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横川典視

2021年04月22日
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カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 18日に行われた3歳牝馬の重賞『あやめ賞』。ゴールデンヒーラーが1番人気に応えて勝利したわけですが、レース後、佐藤祐司調教師よりダービー路線への挑戦が改めて表明されました。


★ゴールデンヒーラー(あやめ賞優勝時)

 ​実は2月に書いたこのブログ​でも“ウォッカを目指したい”という表現でダービー路線へ向かいたいという意向を表明されておりました。
 その時はあやめ賞の後は留守杯日高賞から東北優駿というローテーションもあるかなという感じでしたが、改めて示されたのは3歳三冠一冠目のダイヤモンドカップから牡馬との戦いを挑むという路線。リュウノシンゲンと真っ向勝負を挑む・・・という途を選ばれたわけですね。

 折しも、というべきか、JRAでも桜花賞2着のサトノレイナスがオークスではなくダービーに向かう、7年ぶりの牝馬によるダービー挑戦と話題になっています。岩手でも3歳No.1牝馬がダービー挑戦へ。このチャレンジがどうなるか?期待と興味が高まりますね。

 という事で今回のお題は『牝馬による“ダービー”挑戦』。岩手での牝馬のダービー挑戦を振り返ってみましょう。

 ・・・なのですが、岩手競馬の“ダービー”として何を挙げるか?はちょっと悩むところです。本来なら不来方賞なのでしょうが、ダービーグランプリ創設後はトライアル的なポジションになっていますし、“岩手ダービー”も変遷があってこれと絞りづらい。
 ここでは、現在の“岩手ダービー”となっている東北優駿、そして3歳最強決定戦であるダービーグランプリをピックアップしてお話を進めていこうと思います。

■ダービーグランプリ
 レースの歴史としては『1986年~1995年の地方競馬交流時代』『1996年から2006年の全国交流時代』、2007年のノングレードを挟んでの『2010年からの地方競馬交流時代』の大きく3つに分ける事ができると思いますが、その最初の地方競馬交流時代、第1回・第2回は遠征の牝馬が優勝しています(※第1回はトミアルコ、第2回はスタードール)。ダービーグランプリの歴史は牝馬の優勝で幕を開けた形ですね。

 しかしその後は牝馬の優勝はなく、昨年まで33回の歴史の中で牝馬優勝はその2回目までに留まっています。牝馬の挑戦がないわけではないものの連対圏内・馬券圏内まで迫るとなると非常に少なく、

・91年2着/ケイワンハート(大井)
・94年2着/カネミボンバー(名古屋)
・99年3着/トラベラー(金沢)
・06年3着/サイレントエクセル(岩手)
・07年3着/マツノメガミ(岩手)
・12年3着/アルドラ(金沢)
・15年2着/タイムビヨンド(北海道)

 の7頭に留まります。牝馬の出走自体が近年は減っているのは、各地のトライアル的レース(選定に参考となるレース)の関係上、前哨戦の段階で牡馬に勝つ位の力がある牝馬でないと出走が難しい、特に遠征馬は・・・という事かと思います。
 15年2着のタイムビヨンドにしても、牝馬ながらホッカイドウの3歳クラシック路線で北斗盃3着・北海優駿2着・王冠賞2着の成績を残し、古馬になった翌年は道営記念を制して頂点に立つほどの馬でしたからね。


★タイムビヨンド(2015年ダービーGP)


 こうして見ると、自身の成績だけでなく繁殖牝馬としても良績を残すような“名牝”と言って良い馬ばかりですが、ダートグレード時代に上位に食い込んで見せたトラベラーやサイレントエクセルの健闘にはより注目したいな、という気がしますね。若干地元びいきな所があるかもしれませんが・・・。


★サイレントエクセル(2008年のビューチフル・ドリーマーC優勝時)


★チャイヤプーン(2018年ダービーGP優勝)

 岩手競馬ファンの方ならご存じでしょう。2018年のダービーグランプリを勝ち、先日の赤松杯で岩手復帰後の重賞制覇も果たしたチャイヤプーンはサイレントエクセルの仔。
 例えばカネミボンバーはその後エンシェント・ティアマットの2頭の産駒をダービーGPに送り込んでいますし、94年5着の北海道クラシャトルもクラグオー(13年4着)を送り出していますが、産駒が勝ったという価値はやはり高いと思います。


■東北優駿
 こちらもレースの歴史を遡れば『1978年~2003年の東北3場交流時代』『2019年の復活後』の二つ時期に分かれます。3場交流として26回、復活後2回、のべ28回行われている東北優駿(※県営新潟競馬で行う場合は東北ダービー)なのですが、牝馬の優勝は3回です。

・95年カガリスキー(上山)
・96年ラストヒット(新潟)
・03年ベルノネ(岩手)

 奇しくも3場から一頭ずつの優勝馬誕生・・・となっていますね。


★ベルノネの新馬勝ちの際の口取り(02年7月21日)


★03年、芝重賞のトパーズC出走時


 初期の成績がJBISから追えなくなっているので85年以前が分からないのですけども、その後の成績を見る限り、東北優駿も牝馬にはなかなか厳しいレースだったようで、86年以降の牝馬の連対圏内・馬券圏内成績というのは勝った3頭の他に

・89年3着アンダースワロー(岩手)
・97年2着フジノローリアス(新潟)
・97年3着イノセントライム(新潟)
・98年3着キャニオンビューチ(岩手)
・19年3着エムワンピーコ

 の5頭しかいません。いや、意外に少ないですよね。もう少し多いような気がしていた。

 岩手のアンダースワロー・キャニオンビューチ・エムワンピーコはいずれもひまわり賞の勝ち馬ですし、新潟のイノセントライムは新潟皐月賞で牡馬を破っている馬。カガリスキーやラストヒットもそれぞれの場の世代トップクラスの実績馬でした。それくらいの馬たちをもってしても簡単には勝てなかったのが東北優駿だったのですね。


★キャニオンビューチ(98年東北優駿)


