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2016年04月13日
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カテゴリ:坂田 博昭
 水曜日の担当は、坂田博昭です。
 
 
 稿は先週の続き。釧路の街を探訪中。
 
160413-1.jpg
 
 もう一度、幣舞橋。いつまでも佇んでいたい雰囲気があります。
  
 
 今日はいよいよ、競馬の話題。
 ホッカイドウ競馬の場外発売所「Aibaくしろ」を訪れます。
(取材日:平成28年3月29日)
 
160413-2.jpg 
 
 Aiba釧路は、先週ご紹介した釧路の街の中心部から車で10分ほど離れたところ、釧路川の街の中心がある側を少し上流にさかのぼったあたりにあります。
 
 離れた、と言っても不便な場所ではありません。
 いわゆる「ロードサイド」の店舗群が道路に沿って発展している国道から少し入った場所で、周辺は私が訪れた平日の日中でも結構な賑わいです。
 
 隣には……

160413-3.jpg
 
 でっかいイオンモールがあります。
 
 周辺にも…
 
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 様々な店が建ち並ぶ国道。この「国道から少し入ったイオンの裏手」という説明で、到着出来ると思います(笑)。
 そのぐらい、あたりは車の交通量も多く、平日昼でも人出がある地域です。
  
 
 Aibaくしろがオープンしたときはこうしたロードサイド店舗群が広がり始めた頃。イオンは先にこの場所に出来ていたそうで、いずれ「現代風の繁華街」が出来上がる中のうまい立地を先見の明で探り当てたということのようです。
 
 
 Aibaくしろについて詳しく見ていく前に、周辺事情をもう少し。
 実は、このAiba釧路のすぐそば。釧路川を渡った「向こう側」のほとり、釧路川を渡る橋のたもとには、JRAの場外発売所「ウインズ釧路」があります。
 
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 ウインズ釧路。やはりJRAの施設はデカい!!
 

 元々、ホッカイドウ競馬の馬券はウインズ釧路で売られていたそうです。
 それが平成10年度末に終了。その後1年間だけ駅裏にあるばんえい競馬の場外発売所・ハロンズ釧路に引き継がれたあと、平成12年4月にホッカイドウ競馬の自前の場外発売所としてAibaくしろが生まれ、この場所でホッカイドウ競馬の馬券発売が始まったそうです。

 いまでも勿論ウインズ釧路はあり、そしてばんえいが運営するハロンズ釧路も営業しています。JRAの開催日にはこの3箇所が全て営業し、地方競馬の発売も微妙に日程や発売場が異なるとは言え、Aibaとハロンズ2箇所で行われています。(ウインズはJRA非開催日は休館)

 人口18万足らずの地域の街に、場外馬券売り場が3軒。
 現地を訪れる前に客観的状況だけ調べた私は、この点から生まれるいくつもの「?」マークを頭の中から払拭できませんでした。この場所を訪れるまでは。
 
 そうした事情を前提に、Aiba釧路を見ていきましょう。

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 平日の午後にもかかわらず、なかなか盛況!
 
 この地域で盛んな漁業とか、あとは土木関係の仕事をされている方は、冬が過ぎ去るのを待ってこれからの季節が仕事。場外発売所も冬の間の集客はなかなかのもので、「1~2月はむしろ繁忙期」とのことでした。
 
 この日はデイの笠松とナイトの川崎を発売中。 
 「年配の方」というよりも、「壮年の方」の滞在がこの日は目立ちましたね。
 業務繁忙の季節になると、日中の客層はもしかしたら異なってくるのかも知れません。 
 
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 お客様が滞在するエリアの面積は、およそ250平米。
 元々酒の問屋さんがあった建物に建て増しをして、このようなスペースが出来上がったそうです。
 窓口は発払い5窓に発売2窓(いずれも自動券売機)。
 この日は4窓で対応していました。 
 
 全体的に明るいですし、清潔感溢れるフロアの雰囲気。
  
 「その場所で時間を費やすことにストレスが少ない」という、場外発売所が絶対備えているべき雰囲気が、この場所では保たれていると感じました。
 
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 単に座る椅子だけでなく、このように簡易な「机」も設置。
 これがなかなか優れもので、この上に新聞を開いて検討するだけでなく、少々疲れたらこの机の上に突っ伏して休むことも可能(笑)。
 
 いや、とにかく居心地が良くなければ、お客様方にいて頂くことは出来ませんから。
 
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 場内の一角にある「案内所」には、必ずこうしてスタッフの方が待機しています。
 
 初心者も少ないですし、広いとは言えない場内で「案内」すべきことがそれほど多いと思われないのですが、よくよく聞くとこれが重要。
 
 こうしてフロアに必ずスタッフの方が立っていることにより、窓口やフロアでのトラブルにすぐ対応出来るだけでなく、「トラブル自体の防止」に繋がるとのこと。これはなるほどと思いました。だからこの案内所には男性同士のトラブルへの対応やトラブル抑止効果を想定して、極力男性の方が立たれるようにしているそうです。
 
