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カテゴリ:太田 裕士
火曜日担当の太田です。
もう皆さんご存じかと思いますが、6月2日にホクショウマサルがあの世に旅立ちました。突然の知らせに言葉がありません。 ばんえい記念優勝後、体調が悪くなり、今季はレースに出走することはありませんでした。一時は大分体調も回復していたという話で、競馬場で行われるオリンピックの聖火リレーの代表馬にも選ばれておりました。昨今の事情で幻の聖火リレーとなってしまいましたが、リレーの練習もしていたようです。 先日のばんスタアンサー収録時に阿部武臣騎手に現況を伺ったところ、「体調良くなってきたよ。夏から秋にかけて復帰できそう。」「何とか種牡馬にしてあげたい」とお話でした。 つい先日このようなことを言っていたのに、突然倒れて、そのまま帰らぬ馬に。我々がこれだけ残念で、悲しいという気持ちですので、厩舎関係者の気持ちは計り知れない悲しさでしょう。 現在ホームページでは、ホクショウマサルの追悼ページが掲載されております。 この中の阿部武臣騎手のコメントは、グッとくるものがあります。 ずっと世話をしてきた馬が突然急変し、目の前ですっと息を引き取る・・・・ 生き物ですから必ず死はあり、逃れられないのですが、かなりつらかったことでしょうね。 無観客で開催が行われている帯広競馬場ですが入場門では、ホクショウマサルの献花台が設けられております。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() メッセージを書いたりもできます。お近くの方は、お越しいただいて手を合わせていただければ幸いです。 また、楽天競馬では、ばんえいコインでホクショウマサルへ供花を送る企画を実施。楽天競馬会員有志一同として供花を帯広競馬場へお届けします。全国にいるホクショウマサルのファンの方は、こちらの企画を利用して弔っていただければ幸いです。 ![]() 私がばんえい競馬にかかわるようになって、ここまでドラマのある馬はほかにいません。 2歳時から能力を発揮し、イレネー記念を制覇。翌3歳世代の頂点決戦ばんえいダービーも制覇し、将来的にかなり有望視されていました。 そこから少しずつ喘鳴症の症状が悪化し、2016年3月から長期休養。手術をへて2年4か月ぶりの2018年7月に復帰。 ばんえいは3年間の賞金でクラス編成されます。6歳シーズンになると2歳時稼いでいた賞金がなくなります。よって3歳、4歳、5歳の賞金でクラス編成。若い時に活躍してその後苦労していた馬も、6歳でかなり降級する馬がいるわけです。 ホクショウマサルは2年4日月休養していたので、2歳3歳時に稼いだ賞金がなくなり、0賞金からのスタートでした。ということで一番下のクラスで復帰。オープンにいた馬ですから、体調が良ければさすがに下のクラスでは負けられません。怒涛の連勝街道ということになったわけです。それでも10連勝ぐらいまでは、それほど気にもしていませんでしたが、勝利を重ねていくうちに、ばんえい連勝記録を持つサカノタイソンの19連勝が見えてきました。そこをクリアして、今度は日本記録へ向けて突き進むわけですが、クラスも上がってきて、また、年間に稼ぐ賞金によって5キロ、10キロと加増されるので、そんな簡単ではないだろうと思っておりました。ここまでくると阿部騎手も相当なプレッシャーだったと思います。我々実況も注目度を増すにしたがってプレッシャーでしたね(笑)最後はオープンまで上がっても途切れることなく勝ち続けました。日本記録の30連勝達成時は全国ニュースにもなり、ばんえい競馬の知名度を高めてくれました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (30連勝時) ![]() ![]() ![]() (31連勝時) ばんえい最強馬「オレノココロ」は知らなくても「ホクショウマサル」は知っているという人が多くいましたからね。そして、32連勝がかかるレースは「ばんえい記念」という大舞台を選んだあたりも、本当にドラマがあると思いました。結果負けはしましたが3着と大健闘。残念ながら、ばんえい記念初の無観客でのレースとなりましたが、多くのファンが感動したことでしょう。 ただ、ホクショウマサルはここからまたスランプに陥るわけです。ばんえい記念の重量に対する後遺症「重病み」に悩まされてします。阿部騎手をはじめ厩舎でしっかりケアをして無理させず、調整してきました。8月の終わりにようやく体調がよくなり勝利。冬になり本格化して、前の年同用に準重賞のばんえい十勝金杯、ウィナーズカップを勝利。そして、年度末「ばんえい記念」に挑みました。 オレノココロ、コウシュハウンカイの最強馬の引退レース。話題性も多く、もちろんホクショウマサルも注目の1頭。 ばんえい記念当日は雪降り。ホクショウマサルにとっては恵みの雪だったかもしれませんね。 もうご存じの通り、ばんえい記念を見事に制覇。連勝が途切れた大一番で、昨年の借りをしっかり返して勝利するあたり、ドラマであり、まさにスーパースターですね。 しかし、このレースがまさか最後のレースになるとは思いもしませんでした。 年齢的に言えば10歳で、今季が現役ラストイヤーだったと思います。今季ばんえい記念までの1年楽しみにしていた方も多くいらっしゃったことでしょう。そして、引退後はマサルの血を受け継いだ子供たちが、また再び競馬場を賑わすだろうと思っておりました。 ばんえい記念後体調が悪くなったと聞いた時も、昨年同様に重病みかなと思っていたのですが、どうもそうではないらしい。神経系の病気だとのことで心配ではありました。ただ、こんなにもあっさりとこの世を去るとは本当に思っていなく、スターホースの突然の死に、ただただ呆然とするだけ。 ホクショウマサルのおかげで、ばんえいを知るきっかけとなり、ばんえいファンになった方もいることでしょう。全国にばんえい競馬を広めてくれたホクショウマサルには感謝しかありません。伝説となったホクショウマサル。どうぞ安らかにお休みください。合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月09日 08時50分25秒
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