 という事で、歴史を振り返ってみてもやはりそうたやすい話ではないと思える“牝馬によるダービー制覇”。振り返ってみたら余計に難しい感じがしてきてしまいましたが、しかし、全く不可能という話でもなくて、牝馬世代のトップクラスの馬なら少なくとも上位は争っている・・・という見立てもできそうな感じです。
 ゴールデンヒーラーがその“牝馬世代のトップクラスの馬”なのは現時点で異論を待たないでしょう。であれば・・・。
 まずはダイヤモンドカップ。そして東北優駿。ゴールデンヒーラーがどんな戦いを見せてくれるか?3歳牝馬の歴史の中で新たな扉を開いてくれるのか?を楽しみにしましょう。






最終更新日  2021年04月23日 01時24分15秒


2021年04月15日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今年の春は速いですね!先週の水沢競馬場、4月の2週目だったわけですが、競馬場の桜は全面的に満開。桜前線が北上してくる時から早い早いと言われていましたが、記憶にある限り最速級の満開となりました。

 今年も向こう正面の桜並木一般公開が取り止めとなり、お客様にはスタンドから見ていただくしかなかったのですが、それでもスタンドからすら見ていただけなかった昨年に比べれば良しと言うべきか。日曜日だけでなく月曜日などもスタンドが賑わっていたのは、桜を見ようと競馬場に足を運んでくださったお客様が多かったのかなと思います。


★向こう正面の桜並木。満開。


★テレトラック3階から 日曜日はカメラやスマホを構える方も多かったですね


★1コーナーの桜は枝が切られてちょっと寂しくなってしまった


 早い早いと書きましたが実際どれくらい早いかというと、これを書いている今の時点で盛岡もほぼ満開なんですよね。
 通常だと盛岡が満開になるのはだいたい水沢の一週間後・・・まではいかないかな。4,5日後かな。でも数日ズレるのは間違いない。それが今年はほぼ同時ですからね。
 “盛岡の桜の見頃”っていうと4月下旬の印象があるんですけどねえ。今年は中旬のうちに来てしまいました。

 実は。ここだけの話ですよ。水沢競馬場の向こう正面の桜並木、少しだけ撮ってきました。











 月曜の午前中、許可を得て桜並木を往復しました(※関係各部署に連絡して許可を取って行かないと警備員さんがやってくる事になる)。

 桜並木に入って、そこでまた“早さ”を実感。
 向こう正面の桜並木は二列、一部三列なんですけども、スタンドから見えるのは手前側の列で、手前側が満開近くても、陽当たりが若干悪い奥側の列は7分咲きとか8分咲きという事が多いです。それが今年は奥側の列もほぼ満開。いや、早いよ早いよ!

 去年は満開近くなってからの天候の都合が良かったのか3週間近くにわたってきれいな桜並木の光景が続きましたけど、今年はせいぜい今週末までかなあ。

 さて、今回はもうひとつの話題を。

 先週の水沢能検で一頭の馬が合格しました。佐藤祐司厩舎・ミンナノヒーロー号。父ゴールドアリュール、母ミンナノアイドル、母父はオグリキャップという血統。

 2月、ポスター写真の撮影で厩舎に入った際に岩手に来ているよと教えていただいて、写真も撮っていたのですが、能検合格待ちでもあるし、時期が来たらここで書こうと思っていました。







★渡邉正彦厩務員に手入れをしてもらっているミンナノヒーロー

 本馬は新冠の佐藤牧場、エンパイアペガサス、そしてファイントリックの出身牧場の生産馬。JRAデビューを間近にしてはく離骨折に遭い、JRAでのデビューを断念して岩手で再起を図る事になったとの事。




 「デビュー前から人気が高い馬でしたし、血統的にもトウショウボーイの近親でありオグリキャップの血も入っているレアな血筋が未出走で終わるのは惜しいという牧場さんの意向もあってこちらにきました。レースに出して、勝ち星を手にさせてあげたい」とは2月の時点での佐藤祐司調教師のお話でした。

 無事能検も通過できたので、あとは実戦に向けて体勢を整えるだけ。

 岩手には今トーセンクッキーがいて、こちらも出走の度にファンの方が来るようなアイドルホースですけども、ミンナノヒーローもそんな感じになるのかな?デビュー戦が楽しみです。


★おまけ。佐藤祐司厩舎の(かな?)厩舎ネコ






最終更新日  2021年04月16日 12時04分26秒
2021年04月08日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 4月4日の日曜日、「2021シーズン」の岩手競馬が開幕しました。昨年は無観客での開幕となって、裏の業務エリアでこぢんまりと行われた開幕セレモニーも今年はパドックで、お客様の前で行われました。




 今年は例年よりも一週間早く特別開催が始まっていて、すでに一ヶ月近く競馬が行われているので、例年ほどの“開幕感”は無いような感じがしますけれども、まずは区切りという事で。



★“2021シーズン”の開幕戦は木村暁騎手が勝利


 同じく4月4日、今シーズン最初の重賞『スプリングカップ』が行われ、1番人気のリュウノシンゲンが圧勝を飾りました。




★スプリングカップ優勝/リュウノシンゲン号

 自らハナに立ってレースをリードするという戦法を採ったリュウノシンゲンなのですが、それは「この馬で逃げる競馬をしてみたかった」という鞍上、そして陣営の作戦。そしてそれをこなしたばかりか2着に9馬身もの差を付ける完勝・圧勝。他馬の陣営には申し訳ない言い方ですが圧倒的という他はありません。
 前走までのリュウノシンゲンは先頭に立つとソラを使って脚を止めたりする事がありました。逃げるという形はリスクもあったと思うのですが、それも含めて逃げ戦法を完遂したのが一冬越した成長分。+19kgの馬体重も同じく成長分と見ていいものでしょう。

