですから、このようなビッグレースは、そのリーダーたちの意地とプライドが激突する本当に見ごたえのあるレースになるのです。ぜひとも、みなさん「馬」に思い入れを持って、応援してみてください。もっともっと競馬を観るのが楽しくなるのではないでしょうか!!

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