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2020年06月12日
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カテゴリ:古谷 剛彦
 金曜日は、古谷が担当します。

 昨晩から今日にかけて、SNSではパドック解説について賛否の意見が随分飛び交っていました。正直、今朝の様々な書き込みを見るにつけ、当事者がどんな思いになっているか心配だったので、夕方に電話で話しました。


 ここでは名前は挙げませんが、彼は今年からパドック解説をすることになり、シーズンが始まる前に師匠である高倉さんはもちろん、僕にも相談をし、僕なりにアドバイスもしました。その中で、シーズン途中からとりあえず1日1レース、パドック解説を任される状況で始まりました。考える力、書く上での表現力は若いのに高いものがある一方で、自分でも喋りの方は自信がなく、その上で本人なりに不安は相当あった中での解説だったと思います。日々重ねるにつれ、少しずつでも放送にのっかる中での喋りは上手くなっていたとは感じていました。その中で起きた今回のSNS騒動だったので、ちょっと心配しましたが、高倉さんとも話し合ったそうですし、パドック解説の難しさを改めて感じたと話していました。


 僕も今朝、ツイッターでパドック解説のことを書きました。文字数が決まっている中で、どのように書いたらいいか難しかったんですが、どれだけ伝わったか不安です(-_-;)


 自分の体験談として、ホッカイドウ競馬でパドック解説をやることになった2001年のシーズン終盤、門別競馬場で、各関係者との懇親会に参加しました。今はシンガポールで調教師をされている高岡師に声を掛けられ、行った先で大勢の調教師の方々とパドック解説について、批判なども受けました。その一例が蹄鉄の話でした。当時、平鉄(蹄鉄の一種)を多用していた調教師に、「平鉄、平鉄っていちいち言うけど、平鉄の何が悪いんだ!」と言われました。僕自身は悪いというつもりはなく、兼用蹄鉄より重い蹄鉄なので、蹄鉄にも種類があり、多少重い蹄鉄を履いている事実を伝えることにより、ファンがその状況下でどう考え、馬券を買うかのヒントになればというスタンスで解説をしていました。


 人に置き換えれば、革靴と運動用のシューズで徒競走を行った時、どちらが走りやすいかを考えればわかりやすいかと思います。平鉄は兼用蹄鉄より打ち換えの頻度が少ない分、蹄の弱い馬にとって保護する上で大切な装備だと認識していました。ですが、馬券を買うファンにとって、蹄鉄にも色んな種類があることを知らない人は多く、ちょっとした重さで走りが変わることを指摘することで、競馬を観るスタンスに良い意味での変化が起きれば…と思っていました。地方競馬は何かと、人気馬が負ければ「八○長だ!」と言われることが多いので、パドックで気づいたことを指摘することにより、人気馬でも不安点を抱えた上で馬券を買うなら、その方の自己責任になると思うし、本来の走りができなかった時にレース後の敗因として説明もできます。高倉さんと常に話し合っていたのは、


「中央競馬と地方競馬は、レースの仕組みに何も違わない。パドックで伝えられること、ラップなどから読み取るレース解説をしっかりすることにより、中央競馬のような中継をすることで、ホッカイドウ競馬に目を向けさせる努力をしていこう」


ということでした。話は戻りますが、平鉄のことを伝えた後、その調教師から言われたことは


「何も怒っている訳じゃないんだ。ダメなことを指摘するのも、こちらとしても感じてることはあるし、それをどうこう言うつもりもない。ただ、君の解説はトゲがある部分もある。それをもっと、柔らかく表現できる術もあるだろう。例えば、悪いことと良いことがその馬にあるとすれば、悪いことを言った後にフォローする上で良いことを伝える。そうすれば、聴く側も雰囲気が変わると思うんだ」


でした。懇親会が終わった後、高岡師に呼ばれ、


「ごめんな。俺は、古谷くんは勉強していると思うし、本当に頑張っていると思う。ただ、君を良く思わない人は少なくないという現実もあり、それを知って欲しかったんだ。そういった意味でも、このような場がちょうど良いかなと思って、色んな調教師と話し合い、君がさらに上を望めるようにと思ったんだ。別に、君のスタンスを変える必要はないから。でも、今日言われたような意見を聞いて、古谷くんも感じて欲しい部分もある」


と言われました。月日が経った後も、別の調教師からパドック解説について、悪いことばかりでなく、良いところを探してフォローできるような解説ができるようになると良いのでは…というアドバイスでした。確かに、「〇だけど×」「×だけど〇」は、同じことを言っていても、聴く側のニュアンスは違うはずです。これは、関係者への忖度ではなく、どんな馬にも良い面はあると思ってパドックを見れば、何か発見できることがあると、僕なりに解釈しました。


 パドックだけの話ではなく、高倉さんと話している中で、自分の中でも肝に銘じていることがあります。


「実力がはっきりしていると思っても、それは主観であり、本当に自分が思っていることが正解かはわからない。だから、どの馬にも勝つチャンスがあるという視点でメンバーは見るべき。そして、すべての馬に◎を打つと思って、各馬の可能性を見出し、良い所を見つける努力はすべきだと思うよ。そうすれば、レース後の解説をしなければならない時、展開のアヤの一言で片付けることなく、レースのメカニズムを伝え、なぜ勝てたのかを言えるようになるはずだから」


 パドック解説も難しいんですが、レース直後の解説は、実は解説者としての技量が問われるところです。これは、子供の時に大川慶次郎さん、松本憲二さん、柏木集保さんの解説を聴いて勉強したことに加え、実際に喋ることになった時にレースラップを採っていることが解説の武器になりました。時計の重要性は、ブック本紙の末松さんに教わりました。


「レースも調教も、時計採ることで自分のためになる。自分のベースになる数字を持っておけば、幅が広がる」


 人数が少ない環境で仕事をしていたからこそ、フリーで関係のない僕に対して色んなことを伝えて頂き、それを糧にしたつもりです。色んな方々の言葉を自分なりに解釈し、日に日に話し方を変えるようになりました。ある時、最初の頃に否定的だった調教師と会った時、


「解説、うまくなったな。調教師や騎手はみんな聞いているから、これからも頑張れよ」


と言われた時は、嬉しかったですね。


 自分の世界観で話すことができるYouTubeとは違い、テレビやラジオは、自分だけの責任ではないだけに、話の仕方は当然変わります。何も、関係者へ忖度した解説をしている訳ではありません。その後も、各馬の欠点をつく話の仕方は貫いていましたが、その後にどうフォローするかを考えられるようになった点で、聴く側に良い変化をもたらせたのかなと思いました。


 何事も経験です。メディアに出るってことは、批判を受けることも多く、気が滅入ることもあります。ただ、怒られたり、批判的な意見から自分を高めることもあります。打たれ強さを持っていないと、正直やっていけない仕事にも感じます。若いことの特権でもあると思います。だから、上から感情的にガーっと言ってしまい、若い芽を摘むことの方が、競馬業界にとって悲しいことだと思います。自分がこんなことを書くようになったのも、年を取ってきたなぁと感じる時でもありますが、順風満帆の人生なんてありません。ですから、色んな意見があることを受け止め、めげずに日々是勉強の精神で来週も解説して欲しいと思います。






最終更新日  2020年06月13日 02時02分21秒
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