 同馬の次戦は5月2日のダイヤモンドカップ。このまま順調に進めば一冠目はかなりの確率でこの馬が・・・という気がします。


 ただ、脅かす存在がこの先出てこないとは言えないかも。それを感じさせる馬が現れたとも感じます。
 例えばこのスプリングカップに出走し4着に入ったアイノエスポワール。結果だけを見れば勝ち馬から約10馬身差、2着争いに加わったまで・・・ですが、同馬のキャリアはこれが5戦目、重賞は初挑戦。初めての一線級との戦いでも見劣りしない走りを見せただけでも十分以上といえます。


★アイノエスポワール(スプリングカップパドック)

 馬体などもまだひと削り・ふた削りできそうな成長分というか変化の余地があるように見えるんですよね。


 そしてもう一頭が、翌日4月5日の3歳B1級戦を勝ったシエルグリーン。


★シエルグリーン

 このレースにはマツリダスティールが出走し、59kgの斤量ながらも1番人気に推されていたのですが、そのマツリダスティールを大差を付けて破ったのがシエルグリーン。
 JRA未勝利を一戦して岩手に転入してきた同馬はここまで3戦3勝。それも、1戦目が10馬身差、2戦目が6馬身差、そしてこの3戦目が大差と圧勝の連続なのです。
 こちらもまだ一線級とイーブンの条件で戦った事はなく重賞も未経験。圧勝の連続と言ってもそのまま計算するわけにはいきませんが、この馬もキャリア4戦目。まだまだ伸び代があっていいはずです。

 アイノエスポワールもシエルグリーンも、すぐ次の重賞で・・・というのはまだ気が早いでしょうが、いずれどこかで重賞戦線で優勝を争うようになってくれるのでは。
 マニアックな話をすれば、アイノエスポワールは千葉御料牧場系の、シエルグリーンは母系の中にシアンモアの名も見える小岩井牧場系の牝系の出。ちょっと肩入れしたくなる血統ですよね。

 先週の話題。昨年10月から負傷療養でレースを離れていた小林凌騎手が4日4Rで復帰。久しぶりに全騎手が揃いました。


★小林凌騎手(写真は5Rパドック)


 そして。一進一退の激戦が続いていた騎手リーディングのトップに高橋悠里騎手が立ちました。
 高橋悠里騎手の1位って恐らく初めてのはずです。ここ何年かは村上忍騎手・山本聡哉騎手・高松亮騎手・山本政聡騎手のいずれかが中間の順位でも1位にいて、この4名以外が1位になった事はほとんどありません。


★高橋悠里騎手絶好調!

 1位といえあくまでも接戦、高橋悠里騎手の13勝に対し山本聡哉騎手・山本政聡騎手・岩本怜騎手が12勝で続いていますし、村上忍騎手・高松亮騎手・阿部英俊騎手も11勝で続いています。来週末には順位が一変していてもおかしくないでしょう。
 であっても、例えば6日のメイン。エイプリルカップを10歳馬ケルヴィンサイドで快勝して見せたように最近の高橋悠里騎手は“乗れている”感が凄いですからね。このまま上位に食い込んでいてくれたら面白いですよね。


 水沢競馬場の桜もだいぶ咲いてきたようです。残念ながら今年も向こう正面の桜並木の一般公開は無いのですが、ただ、無観客開催でスタンドにも入れなかった昨年に比べれば、今年はスタンドから桜並木を背景にしたレースをご覧いただけるのは幸い。今週末、来週末くらいまでそんな光景を楽しめそうです。競馬場においでになれない方もインターネット中継等でごらんいただければと思います。







最終更新日  2021年04月09日 04時16分27秒
2021年04月01日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 すいません、今回もまた遅くなりました。
 「2020シーズン岩手競馬年度代表馬・各部門表彰馬」の紹介シリーズのラスト二頭になります。2歳最優秀馬に選ばれたリュウノシンゲン号と最優秀ターフホースに選ばれたマツリダスティール号の2頭のお話を、菅原勲調教師にうかがう形でお送りします。


■リュウノシンゲン/2020シーズン岩手競馬2歳最優秀馬

-リュウノシンゲン号の2歳最優秀馬受賞、おめでとうございました。デビューから“ダートでは岩手の馬に負け無し”のリュウノシンゲンなのですが、管理する菅原勲調教師からみて、これくらい強い、ここまで強くなる・・・という予感はありましたか?
「能力検査の時から走りそうな馬だと期待していましたから、“強くなった”というよりも“期待していた馬が期待通りに走ってくれた”というところですね」


★2020年6月21日のデビュー戦。実は盛岡でのデビュー戦を出走取消となっての仕切り直しでしたが、何の問題もなくクリアして素質の高さを感じさせました


-昨年6月21日のデビューからだいたい半年ですね、実戦を積み重ねてきたのですが、どんな部分が変わってきた、成長したと思われますか
「落ち着きが増してきたと思いますね。デビューの頃はちょっと気持ちがカリカリしたところがあって、いつもではないんだけど周りの雰囲気を気にしたり。レースではね、最初からセンスの良さを感じさせてくれていましたが、精神的な部分が成長してくれればもっと走るように思っていた。そういう部分は自分の期待通りに良くなっていってくれました」

-菅原勲調教師としては芝とダートの二枚看板的存在で、見ている自分たちはどちらも楽しみなのですが、リュウノシンゲンに関しては昨年の南部駒賞で上位を競い合った馬たちがこの春の南関東の3歳クラシック路線で活躍し始めたのを見ると、その楽しみが膨らんでいく感じがします。
「今にして思えば南部駒賞は、結果は3着でしたが、全国の一線級との初めての戦いでもあってちょっとペースに戸惑っていたような感じがあった。一度戦った今年は多分それは心配しなくて良いと思う。同じくらい成長していてくれれば、南関東の馬たちが相手でも良い勝負ができるんじゃないのかな」


