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2012年06月19日
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カテゴリ:坂田 博昭

 先週は、門別競馬場での仕事の帰りに、函館に寄ってきました。

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 津軽海峡を挟んで、遠く本州側を望む。

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 函館山と立待岬。

 

 金曜日には、G1高松宮記念杯開催中の函館競輪場に足を運びました。

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 函館競輪場初のG1ビッグレース。

 函館駅前から競輪場までタクシーに乗ったところ、たまたまその運転手さんがアツい競輪ファンでした。前日は休みで競輪場でレースを観戦していたということで、その場で競輪談義に花が咲きました。年配の方だったんですが「まさか函館にこんな大レースが来るとは思わなかった。もう自分が生きている間に大レースが来ることはないだろうから、本当に今回はワクワクしている。」と話してくれました。

 この大レースの招致と開催当日に向けての関係者の皆さんの努力も察するに余りあるものですが、こうしてファンの方の熱意に触れると、やはりファンの皆さんの支援と支持と、そして盛り上がりがあって初めて成り立つのが公営競技だということを実感します。

 ちなみに昨日のスポーツ新聞によれば、4日間の開催全体の売り上げも目標値を上回ることが出来たとのこと。開催日程が年金支給日と前後するという日柄の良さもあったでしょうが、レースを行っている場所全体の盛り上がりが、場外発売やインターネット投票で楽しむ皆さんに伝わってこその結果だと思います。

 例えば同じように持ち回りで開催される地方競馬のJBCなんかも、そうしたところを是非とも見習って欲しい。ファンの皆さんとの間のいい関係をしっかりと築き上げ、そして盛り上がりに結びつけていけるかどうかということが、成功に向けての大きな要素になるという事例は、(うまく行かなかった方の結果も含めて)全国の公営競技場で様々な形で顕れているところだと感じています。

 

 翌土曜日は、函館競馬場へと赴きました。

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 レースの方が例年よりも1週早く始まっていたので、訪問は2週目ということになりましたが、例年通り6月中旬のこの時期に訪れることが出来ました。自分にとっては、季節感というのは競馬を初めとした公営競技の季節の流れとともにあるので、今年も同じこの時期にこの場所を訪れることが出来て良かった。もっとも、昨年に比べたらこの日はかなり肌寒い気候でしたが……。

 

 レースの合間に、岩田康誠ジョッキーと懇談する機会に恵まれました。

 木曜日に門別まで騎乗に来てくれて、そのことだけでも大いにレースを盛り上げてくれた(おまけに北海道スプリントCは見事セレスハントで勝利!)岩田ジョッキーに、お礼と感想を述べたところで、少し時間があって話を伺うことが出来ました。

 話自体は競馬を巡る雑談の類で、あっちへ行ったりこっちへ行ったりととりとめもない話に終始しましたが、話の端々にいま考えていること、やろうとしていること、あるいは反対に様々な状況の中で上手く流れていかないことなど、岩田ジョッキーのプレーを注目する上でのヒントがありました。

 その中で心に残った話があります。そのものズバリの言葉ではありませんでしたが、整理するとこういうことだったかと。

 

「人間の思い込みと、人間の欲が、馬がレースで活躍することを妨げているのではないか。」

 

 「欲」という部分はともかく、「思い込み」というのはいままであまり私自身は考えたことがない新鮮な切り口でした。

 話は「距離適性」のことから始まりました。ある馬に関して曰く「記者の人やテレビの人がよく距離が持つ持たないって言うけれど、そんなの一体誰が決めるんや。」と。話はそこから、日頃の調教のやり方しかり、馬装に対する考え方しかり、もっと言えばレースでのジョッキー乗り方しかりと、あらゆる面での「思い込み」そして「自信のなさ」が馬にとって良くない影響と結果をもたらすのではないかと、そういう話に及びました。

 確かに最近岩田ジョッキーはレースの談話の中で「馬が気持ちよさそう」とか「楽しそうに」という言葉を伴って語ることが多いと感じていました。そうした話のバックグラウンドに、このときわずかながら触れたような気がしつつ、話を聞いておりました。

 岩田ジョッキーが騎乗することによって、馬がそれまで見てきたものとは違うレースぶりで活躍するシーンを、私たちはしばしば目にしているはずです。そのことは、例えば「地方出身ジョッキーだから」といった漠然としたイメージとか、「腕っ節が強いから」といったシンプルすぎる要素によって説明されようとしてきました。しかし追い方といった騎乗そのものの技術だけなら、他のジョッキーだって全くひけは取らないはずです。それでも岩田ジョッキーが乗る馬が他とは違う活躍する要素があるとすれば、彼が言う「思い込み」を排して馬に接し、馬が潜在的に持っている力を引き出すという「考え方」の部分も一つの大きな要素なのではないかと思えます。

 

 私は素直な疑問をぶつけてみました。

「しかし現実には、馬がレースの中で活躍するためには、例えば適性を考えるとか、馬装を工夫するとか、そういうことも必要なんじゃないですか?」

 

 彼の答えはこうでした。

「そういう課題を解決することも含めて、ジョッキーの腕でしょう。」

 

 実際には、彼自身の仕事が結果としてうまくいくことだけではなく、うまくはいかないこと、結果を伴わないことだって多々あります。それがジョッキーの仕事というものでしょう。それでも……つまり、うまくいかない場合の責任も受け止めることを含めて「ジョッキーの腕」と言い切ったところに、彼のプロとしての意識、そしてジョッキーとしてのプライドというものを痛烈に感じさせられました。

 と同時に、自らの「理想」と言ってもいい考え方への拘りと、それを仕事の中で実現したいという切なる思いが、その言葉からはストレートに感じられました。

 

 現実には、競馬の世界は様々な立場で馬に携わる多くの方々がいらっしゃいます。ですから、彼の考えはあくまでも彼の立場の中での、あくまでも一つの考え方と捉えるべきだと思います。実際、ディープブリランテがダービーを勝ったあと、管理する矢作調教師は「(ダービーに向かう過程の中で)ジョッキーの考えと厩舎のやり方がぶつかることもあった」と語ったと聞いています。そういうこともまた、良きにつけ悪しきにつけ一つの「仕事のありよう」と言えるでしょう。

 そんな様々な周囲の状況も受け止めながら、岩田ジョッキーは彼自身の考えるジョッキーとしての仕事の有り様を貫こうとしている。その姿勢に対して深い敬意を持つとともに、仕事は違えど「プロ」たるものとして自分もそういう姿勢で仕事に向き合いたいという強い憧憬の念をも感じた、この日の経験でした。







最終更新日  2012年06月19日 11時10分58秒
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