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カテゴリ:大川 充夫
ミツオーです。あらためて、このたびの大きな地震、強烈な台風で被害を受けた方々に、お見舞い申し上げます。 さて、その地震の影響で、今週も門別競馬は開催中止となりました。 思えば7年前の大震災のときには、南関東地区でもおよそ1か月間、競馬が開催できませんでした。甚大な被害を受けた岩手では、もっと長く。 大きな災害が起き、ライフラインにダメージを受ければ、やはり心情として「競馬どころではない」という想いもあるでしょうし、実際的な問題として節電の必要や、交通の確保の面からも、被災地に近い場所では、即座に開催をおこなうことは難しいことです。 そうした苦労や気持ちに思いをいたしながら、しかし、競馬にはみなさんを元気にする力があります、と言いたいのです。 各競馬場で、西日本豪雨災害被災地支援の活動がおこなわれています。 場内での募金活動や、売り上げの一部を寄付、あるいは副賞相当分を寄付するといったカタチで、支援活動は続いています。 今後、台風21号や北海道胆振東部地震に関しても、同様の活動がおこなわれることでしょう。 そういった実際的な支援ができるのが、競馬であり競馬場なのです。 そして。 気持ちの面でも、みなさんを元気づけることができます。 それを最高のカタチで体現してみせたのが、モズオトコマエです。 (第14回イヌワシ賞優勝 モズオトコマエ) なお、先週の山中寛アナウンサーの稿に続き、今週も、写真をクシマデザインさまにご提供いただきました。 素敵な写真の数々をお楽しみください。 先週火曜日(11日)、金沢競馬でおこなわれた地方全国交流重賞・イヌワシ賞で、ホッカイドウ競馬所属のモズオトコマエが優勝しました。 大地震発生からわずか5日後のことで、輸送ができるのか、北海道から金沢まで移動できるのかどうか、現地・北海道の様子をくわしく知ることのできない我々は、まずその点をかなり心配しました。 が、陣営のみなさんはこの輸送を見事にクリア。 あとで古谷剛彦さんにうかがったところ、この輸送に関しては道路状況の悪くない地域を通るだろうから、とのことでした。 それにしても、関係者のみなさんも被災し、そして地元開催の再開見通しが立たない中、遠く金沢までの輸送を敢行するには、たいへんな苦労があったことと思います。 ただ移動するだけでも大変なところを、馬のコンディションも整え結果を出した陣営には、感服するほかありません。 第14回イヌワシ賞、レースは金沢のナガラオリオンの大逃げに沸きました。 ナガラオリオンはJRAダートの短距離を中心に活躍し、オープン勝ちのほか、マイルチャンピオンシップ南部杯では5着。また、芝の重賞・阪急杯で3着という経歴もあるスピード馬。 この春、9歳にして金沢へ移籍してきました。 実績から言って、金沢のオープンでは断然トップで当たり前。 移籍直後には、1500メートル戦・1700メートル戦をいずれも圧勝しました。 遠征したさきたま杯で大敗後、地元の短距離重賞・日本海スプリントでは人気にこたえられず4着という成績で、今回2カ月ぶりの登場でした。 2000メートル戦は出走歴もなく、はたしてこの距離でスタミナがもつのか、いやいや、スタートのあまり上手くないこの馬としては、もしかしたらある程度距離があったほうが挽回もきき、いい方に出る可能性も…と、不安と期待相半ばといった状態で、直前2番人気。 この馬としては上手く出たスタートから、ナガラオリオンは一気にスピードにのり、単独の逃げ。 この逃げがかなりのハイペースで、2番手以下を離しての大逃げでした。 道中、ざっと2番手との差を数えてみましたが、2秒ちかく離していたのではないでしょうか。 (大逃げのナガラオリオン) (離れた2番手集団。ここから前を追って行きたいところですが…) 大きく離れた2番手以下に、モズオトコマエ、ノースウッド、ムーンファーストらが続きましたが、残り600メートルを切った段階でもまだその差は詰まらず。 ここからモズオトコマエとムーンファーストが徐々に逃げ馬を追いあげ、しかしこの差ではさすがに逃げ残るか?という状況のまま直線へ。 (直線の攻防。内ラチ沿いを逃げるナガラオリオン、馬体を離してかなり外から追ってくるモズオトコマエ) ハイペースで逃げたナガラオリオンは、さすがに最後の直線で脚が上がりましたが、それでも一杯に粘る粘る。 そこへ外からモズオトコマエが襲い掛かり…。 2分の1馬身、とらえたところがゴールでした。 (ゴール!馬体がかなり離れているので、2分の1馬身差でも、かなりの接戦に見える) ナガラオリオンの上がりは40秒7。 モズオトコマエのそれは、38秒5。 …うん、やっぱり2秒以上、離れていたんですな。 ちなみに、ナガラオリオンの上がり40秒7は、メンバー中、最も遅くなりましたが(タイ)、3着ムーンファーストの上がりが40秒2と出ていますから、追いかけて差を詰めたいところが、ほとんど一緒になってしまったということで、このことからもモズオトコマエが最後までよく切れたことがわかります。 モズオトコマエの手綱をとったのは、兵庫の鴨宮祥行騎手。 これがうれしい初重賞制覇となりました。 園田競馬も、台風21号の影響をまともに受け、今月5日~7日の開催がおこなえませんでした。 厩舎や競馬場にも被害があったことと思います。 鴨宮騎手の初重賞制覇は、災害におそわれた園田競馬関係者のみなさんにとっても、大きな喜びとなったことでしょう。 地元・金沢のファンや関係者としては、「また遠征馬にやられた~」という悔しさがある一方で、ホッカイドウの馬と兵庫の騎手が勝ったことを喜ぶ気持ちもあったのではないでしょうか。 表彰式では、たくさんの温かい声援が優勝馬関係者のみなさんにおくられていました。 (表彰式でインタビューにこたえる鴨宮祥行騎手) 鴨宮祥行騎手コメント 「うれしいの一言です。 北海道の地震で大変なことになったんですけど、そのひとたちに少しでも元気を与えられたらいいなと思って、レースに乗りました。 (大逃げ、道中ずいぶん差がありましたが)う~ん、止まってくれへんかな~と思いながら(笑)。 そしたら直線で、向こうは休み明けのぶん、行き脚が鈍ったので、届いてくれ!と願って追っていました。 200切ったくらいで、ボクの馬がもう一回ハミとってエンジンかかってくれたので、大丈夫かなと思ったんですけど、初めての競馬場なので、それだけはわからなかったですね。 ホッカイドウの馬で、金沢競馬場で勝つことができました。 それも皆さんのおかげだと思っています。これからも地方競馬全体を盛り上げていけるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします」 (口取。馬主さんの笑顔が実に印象的です) 北海道胆振東部地震ならびに台風21号による災害からの、一日も早い復興をお祈りいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年09月17日 09時00分18秒
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