★芝の若鮎賞では敗れたマツリダスティールに、ダートのビギナーズカップで逆襲。これが重賞初制覇に


★他地区勢との戦いになった南部駒賞では3着も、ホッカイドウや南関の重賞上位馬と互角以上の戦い


★その後寒菊賞・金杯を制し、リュウノシンゲンの2020シーズンは重賞4勝


-京浜盃の結果を見ているとそんな気がしてなりません。そんなリュウノシンゲンですが、このあとは遠征などの予定はあるのでしょうか?
「まずは地元のクラシック路線、ダービーを目指して戦っていって、それが終われば、順調にいければ、遠征して戦うという選択肢が挙がってくることになると思います」


■マツリダスティール/2020シーズン岩手競馬最優秀ターフホース

-そしてもう一頭、マツリダスティール号の最優秀ターフホース受賞おめでとうございました。こちらは岩手の芝では負け無しという存在です
「芝で活躍していますが、ダートで走らないという事は無いと思っています。芝で実績を出していますからね。こちらは地元を使って、それから芝で遠征できる条件の合ったレース、JRA挑戦を考えるつもりです」


★マツリダスティールのデビュー戦は2020年7月19日の芝1000m戦。阿部英俊騎手が負傷・乗り替わりとなって山本聡哉騎手が鞍上でした


-菅原勲調教師は騎手時代に芝で活躍した馬にたくさん乗られた経験がありますけども、そういう馬たちと比較してマツリダスティールはどれくらいの力がありそう・・・という手応えというか感触でしょうか?単純比較は難しいでしょうけども
「それは、難しいね。でも“走る馬”という事は間違い無いと思う。昨年の京王杯は他に選べるレースが無かったこともあって1400mで戦ったのですが、本当はもっと長い距離でやりたかった。やっぱり距離が忙しかった様に感じたレースでしたが、それでも内容的には十分通用していたと思ったし、1800mくらいで戦えればもっと違った結果になっていたんじゃないかとも思いますね」


★芝重賞『若鮎賞』はファイントリック・リュウノシンゲンらを退けて優勝


★続くジュニアグランプリも、遠征勢を退けての勝利で重賞2勝目。続くJRA認定競走の芝戦も制し、結果、盛岡の芝では4戦4勝


-4月5日の3歳B1級に名前がありますが、59kgですね
「ここに出走する予定です。斤量は確かに気にはなりますが、平場を使うとどこにまわっても斤量を背負うことになりますからね。少し長く休んでいることでもあり、ここを使って少し休ませて、それからJRA挑戦、良いレースがあれば、ですが、その予定です」


 菅原勲調教師の“3歳の二枚看板”はここまで順調に過ごしてきたようです。まずリュウノシンゲンの方は4月4日、岩手競馬の2021シーズン開幕日に行われる3歳重賞『スプリングカップ』に登場予定。今の時点ではリュウノシンゲンの覇権を脅かすような新規勢力はみあたりませんから、まずは3歳三冠路線をスムーズに滑り出せるかどうか?が注目点になるでしょう。
 マツリダスティールは地元を一回叩いてからの遠征という想定のようです。もちろんそれも楽しみですし、7月のオパールカップ以降の岩手での芝戦線も楽しみになる存在。
 そして、菅原勲師も言われていますがダートも決して合わない馬では無いと思うんですよね。昨年のビギナーズカップでリュウノシンゲンに敗れていますがその時は1400m。マイル以上の距離になってきたらもっとやれるかも・・・と思ったりします。

 という事で二枚看板どちらもが出走予定の今週末の岩手競馬、2021シーズン開幕週に是非ご注目ください。






最終更新日  2021年04月02日 14時35分23秒
2021年03月25日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今回は、他の話を先に進めたことで延び延びにしていました「2020シーズン岩手競馬年度代表馬・各部門表彰馬」の紹介シリーズの続きを。最優秀古馬に選ばれたランガディア号と最優秀牝馬に選ばれたセシール号の2頭のお話をお送りします。


■ランガディア/2020シーズン岩手競馬4歳以上最優秀馬


★ランガディア/一條記念みちのく大賞典優勝時

-ランガディア号の最優秀古馬表彰、おめでとうございました
「ありがとうございます」

-昨年の春ですね、ランガディア号が板垣吉則厩舎に来た時にもお話をうかがったのですが、その時は“実績からいってやはり芝の方が良いんじゃないか。ダートもこなせる血統だと思うが、走ってみないと”という感じの見通しだった事を覚えています。それからすると、ダートでの活躍ぶりというのは想像以上だったのではないでしょうか
「そうですね、ダートはやっぱり未知の世界でしたからね。それが初戦(※赤松杯)から結果を出してくれて、これならダートでもやれるなという手応え。そのまま活躍してくれて、目標にしていたレースも勝ってくれたので、馬には感謝しています」


★岩手初戦の赤松杯では6番人気・単勝17.6倍。今から思えば信じられないくらい

-条件的な部分、距離なども当初は手探り、試しながらの面があったと思うのですが、今になってみて、どういう条件が合いそうだ、とか認識できた部分がありますか
「あくまで自分の感触では、ですが、マイルから1800mくらいの距離が一番脚を使える条件じゃないか、と感じています。2000mでも勝ってくれていますけど、気持ち長いかな」

-とはいえその2000mのみちのく大賞典を勝ったり、マーキュリーCでも3着に食い込んだりしました。昨年の前半の活躍ぶりは、ここまでのこういう戦績の馬がダートでもこれだけやれるんだ、と自分もちょっと驚きながら見ていました
「なんというか、予想以上の力を発揮してくれましたね。やっぱり馬には芝向き・ダート向きというのがありますから、両方で強い馬というのはなかなかね、少ないですからね。それが初戦でダートでも強い競馬を見せてくれた。相手に恵まれたわけでもなかったですからね」


★みちのく大賞典は鈴木祐騎手は初勝利、板垣吉則調教師と小綿厩務員はコスモフィナンシェ以来の2勝目でした


★マーキュリーカップでは3着(左の白帽)。岩手勢としては久しぶりのこのレースでの馬券圏内獲得。自分は、強く推しましたよ(自慢)


