地方競馬の楽天競馬|日替わりライターブログ

2024/04/24(水)10:23

かけがえのない ひとつの勝利を目指して

坂田 博昭(909)

水曜日の担当は、坂田博昭です。    今週は、佐賀競馬のリポート。  4月21日日曜日、重賞の佐賀ヴィーナスカップ当日に出かけてきました。    最近……どこに取材に行っても、天気が悪くて。  この日も、夕方まで時折土砂降りになるような雨でした。  それでも、熱心なお客さま方がスタンドに、そして時にはこうしてコース際で声援を送っています。  いつもと違う風景でレースの写真を。  あっ!これ、調教師の区切りの勝利だった(汗)  4月21日の4レース  キクノミヤビ(写真左)が勝って、管理する山田徹調教師が通算500勝を達成しました。  写真左から2人目が山田徹調教師  騎乗した兵庫・鴨宮祥行騎手(写真一番左)は、「みなさんで積み重ねてきての500勝なのに、自分がポッと来て勝ってなんだか申し訳ない」と、恐縮しきり。  まあ、南関東に行っていて不在の「義貴」のかわりも「ヨシキ」だったと思えば、とてもふさわしかったのではないでしょうか(笑)。 「(6年で500勝というのは)早かったですね。順調にここまで来られたのではないかと思います。」  山田徹調教師は、そのように感想を話しました。 「年間100勝、割り算すると月に8勝。そのぐらいの気持ちでやっています。それ以上勝とうとすると、どうしても馬に無理をさせてしまうことになりますから。馬をきちんと休ませながら、月に8勝。これが丁度いい数字なのかなと感じています。」  調教師の仕事というのは、あまり注目されることがないのですが……競馬というスポーツの極めて重要なプレイヤーであることは間違いありません。預かる馬を集めて、その馬を仕上げて、レースに出す。お客さんである馬主がいて、お金が巡って、馬の周りには人も大勢いて、そうしたことをすべてマネジメントしていかななければ、レースというプレーの結果には結びつかないのです。 「いまは40頭ほどの頭数を預かってやっていますが、開業した頃は15頭でした。人手もままならなかったので当時は本当に必死にやっていましたね。」  そこから、規模を大きくしていくのは、判断も必要。どこかで「きっかけ」のようなものはあったのだろうか……?? 「当時は規模が小さいので、勝ち鞍がいきなりバンバン上がるということはないのですが……勝率が良かったんですよね。」  なるほど……勝率。 「勝率が良かったんですよ。当時から。だから、このまま規模を大きくしていけばいいのかなと思いました。実際その通りでしたね。」  恐らく、勝率が物語っていたことは「やっていることはそれほど間違っていない」ということだったのではないでしょうか。当時その立場で確信することは出来なかったのかもしれないけれども……何かを頼りに、更に挑戦していこうという「気持ち」が、今に結びついたのかも知れません。  子息・山田義貴騎手のデビューと活躍も、この間大きな節目になっていました。 「義貴がデビューするとなって、本人も、(所属する)自分の厩舎も苦労するだろうなと思っていました。勝ち鞍は減るだろうなと。デビューしてそう簡単に勝てるものではありませんし、所属厩舎としては新人騎手に馬を用意しなければなりませんから。」​  親子で、という形だけが注目されがちですが、実際に仕事となれば現実的なことが問題になるのも事実。新人騎手と所属調教師、という関係性の中で、どのように仕事を成立させていけるかということも、大きなテーマだったのでしょう。 「​義貴が思った以上に頑張ってくれて、厩舎の成績はむしろ上向きました。やはり厩舎の『乗り手』​​​​​​は勝ち鞍の上でも日々の調教の面でも重要です。義貴が南関東から帰ってきて、ひとまわり大きくなっていたら、厩舎にとっては大きな力になると思いますよ。それを楽しみにしています。」  山田義貴騎手がNARグランプリの最優秀新人騎手賞を取ったとき、山田調教師も「俺も狙ってた(笑)」と話したその気持ちが、改めてよくわかりました。 