 
 前の週の浦和桜花賞の日の入場が 167名
 更にその前の週の大井京浜盃の日はナイターで229名
 
 この規模ですとこのぐらい、という数字の感覚が見えてきます。
 
 直近の週末日曜日、JRAでは高松宮記念が行われました。
 この日の入場が1100名。勿論こんな人数が場内に滞留できるわけはなく、どちらかと言えば「前売り発売所」の位置づけという方が実態に近いと思われます。
 有馬記念の日には2500名ほどの入場になり、さすがに場内は大混雑、発売は大行列になるとか。
 
 JRA開催の日のお客様方の流れには2つの波があるそうです。
 最初の波は、朝10時前後。恐らくお出かけ前に馬券だけ買われるお客様ですね。
 そしてもう一つの波は、午後3時前後にやって来ます。これはメインレースを買ってレースを見る方。
 小さな発売所ですが、お客様方のニーズに合わせてキッチリと昨日していることが窺われます。
  
 
 Aibaくしろの所長さん(2名いらして、交代での勤務だそうです)に、来客状況や周辺の事情についてお話を伺いました。

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 開業3年目から現在に至るまで所長を務める、布袋徳さん

 平成25年にJRAの馬券発売(J-PLACEくしろとして)が始まってから、お客様の動向が一変したと話す布袋さん。
 
「ウインズのお客様が、こちらに流れてきているんですね。」
 
 しかし、近くに大きなJRAの発売所があるのに、なぜ?
 
「色んな意味で、こちらの方が便利なんです。」
 
 聞けばこういうことだそうで。
 
(1)こちらの方が商業施設に近く便利な印象
(2)(ウインズがある)川向こうというのは、イメージ的に遠い印象
(3)平日も営業していて、払戻が可能
 
 実はこの(3)は地域の場外発売所にとっては大変重要。
 
 例えば場外発売所で朝馬券を買って、自宅でレースを見る。あるいは用事を済ませて夜に結果を知る。買った馬券が当たるかどうかはわからないけれど、もしも当たった場合にまた週末まで待ってウインズまで払戻に行かなきゃいけないのは面倒だと。その点地方競馬のJ-PLACEはほぼ毎日、しかもいまはほとんどの日に夜まで開いていますから、会社帰りなんかに立ち寄って払い戻すことも出来るわけです。
 
 
「あとは、JRAの馬券が買えるようになって、このAibaの存在を知ったという若いお客様も大勢見えるようです。JRAの馬券を売っているということは、新聞なんかでJRAが宣伝してくれますし。」
 
 存在を知り、来てもらえれば、その場で地方競馬の馬券も毎日売っていると言うことを認知してもらえる。気が向いたときに平日訪れて、地方競馬を買ってもらえるチャンスにも繋がるというわけですね。
 
 
 実際、平成23年の東日本大震災の影響で落ち込んだ馬券の売上げは、その2年後のJRA発売開始で一気に上向き。JRA発売分が増えただけでなく、平日売られているホッカイドウ競馬や冬場の南関東の売上も増加傾向が続いているそうです。
 
 一連のJRAによる競馬全体への「てこ入れ」は、こうした地域の場外発売所にとっては大きな恩恵となってあらわれているようです。
 
 
 その一方で、先行きに関しては危機感を口にする布袋さん。
 
「釧路全体で競馬ファンがどれだけいるのかはわかりませんが…いずれ近いうちに横ばい、そして減少していく可能性もあるのではないでしょうか。所詮は定まったパイの中の『取り合い』ですから。」
 
 先週もご紹介したように釧路の人口は着々と減少しており、その中での来場者数の増加、そして売上の増加がいつまで続くのかは懐疑的。ずっと釧路に住まい、そしていま現場でひとの動きをつぶさにご覧になっている方だからこその、冷静な視線ではないかと思います。
 
 
 釧路という街自体、人口の減少とか産業の衰退とか、社会や経済自体の縮小傾向にいまのところ歯止めが掛からない状況。
 
 そんな状況の中にあっても、地域の中でこのように「競馬」というものが存在感を保ち続けるためにはどうすればいいのか。
 
 それについての取り組みは、いまのところは「まだ」
  
 地域との連携。競馬以外の地域の事柄としっかりと手を結び、ともにこの「地域」を保っていくために、競馬が出来ることがきっとあるはず。
 いまはJRAがらみの施策で存在が保たれていても、いずれは大きな経済状況の波に押され、そうした大きな意味での存在感の確保が必要になってくるはずです。
 
 そうしたことを今から考えていけるかどうか。
 このような地方の大きめの街にある場外発売所だからこそ、そういうことがむしろ大切なのではないかと思わずにはいられませんでした。
 
 
 お話し下さった布袋さんも、ずっと釧路の町とともに生きて来られた方。
 
「石炭や紙パルプといった産業が、技術の進歩の結果需要が減り、漁業も北洋の遠洋漁業がなくなってからすっかり元気がなくなりました。競馬だけでなく、色んなことがどれだけ頑張れるか…」
 
 と憂えるような表情で話すのも、この場所のありように何か活路が見いだせないかとの思いからではないかと、推察する次第です。
 
 
 「地域」にあって競馬に何が出来るのか。
 これからもそのことを意識しながら、町々を回って見てこようと思っています。
 
 
 次回は、もっともっと小さな町の場外発売所を訪れてみます。 





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最終更新日  2016年04月14日 00時19分39秒
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