★桐花賞の頃は状態もだいぶ戻ってきていた印象でした


-さて、ファンの注目はランガディアが新シーズンのどこから始動するか?だと思います。春はどの辺からスタートされる予定でしょうか?
「この冬の間は天栄トレセンで調整していました。春のローテーションは昨年と同様に赤松杯からですね。厩舎には来週戻ってくる事になっています(※取材時点。既に帰厩しています)。あちらでもしっかり乗り込んでいたとのことですので力を出せる状態で戻ってきてくれるはずです」

-今言うのは気が早いかもですが、昨年並み、いやそれ以上の活躍を楽しみにしています
「去年よりもひとつ年を取って7歳。それがどんな影響をもたらすのかは走ってみないとわからないけど、オープンでやれる馬は年齢の影響をあまり受けないものですからね。自分も楽しみにしていますよ」


■セシール/2020シーズン岩手競馬最優秀牝馬

-改めて昨年のセシール号の、岩手での戦績を振り返っていただけますか
「JRAで2戦、芝で8着・9着の成績で岩手に来たのですが、こちらではじっくりと調教できたことが功を奏したのか初戦から良い走りを見せてくれました。そこからポンポンと勝ち星を増やしていって。馬主さんは芝で走らせてみたいと考えておられたので一度芝を使ってみたのですが、そこで結果が出なかったのでダートに戻った経緯もありましたし、最初の頃はこれくらい走る馬だとはね、あまり思ってなかったですね」


★セシールの岩手初戦は2020年7月7日の2R、3歳C2級。2着に5馬身差を付ける勝利


-クラスが上がっても勝っていったので目にはつきましたけどもね。重賞に挑戦するひとつ前のレースを勝った時に“次は重賞に挑戦する”と言われていたのを横で聞いていて、その時の勢いなら通用はするだろうけど勝つとかはどうかな?と思ったのを覚えています。そこから重賞を連勝するほどとは自分も思っていませんでした
「まあ最初の重賞(※OROオータムティアラ)は不良馬場で、二つ目(※イーハトーブマイル)は重馬場とスローペース。軽い馬場が合う馬でしょうから条件に恵まれた部分はあったのではないでしょうか。そうはいっても力が無ければ重賞は勝てませんからね。
 来た当初から30kgくらい馬体重が増えたのも良かったんでしょうね。来た当初はまだ幼い所があるなと思いましたが、使う度に成長して、馬格以上の良さも感じるようになりました」




★OROオータムティアラでは岩本怜騎手がマルケイマーヴェルに騎乗したために鞍上は阿部英俊騎手に

-そういう風に成長していった要因を挙げていただくとすると?
「伸びる下地、素質があった馬だというのがもちろん大きいのでしょうが、岩本騎手が調教からしっかり乗り込めたことと、それができるように管理してくれた担当の桂厩務員の努力と、それらもうまく絡み合ってくれたおかげじゃないかと思っています」




★イーハトーブマイルでは牡馬クラシック上位馬らも退ける価値の高い勝利を手に。自分の手でお手馬の重賞勝ちをゲットした岩本怜騎手の喜びもひとしお


-セシールは今は浦和競馬に移籍していますが、もし戻ってきてくれたらと思ったりもします
「浦和での前走後に休養に出ているそうです。岩手に戻ってくるかは分かりませんが、戻ってきたなら、また牝馬路線でね、注目の存在になってくれるんじゃないかな」



 ランガディアが赤松杯から始動の予定というお話でしたが、そこにはエンパイアペガサスやヒガシウィルウィン、グランコージー、パンプキンズらも出走意思を見せています。ヤマショウブラックもかな。4月11日の赤松杯、新シーズン開幕直後から凄いレースになりそう。
 そして秋には芝路線に再チャレンジの構想もあるようです。前半戦はダート、後半戦は芝で・・・という舞台設定になるのかもしれません。

 セシールは浦和に移籍しての12月22日の2000m戦で2番人気に推されていましたが11着敗退しています。とはいえ、2000mの重賞を勝ってはいますが、岩手時代の印象だとマイルくらいまでが良いのかな?と感じていましたし、血統的にも、お母さんは芝の中距離もこなしてはいますが勝ったのはマイルですしね。なので2000mでの敗戦は気にしなくて良いんじゃないかと思います。

 ランガディアにしてもセシールにしても、見ている方の想像を上回る走りを演じてくれる馬というのは走る度に新しい期待ができますし、やはり楽しいですよね。
 逆に言えば新シーズンは昨シーズンよりもハードルが上がった状態でスタートするわけですけども、それをさらに上回るような活躍を期待したいですね。






最終更新日  2021年03月26日 14時52分04秒
2021年03月18日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今回は、3月12日からスタートした春の水沢競馬のお話です。

 当初は予定に無かったこの週の開催なのですが、昨冬の降雪による度重なる開催取り止めをうけて“特別開催の「特別開催」”的な形で追加の日程が組まれたのは皆さんご存じの通り。
 3月の特別開催が行われるようになったのは2006年。概ね3月20日頃から始まるのが通例で、これまでで一番早かったのは2017年の3月18日でしたから、3月12日のスタートは恐らく岩手競馬史上“最速”だと思われます。
 昔は3月の北日本では競馬をやってなかったですものね。ばんえい競馬にしても以前は3月一杯冬休みでしたから北関東の宇都宮以北は全部休催、3月の北の方の開催カレンダーは真っ白でした。

 さて、冬休みが明けての水沢競馬には結構いろいろな変化がありました。
 まず、ネット・本場問わず一番目についたのはこれかな。オッズ表示画面のデザインが変わりました。




 南関と同じスタイルというか今は全国的にこの形になっていますよね。以前の画面はSDサイズ基準でしたが今回HDサイズに合わせた文字サイズになって見やすくなりました。

 競馬場に来られた方は発売機が変わったのにも気づかれたのでは。スタンド・テレトラックの自動発売機が発払対応型になっていました(※一部は発売専用)。





 『富士通フロンテックK7』型というんだそうですね。後述するウインズ水沢のJ-PLACE化に合わせての変更とのこと。なお新品では無く中古品です(富士通フロンテックの発売機は後継のK8型に移行済み)。

