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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。
浦和競馬、2日連続ゲリラ豪雨で開催打ち切りかあ・・・。関係者の皆様、お疲れさまでした、としか言いようがない・・・。 先日の盛岡のゲリラ豪雨の時なんかもそうなんですが、短時間に大量の雨が降ってしまうとコースの排水能力を超えてしまうんですよね。強い雨で砂が流れてしまうし、雨が止んだとしても砂の中の水が多すぎてクッション性が低下してしまい、そのままではレースに使えません。 なので、砂の中の水を少しでも速く排出するために「水切りハロー」のような特殊なハローを使ったり、流れた砂を移動し直して砂厚を整えたりしなくてはなりません。それが結構時間がかかります(コースの大きさによりますが)。 ★ブレード状のローラーでコース表面に溝をいれて砂の中の水を流す「水切りハロー」 浦和の場合は業務エリアの浸水という事もあって開催続行不可能となった部分もあったのでしょうが、コース整備を考えると「雨が止んだ、じゃあ再開」とはいかないんですよね。 あと雷も怖いですね。競馬場のコースって直ぐそばにスタンドやパトロールタワーのような高い建造物があるから避雷針替わりになると思われるでしょうが、コースに落ちる事もあるんです。昔水沢競馬場で内馬場のグラウンドに落ちたのを見ましたよ。パトロールタワーとかあっても無理無理。 自然現象には勝てないと諦めるしかないとは言え、最近多すぎませんかねえ・・・。 さて、8月10日の盛岡競馬場ではスプリント重賞『クラスターカップ』が行われました。優勝したのはマテラスカイ。優勝タイム1分8秒5は盛岡ダート1200mのレコードのみならず日本レコード!となりました。 ★クラスターカップ/優勝マテラスカイ号 マテラスカイはこれでダート1400mとあわせて2つの“日本レコード”保持馬に。また、前のダート1200m日本レコード・1分8秒7を持っていたビクトリーテツニーもマテラスカイと同じ森秀行調教師の管理馬でしたから、森調教師は日本レコードを塗り替える馬を約12年ぶりに自身の手で送り出したことになります。 森調教師がマーキュリーカップで来盛された際に、マテラスカイがクラスターカップに出るのは本当かどうか?というところから伺ったのですが、「マテラスカイにとっては日本のダートはどこも砂が深すぎる。その点盛岡は日本で一番軽いダートやと思うから、ここならこの馬に合ってるんじゃないかな」。だからクラスターカップに来るよ、というお話を聞いておりました。 ただ、クラスターカップの週は天気予報ではもっと雨が続く予定で、当日も直前まで「雨」予報だったのですが、フタを開けてみれば雨は降らずコース状態も当日のうちに重から良まで回復するくらい。いわゆる“パンパンの良”では無かったとはいえ森調教師が思っていた以上に回復していたようで、レース後のコメントにあった「差し切って勝ってくれて正直ホッとした」というのは、本当に正直にそう思われた感想だったのではないか・・・と想像します。 今後に関しては、既報の通りにJBCか米・ブリーダーズCかの両方を見据えての模様。「ブリーダーズカップに行けるなら行きたい。ただ、馬は行けるが人が難しいからどうなるか分からない。アメリカがダメならJBCへ」というお話。出国入国の難しさだけでなく今後の状況がどう変わっていくかが見えづらいという事も心配されているようでした。いざ行く準備をしてみたら制限強化、とかになったら面倒ですものね。 今回は3着・ブルドッグボスを称賛する声も多いですね。結果は3着とはいえ背負った斤量は59kg。それで上がり最速を叩き出しつつの1分9秒0。3年前にクラスターカップを勝った時が旧レコードの1分8秒8ですけどもその時は54kgですからね。5kg余計に背負って、年齢も3歳重ねて、それで0.2秒しか違わないのは凄い。さすがはJpnI馬の底力。 ★ブルドッグボス(クラスターカップパドック) マテラスカイで優勝した武豊騎手。レース後のインタビューで「久しぶりにお客さんの前のレースで、馬は落ち着いていましたが自分が緊張しました」と笑いを誘ってくれました。 ★武騎手の“小さい”ガッツポーズ ゴールする時、直前まで打ち込んでいた右ムチを握り直して、軽く上げた武騎手。それ以上は高く挙げず、顔をスタンドの方に向けるでもなく、その姿勢のままゴール板を通過していきましたよね。なんというかそれがこう、武騎手からのメッセージというか気持ちというか、派手じゃないけど心がこもったガッツポーズだったなと、写真を撮っていて感じました。 レース後のインタビューでは武騎手はこうも言われていました。 「お客さんに見に来ていただいてこその競馬かなという事を改めて実感しました。今日は久しぶりにファンの皆さんの前でレースができて嬉しかったです」 そんな気持ちをさり気なく見せてくれた“小さいガッツポーズ”だったのかな、と。 口取り写真の後にはスタンドの方に向かって手を降ったりもしていたし、「ファンの皆さんの前でレースができて嬉しかった」という言葉はリップサービスでもなんでもない本当の気持ちだったのでしょうね。 ★お客様の方に手を降っていた武騎手。これを撮ろうとした自分が向こう側からの写真に盛大に見切れてしまう悲劇が発生 今年のクラスターC当日の盛岡競馬場の入場者数はのべ2676人という発表。先日のマーキュリーC当日は1333人、昨年のクラスターC当日は6944人でしたから、今年のマーキュリーC比ではほぼ倍、昨年のクラスターC比では約40%になります。 SNSなんかで「人多すぎ」「クラスターCでクラスター発生するぞ」とか言われていましたけど、パドックに人が集まったのはメインレースの時だけと言って良いくらいで8RのJRA条件交流戦でも最上段のところに1列分並ぶかどうか、下の空間はガラガラでしたし、一番混んでいたクラスターCのパドックでも皆さんマスクをして静かに立っておられた様に見えました。 レース発走の際も、かつてなら良く発生した「ファンファーレにあわせた歓声」などなくごく控えめに拍手が起きただけ。ゴールの時は確かに大声で叫ぶ声が聞こえてきて、それは残念というか我慢していただきたかった所ですが、それにしたってスタンド全体がそうだったという事ではなかったと思います。 全部を見て歩いたわけじゃないですけども、クラスターCの日のファンの皆さんは人が多いなりに間隔をとりながら、ルールにしたがって、静かに観戦されていたと思いますよ。 田中洸多騎手の事も書きたかったのですがまた次の機会に。そして来週は、何事もなければ久しぶりの遠征ネタ、YJSトライアルラウンド門別のお話をする予定です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年08月13日 23時29分57秒
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