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カテゴリ:大川 充夫
ミツオーです。右足小指の生爪をはがしてしまいました。出血、激痛。 さて、わたくし先週は、金沢競馬と笠松競馬の実況を担当しました。 金沢競馬では10日(日曜日)に、3歳馬の重賞・第52回サラブレッド大賞典が、笠松競馬では15日(金曜日)に、東海・北陸・近畿交流の重賞・第44回オータムカップが、それぞれおこなわれました。 今日はこの二つの重賞レースにまつわる話題などを。 まず、少し古い話題となってしまいますが、10日のサラブレッド大賞典から。 金沢競馬では今年、石川ダービーが創設されたことで、3歳三冠戦線が四冠戦線にあらたまりました。 サラブレッド大賞典は、かつては三冠目、今年からは四冠目ということになります。 いずれにしても3歳重賞戦線の最終戦にあたり、2歳時から世代を牽引してきたグループと、春以降、場合によっては夏以降に台頭してきたグループとが激突し、世代の頂点を決める一戦として位置づけられます。 今年の金沢3歳戦線は、2歳秋からトップを走り続けたヤマミダンスとヴィーナスアローが中心のまま石川ダービーまできました。 が、三冠目のMRO金賞で上がり馬のムーンファーストが実績上位馬を破って優勝したことで、サラブレッド大賞典は混戦ムード。 それでも人気はヤマミダンスとヴィーナスアローに集まりました。ムーンファーストは3番人気。 3番枠から、この馬としては無難なスタートを切り、ダッシュもついたヤマミダンスが逃げ、11番枠を引いたムーンファーストが、まんまと逃げきったMRO金賞の再現を狙わんとばかりに競りかけます。 この競り合う2頭のペースが上がり、後続勢はバラバラの縦長となりました。 道中はほとんど全馬が内ラチ沿いを走る、しかも、前後との間隔を広めにとっての位置取りとなり、かなり珍しい隊形となりました。 ハイペースで逃げるヤマミダンスを追ったムーンファーストは、早々に苦しくなり後退。 かわって3番手追走からスムーズにヤマミダンスを追いかけたサッキーヘラクレスが差を詰め、直線はこの2頭のあらそいに。 手ごたえと勢いから、サッキーヘラクレスがヤマミダンスをとらえるか?と思われるシーンもありましたが、最後は脚色が一緒になり、ヤマミダンスが1馬身差、逃げ切りました。 (パドックのヤマミダンス) 2着サッキーヘラクレスから7馬身離れた3着にデルマキミコイシ。 (パドックのサッキーヘラクレス) (パドックのデルマキミコイシ) ヴィーナスアローやゴールドハリアーといった、追い込みを武器とする人気上位馬たちは、道中、あまりに前と離れすぎたことが祟ってか、末脚不発。 ここ数カ月の金沢競馬は、馬場が非常に特徴的です。 「内有利」 と、一言あらわせばそうなりますが、ある騎手の言葉をかりれば、 「内ラチ沿い1頭ぶんだけが軽い、というか、しまった感じで走りやすい。 2番手(=内から2頭目という意味。馬場について話を聞くと、みんなこの用語を使います)は絶対ダメ。馬が進んでいかない。 3頭目だと少しいいけど、もっと外のほうがマシで、でもあんまり外に行けばコーナーで振り回しちゃうし。 今は内ラチいっぱいを通るしかないですね」 なのだそうです。 写真に色付けしてみると、 このヘンな色のついたところが「進んでいかない」部分ということになるでしょうか。 写真は便宜上、直線だけですが、これが一周まるっとこういう状況だということです。 今回のサラブレッド大賞典について話を聞いた際にも、2着・サッキーヘラクレスに騎乗した中島龍也騎手が、 「4コーナーでは夢見たんですけどね(笑)。 直線でもかわしにかかってはいるんですけど、最後一緒になっちゃいました。 力の差ですかね…」 と言うと、ヤマミダンスの藤田弘治騎手が、 「でもヤマミダンスが2番手(=内から2頭目)だったら、結果1馬身差だし、替わってたよな」 と声をかけ、ヤマミダンスの逃げがハイペースではあっても、内ラチ沿いのベストコースを終始通ったことが大きかったということを話してくれました。 とは言え、内ラチ沿いのアドバンテージはあったにせよ、ハイペースで逃げ切ったヤマミダンスの強さは際立つものがあり、やはり今年の金沢3歳世代はこの馬が中心・代表であったのだなと、あらためて強く思わされた一戦でした。 12日(火曜日)には、金沢競馬場内ステージにて、先だって地方競馬通算1000勝を達成した、松野勝己調教師の表彰式がおこなわれました。 表彰式前にお時間をいただき、お話をうかがったのですが、ご自身の手がけた中でも特筆すべき代表馬と言える、トゥインチアズ(JRAもみじS=2歳OP勝ち、フェアリーS5着。地元重賞5勝)やノーブルシーズ(金沢最後の三冠馬。重賞6勝)について、また、自身の調教師生活を振り返って、いろいろとお話しいただきました。 (1000勝達成の松野勝己調教師) 諸々お話しになったあとで、 「いろんなひとに感謝だけど、一番はファンに感謝。 