 ウインズ水沢がJ-PLACEになったのも変更点の一つです。今季より、これまでウインズとして営業していた盛岡、水沢、三本木の各場外がそれぞれJ-PLACE化されることになり、まず3月13日から水沢が、次いで20日から三本木が変更されての営業開始となります。盛岡は少し遅れて7月3日から。






 地方競馬をネットで購入されるファンの方にはあまり関係が無い話ですけども、細かいネタを挙げれば馬券の地紋(馬券でも地紋っていうのかな?)が岩手競馬のものになったのがこれまでとの違いであり興味を惹かれる所。




 まあ岩手の馬券はもともとJRAと同じ富士通タイプのフォントと券面構成だから“凄く変わった感”はないですけどもね。他地区にある日本トーターとかベンダーネットの券面だと変わった感が強いでしょうけども。ハヤテ君の上にJRAの馬券の文字が入るのが初めて・・・という事で。まあマニアックな興味ですな。

 マニアックということではこちらも。一般戦用のゼッケン(岩手では“布ゼッケン”と言って特別・準重賞・M3重賞用の皮ゼッケンと区別)が新品になっていました。





 数字も縁取りのラインもきれいで“新品”感があっていいですねえ。全部が新品になったわけではないようですがかなり多く目にします。開催が進めば痛んでいくものですから“新品”感を味わいたい方(いるのか?)はお早めに競馬場でご覧になってください。

 水沢競馬場ではまだ他にも“変わる”所があるそうですのでお楽しみに~。

 3月13日の1レースでは永田幸宏新調教師がデビュー戦を迎えました。







 アサキチニセイ号での結果は7着でしたが、まずは最初のレースを無事終えて永田調教師もホッとした様子でした。

 史上最速の時期になる先週の水沢競馬は途中雨に降られたりもして“春の陽気”というよりはまだまだ冬の続きのような寒さ。とはいえ1月頃の寒さよりはずっとマシで、来年からはイレギュラーで無く定期になるこの時期の開催も、これなら冬にやるよりずっといいよね・・・という感じでしたね。
 あと一ヶ月もすれば桜が咲くくらいになりますからね。一昨年は4月になって雪が積もるほど降ったりもしたのでまだ油断はできませんけど、競馬が始まり春の足音の接近も急、になってくれることでしょう。




 そして最後になりましたがビッグニュース!来年、2022年のJBC競走の盛岡開催が決まりました!
 2002年・2014年に次いで8年ぶり三度目の盛岡での開催となります。前回・前々回はともに午年で“盛岡は午年JBC”とか言っていましたが、来年は残念ながら(?)寅年。
 また、今年は金沢で開催されるので、2年連続で南関を離れるのは2013年金沢・2014年盛岡の時以来になります。この時も金沢→盛岡でしたね。

 その2014年盛岡の時は盛岡競馬場の入場者数10,331人。警備員さんとか従事員さんとか現場で働く方達に感想を聞いてみたところ「こんなにたくさんのお客様を見たのは久しぶり」「忙しかったけどやりがいがあったし楽しかった」と、良かった、また盛岡でやってほしいという声が多かったのを覚えています。
 あの頃からしても本場にこられるお客様の数は減ってきていますし、何よりコロナ禍も、まだまだ先の事を楽観はできないですけども、また2014年の時のように、「忙しかったけど楽しかった」と振り返ることができるような賑わいがあればと願っています。






最終更新日  2021年03月19日 04時24分50秒
2021年03月11日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 いよいよ明日3月12日、岩手競馬が冬のお休みを終え、春競馬がスタートします。これまでよりも一週間早い再開となりましたが、ここのところの日中はすっかり春の暖かさにもなり、北国岩手にも名実ともに春が来た・・・という雰囲気になってきましたね。

 という事ですので本当なら今回は、そんな明日に迫った春競馬の事々を楽しく触れていくべきなのでしょうが、この3月11日という日、それも10年目の区切りの日に岩手に住む自分の順番がやってきたのであれば、やはりあの震災のことを書かずにはいられません。開幕ネタを期待されていた方には申し訳ありません。

 2011年3月11日に起きた東日本大震災。それは岩手競馬にも大きな被害と影響を与えました。

 当初の予定では3月19日からの特別開催で幕を開けるはずだったその年の岩手競馬でしたが、それを目前にした震災により特別開催だけでなく4月からのレギュラーシーズン開幕も延期に。「5月の盛岡開催を再開の目標に」と3月25日付けで発表はされたのですが、またその直後、4月7日に起きた大きな余震によって水沢競馬場の被害が増し、この頃は「本当に再開できるのか?」と不安しかない日々だったように思います。

 盛岡競馬場には3月13日に行く事ができ、スタンドや厩舎地区にも大きな被害はなかったという事を知ることができたのでひとまずホッとはしたものの、水沢競馬場だけでなく沿岸部の宮古や釜石の被害の様子はまだはっきりとは分からない状況。
 沿岸方面は一般車通行不可でしたし、水沢も、ガソリンが全くと言っていいほど手に入らない状況では気軽に行くわけにはいきませんでしたからね。

 水沢競馬場に行くことができたのは3月25日。まだガソリンが品薄でしたので水沢までは鉄道で。


★掲示された開催中止の案内看板


★倒れた“テレビ塔”


 今は大きな木(メタセコイア)が立つだけの南広場ですが、震災まではTVモニターがある観覧スペースがありました。当時の競馬場をご存じの方なら、ホルモンや焼き鳥を食べながらここのモニターでオッズ等を見ていた・・・という方もおられたのではないでしょうか。
 倒れる瞬間を見ていた職員の話では「ゆっくり、スローモーションのように倒れた」のだそうです。