「実際『義貴で重賞を勝ちたい』と言ってうちの厩舎を応援してくれて、毎年馬を持って下さるオーナーもおられるんですよ。本当に有り難いことです。」  競馬って、こういう様々な人のつながりで出来ている。  ひとつの節目に、興味深い話を聞くことが出来ました。  この日のメインレース・佐賀ヴィーナスカップは、グランダムジャパンの古馬・春シーズンにも組み込まれている、牝馬の重賞。  ​「サガン鳥栖杯」​ということで、馬を引くスタッフの方々はみんな、サガン鳥栖のホッケーシャツを着用していました。  本当に……この日は観戦にとっては天気だけが残念。  高知から2頭、兵庫から2頭が遠征。  とりわけ、高知でグランダム・ジャパンのレジーナディンヴェルノ賞を勝ったミニョンが一番人気に推されました。  雨が降って、軽い馬場。  ペース次第で単純な前残りとは言えないけれど……前が止まりづらいのも事実。スタートしてからの位置の取り合いは、なかなか熾烈でした。  1番枠がどちらに出るかと心配されたアンティキティラが、出して行って逃げた馬の直後の3番手。  ミニョンは好位グループの中(赤帽)。  兵庫の2頭、クリノメガミエースとアイヤナは、更にその後ろ。  結果的には、この位置取りが明暗を分けました。  抜け出しかかったアンティキティラ(内目の白帽)に、一瞬詰め寄るところを見せたクリノメガミエース(馬場中央黒帽)でしたが……そこから差が詰まらない。  アンティキティラと多田羅誠也騎手  この馬の重賞勝ちは、1年半前の名古屋・秋の鞍以来。  今年もう5歳ですが、健在ぶりをアピールしました。  惜しかったのは、クリノメガミエース  昨年のこのレース3着、今年は2着と、またも勝利を阻まれました。 「勝負所で勝ち馬が内に行き、それに着いていっても仕方がないと思い、外を回して勝負に行きました。一瞬並ぶかという感じでしたが、やはりこの馬場では……そこから脚色が一緒になってしまいました。」  笹田知宏騎手は、本当に残念そうな表情で、このようにレースを振り返りました。  石橋満調教師も 「前へ行くだけでなく、控えて脚を使わせる競馬もさせて、徐々にそういうレースが出来るようになって来てはいますが…今日の馬場では厳しかったですね。」  やはり、勝たなければ仕方がない…という思いが、表情ににじみ出ていました。  パドックでのクリノメガミエース  メンコには「女神」の文字が。  ジャパンカップへの挑戦は、見る人にとって「様々な」思いや感情を呼び起こしたようです。ただ、その結果この馬のことが知られて、存在感が高まったことも事実。ファンも増えたはず。    この馬も、いいレースは続けているのに、前回の重賞勝ちはおよそ2年前のぎふ清流カップ以来ありません。  次こそは、こちらが久しぶりに、重賞制覇を。  これから夏に向かってのレース振りに注目していきたい馬です。    多田羅誠也騎手の勝利騎手インタビューの模様は、​佐賀競馬オフィシャルYoutube映像のこのあたりから。​  この馬のことは何度も取り上げていますが…改めて、2歳時に門別で気難しさ丸出しでも素質を見せて頑張っていた時には、それでもこのように長く、レベルの高い活躍を続けるとは、想像していませんでした。  門別でこの馬に携わった人々、そして高知に移ってから携わっている人々。皆さんの思いが結実して、いまのアンティキティラの活躍があります。  後列右から4人目が、別府真司調教師 「今回は馬の状態はそこまで良くなかったのですが、やはり佐賀の馬場は合いますね。この馬に関しては、毎年毎年『今年が最後』というつもりでやっています。今年も同じ気持ちで、頑張ってやっていきたいです。状態を見て、エンプレス杯に挑戦したいですね。」  先に引退したダノングッドが、「お婿さん」として待っていますが……アンティキティラの活躍は、まだまだ続きそうです。 (日数は、4月21日現在の数字です)  もう……秋のJBCまで200日を切ってるんだな。      次回は、笠松からの予定です。

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