競馬はファンが来てくれなければ、つぶれる。実際そうなりそうな時期もあったわけだし。 ファンが来て、がんばれと言ってくれるから、またがんばろうという気持ちにもなる」 と、しみじみと語ってくださったのが非常に印象的でした。 15日(金曜日)、笠松競馬場では第44回オータムカップがおこなわれました。 こちらはすでに古谷さんが写真つきで詳しく書いてくださっていますので、カンタンに。 2番手追走から抜群の手ごたえで抜け出し、後続を突き放しにかかった兵庫のエイシンニシパ(1番人気)を、一見して手ごたえでは苦しそうにも思えた、同じく兵庫のウインオベロンが直線入り口で一気に抜き去り、最後は突き放して重賞初制覇。 ウインオベロンの手綱をとったのは吉原寛人騎手。 「追って味のある馬なので、最後まであきらめずに追ってきました。 (エイシンニシパが)前でフワフワと遊びながら走っている感じだったので、抜かすときは一瞬で抜かさないとヤバいと思って、エンジンかけるときに、コーナーの遠心力を使って一気にかわしさることができたので、今日は勝てたのかなと思います。 (馬体を離したのは)あんまり合わせすぎると、向こうもハミがかかるとイヤなので。 各地で乗せてもらえることがありがたいので、疲れはナシで(笑)。 こうして勝つことができると、疲れもなくなるので。 今日は応援ありがとうございました。また笠松に来ることがあれば、応援よろしくお願いします。 (…なんか疲れてませんか?)追って味があるんでね!(笑)けっこう追いましたね!」 勝負所の2周目3コーナーで、前を行くエイシンニシパの手ごたえが良く見え、対照的に追うウインオベロンは手がグイグイ動いていましたので、「エイシンニシパのほうがラクかな?」と思って見ていたのですが、タフな吉原騎手が追い通しに追って馬にカツを入れていたのだということが、上のコメントでわかります。 管理する盛本信春調教師は、 「距離はこのくらい(1900メートル)のほうが、長いほうがいいみたいです。 距離が1400メートルだと短いみたいです。 (東海の水があう?)そうですね、こっちの砂のほうが。コース形態とか。 このあとは白紙です。 地元の1700メートルは、コース形態が…出てすぐコーナーなので。 すぐコーナーがあるとなかなか位置がとれないので。 また他場に機会があれば、と思っています」 と話していました。 4走連続で対戦したエイシンニシパを下し、重賞制覇も成し遂げ、はずみがついたウインオベロン。 また東海地区で走る姿を見ることができるかもしれません。 ところで。 ここでも何度か書いてきましたが、笠松勢のこの手の交流重賞での苦戦が、ながく続いてきました。 が、昨年あたりから潮目が変わったように感じられ、今年はむしろ遠征先で笠松勢が活躍する姿が多く見られるようになりました。 その中の1頭・ハイジャ(名古屋でら馬スプリント優勝、園田チャレンジカップではトウケイタイガーの2着)ですが、園田遠征後に骨折が判明。現在、休養中です。 そのハイジャを担当する、木戸口智厩務員にお会いすると、 「ハイジャのケガは、以前ヒザの骨にヒビが入って休んだことがあるんだけど、同じ個所のほんの先っぽが、小さく欠けて離れたものです。 これを手術で取り除くために、現在は茨城の牧場で休養中です。 半年くらいで復帰できると思うんだけど。 ハイジャは精神的に、子ども子どもしてるかな。 両肩の間(前から見て両脚の間の、胸前の部分)が狭くて、指2本分くらいしかない。 ここの間隔が広いと、肩に筋肉がついているように見えて見栄えはいいかもしれないけど、ガニ股じゃないほうが力がしっかり伝わっていいんじゃないかな」 と、これはなかなか興味深い、面白いお話を聞かせてくださいました。 写真は、名古屋でら馬スプリントを制した際のハイジャ(写真提供:競馬エースさま。ありがとうございます)。 ようやく地元でも遠征先でも、笠松勢のいいところが見られるようになってきた矢先の休養となってしまったハイジャですが、木戸口厩務員も、主戦の佐藤友則騎手も「半年くらいで…」と話しています。 明けて5歳となるハイジャが、さらにいい走りを見せてくれるのを心待ちにしたいと思います。 と、どうにもアッチコッチ、バラバラな感じになってしまいましたが、実際わたくしアッチコッチ移動して仕事をした一週間ではあったのです。 行く先々で、多くの関係者から興味深いお話をうかがえたこと、いいレースを見られたことは本当にうれしいことでした。 今週は、個人的にはかなり久々の浦和に出勤します。 引き続き楽しんで仕事をしたいと思います。…足の指、痛いですけども。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年09月18日 09時00分15秒
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