★3月25日の水沢競馬場スタンド

 11日の“本震”の被害はもちろん決して小さくなく、テレトラック棟などはその時に非常に大きく破損したのですが、メインスタンドの方は外見上は特に大きな破損は見えませんでした。
 内部の配管とかの破損・破壊が激しかったとのことなのですが例えば3階4階の指定席や4階の業務エリアの窓ガラスに大きな破損は、この時点では無かった。
 先にも触れた4月7日夜の大きな余震、奥州市で震度5強から6弱が観測された地震によってガラスの破損が大きく拡がってしまったのが痛かったですね。


★当時三野宮通厩舎にいた阿部厩務員(左)と飯田厩務員(右・現調教師)


★馬房のロックハンドスター

 3月下旬頃は毎日のように緊急地震速報が鳴り、大きい余震も何度もありました。ガソリンだけで無く日用品や食料も手に入りづらい状況下、それでも盛岡水沢ともに馬たちの世話は続けられていました。


 テレトラック宮古には、水沢競馬場よりも前に行くことができていました。
 知り合いのつてをたどり、沿岸部に取材に入っているテレビクルーへの補給物資を運ぶ仕事をボランティアで務める替わりに宮古の市街地で少し時間を貰うという条件。
 その頃は国道106号線の、盛岡競馬場に上がっていく道が分かれるすぐ先あたりに検問がありました。そこから先は全くと言っていいくらい車が走っておらず、宮古まで2時間もかからず着いた記憶(当時の改良前の道で!)。




★テレトラック宮古の1階入り口部分。扉のガラスが割れ、津波が侵入した事が見て取れます


★テレトラック宮古のある通り、港方向を見る。ほんの少し先は大きな被害を受けた

 宮古に行ったのは震災から4日後の3月15日。市内の主立った道路こそ概ね啓開されていましたが、裏道などはまだ流された家や車、船等が折り重なっている状況。
 ただ、テレトラック宮古があるあたりは地面が若干高くなっていたおかげで到来した津波は60センチほど、一階部分と地下の電気設備が浸水したものの2階から上のエリアに大きな被害が無かったのは不幸中の幸いといえました。このためテレトラック宮古はこの年の6月に復旧・営業を再開することができました。




★2011年6月4日、営業再開日のテレトラック宮古

 しかし、テレトラック宮古から信号2つ分くらいの先の辺りは建物が流されるほどの被害が出ていたそうで、「不幸中の幸い」と書きましたが、それもほんの紙一重だったのだと思わされます。


 最も大きな被害を受けたのはテレトラック釜石でした。3月11日の発災の時も営業中、お客様には即座に避難していただいたのですが、残念ながら業務委託の方が津波で亡くなられたとの事。当時三陸道が、テレトラック釜石の近くの一部分が開通していたのですが、それが避難路として非常に役立ったと聞きました。






★2011年6月頃のテレトラック釜石。周辺の漂流物等は片付けられていたが建物内部は被災時のまま



★解体後の旧テレトラック釜石。2011年11月

 テレトラック釜石の建物は1階部分が全壊。周辺の被害も大きかったことから既存建物での復旧再開は断念され、建物はおそらく秋頃に解体されたようです。敷地は震災がれきの集積場に使われていました。
 テレトラック釜石が再開されたのは2014年10月でした。同じ敷地内に新たな施設を建て(建物の場所は少し変わっています)、11月の盛岡JBCを目前に控えての再開オープンとなりました。






★2014年10月4日、テレトラック釜石再開。元の場所より少し奥に建っています


 震災により開催延期となっていた2011年の岩手競馬は、5月14日、盛岡競馬で開幕することができました。


★盛岡競馬開幕日、パドックで黙祷する騎手


★再開週の3日間、騎手は喪章を付けて騎乗しました。村上忍騎手が履いているのは園田の騎手会から贈られた支援のジョッキーズボン

 盛岡競馬は12月まで続けられ、復旧なった水沢競馬が再開されたのは12月10日。「水沢競馬復活」の文字の大きさは、復旧と再開を待ちわびたファンの期待度の大きさと等しかったのではないでしょうか。


★水沢競馬再開。2011年12月10日


★再開後最初の重賞となった桐花賞は阿部英俊騎手騎乗カミノヌヴォーが優勝


 2007年の廃止問題直後にこの震災。当時の脆弱だった岩手競馬にとっては受け止めきれない大きな被害であり、震災直後には廃止が避けられないとされた瞬間もあったと伝え聞きます。そこから、国・県や関係自治体、JRAや全国の競馬主催者、そして全国の競馬ファンの皆さんの支援のおかげで競馬再開に至ることができ、今の岩手競馬があります。
 この3月11日という日は震災で亡くなられた方、被害を受けた方々を想う日であると同時に、たくさんの支援・応援のおかげで岩手競馬があるということを思い起こす日でもあります。自分が言うのもなんですが、改めて、ありがとうございました。

 10年を経て復興はまだまだ途半ばと思う部分もあります。10年も経てば「半ば」とか言わなくて良くなるんじゃないか、と思っていたのですが、なかなかそうはいかないようです。あの時から動いている時間があれば、あの時のまま止まっている時間もまだある。そんなことを思い返しながらの3月11日です。

 最後になりましたが、東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。







最終更新日  2021年03月11日 17時59分51秒
2021年03月04日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 前回に引き続いて2020シーズンの各部門表彰馬に選ばれた馬たちに聞くシリーズです。今回は3歳最優秀馬にして年度代表馬に選ばれたフレッチャビアンカ号について、千葉幸喜調教師にお話をうかがいました。

■フレッチャビアンカ/2020シーズン岩手競馬3歳最優秀馬・年度代表馬

-フレッチャビアンカ号の年度代表馬選出、おめでとうございました
「ダービーグランプリまで勝ってくれましたから、ここまで来たら年度代表馬にも選ばれてほしいと願っていました。選ばれて良かったです」


-昨年の春になりますがフレッチャビアンカが岩手に来た頃、期待はされていたのですが、長い距離になるとどうなのかな?とか、心配もされていた事を覚えています
「正直なところ、想像を上回って強くなってくれましたね。当初は、距離はマイルくらいまでかもというイメージを持っていました。芝の方が良いかも?とも思っていましたしね」


★フレッチャビアンカの転入初戦は昨年3月の準重賞・欧州弥生賞。2着以下に大差をつける圧勝だった


-どんどん強くなっていって、距離もこなしましたね。2000mも問題ないくらいに
「今から思えばダイヤモンドカップで負けた事がフレッチャビアンカの走りを変えたのではないかと。その前のスプリングカップのレースぶりが自分には凄く印象的だったんですよ。位置取りにとらわれず、徐々に徐々にポジションを上げていってそして最後は馬なりで勝ってしまうという走りがね。
 小回りですし、3歳戦はスローな流れにもなりがちですからどうしても先行競馬、前で捌きたい、と思ってしまうわけですけども、脚を溜める競馬の方が良いという事がその2戦で分かったように思いますね」


★ダイヤモンドカップでは宿敵グランコージーに逃げ切りを許す形


★東北優駿ではしかし、そのグランコージーや新勢力ピアノマンを退けて優勝を飾る。なお前走まで手綱を取っていた村上忍騎手が負傷したため、このレースから高松亮騎手がパートナーになった


-そして東北優駿、不来方賞と勝っていくわけですが、夏の休養を挟んでの成長ぶり、成長度合いというのが大きかったように感じました
「そうですね。一段ギアが上がって帰ってきましたからね。それは大きかったですね。見た目の印象はあまり変わらなかったですけれど、騎乗した者の評価が、凄く良くなっていると」




★ダービーグランプリでは3番人気の評価だったが見事な勝利

-ダービーグランプリについては?見事な勝利だったと思いました
「ティーズダンクという馬が来てくれた事でレースの価値が大きく上がったし、自分としては気楽でしたね。
 ティーズダンクは、やはり素晴らしい実績馬じゃないですか。東京ダービーで3着でしたしダービーグランプリの直前には戸塚記念を勝っている。南関のクラシックは勝っていないかもしれないですがその勝ち馬と比較しても遜色ない力を持っている馬。そんな馬が、例えば長期休養明け初戦とかで来たわけではないですからね。
 北海道のコパノリッチマンにしても黒潮盃2着の実績があったわけで、そういう馬たちと戦うとなると、もちろんフレッチャビアンカも調子は良かったですから良い競馬はしてくれるだろうとは思っていましたが、そういう実績馬に勝てなかったとしても、その時は仕方がないな、というくらいの気持ちで。これが“受けて立つ”“なんとしても勝たなきゃいけない”みたいな感じだったらとてもそんな気持ちでは挑めなかったでしょう」


-フレッチャビアンカは岩手で8戦していますが、全体を大きく振り返って見ていただいた時に“フレッチャビアンカはどんな馬でしたか?”と質問すると、どんな答えになるでしょうか?
「とにかく一戦毎に力を付けていった馬ですね。春の印象だと正直岩手のオープンでやれるイメージはなかったです。その頃は馬格もあまりなかったですからそういう先入観を持ってしまったのかもしれませんけども。いずれにせよ当初は、他にもっと強い馬がいるだろうな・・・と。やっぱりグランコージーは2歳戦の印象からも強いと思っていましたからね。
 岩手に来るまでの成績の数字だけを見ると、秋になってダービーグランプリで勝つ馬だとはね、正直なところ思えないじゃないですか。それが本当に期待以上、想像以上の走りをしてくれた。30年以上競馬の世界にいますけども、これくらい変わる馬がいるんだなと改めて思いました」


-走る度に力を付けていったという事ですが、具体的にはどんな部分が良くなっていったのでしょうか?
「とにかく流れに乗れれば、自分のリズムで戦えれば凄い力を発揮する馬になっていきましたね。そして例えば距離にしても、距離が伸びた事があの馬の良さを引き出したのかもしれない。今でも“芝でもやれる”と思っていますよ。いろいろな可能性が、あの馬にはあるのではと感じますね」


-こういう馬が、なんというか調教師冥利に尽きる馬というんでしょうかね
「これだけガラッと変わる、伸びる馬というのはそうそういないですからね。これで南関東で通用するなら、自分たちがこの馬の能力を覚醒させた事にもなるわけですし」


-南関東で、という話が出たところでですが、フレッチャビアンカは現在船橋の川島正一厩舎に移籍していますね。そろそろ南関東初戦を迎えるそうですね
「次回の船橋開催で出走する予定だと聞いています。ダービーグランプリを勝っているとはいえ向こうではそれほど高い評価をされないかもしれないですけども、それを跳ね返すくらいの活躍をしてほしいと思っています」


 お話にも出たようにフレッチャビアンカは桐花賞後に南関東・川崎に移籍しており、この春は南関所属としてスタートする事になっています。自分の立場から見ると移籍してしまったのは残念でもあるのですが、これもお話の中で出たように、南関東でも通用してほしい、良い走りをしてほしいとも思います。
 一番良いのは南関東でもしっかり通用して、そして良いタイミングで岩手に戻ってくれる事ですが、それは果たしてどうなるか。ですがいずれにせよ、岩手の年度代表馬のこれからの活躍に期待しつつ、まずはその初戦を見守りたいですね。






最終更新日  2021年03月05日 02時14分43秒
2021年02月25日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 気がつけば2月も最終週、来週の月曜日はもう3月というところまでやってきました。まだまだ寒いながらも徐々に日が長くなってきて、春も徐々に近づいてきているのだな・・・と感じます。

 昨日は一ヶ月と10日ぶりくらいに水沢競馬場に行きました。“春が近づいてきた”と書いておきながら、昨日はまた1日氷点下の真冬日でして、水沢に行く途中の花巻とか北上とかはホワイトアウトしそうなほどの吹雪だったりもしたのですが、調教も活発になってきていて、まあやっぱりですね、春到来という感じの方が強くなってきましたね。


★水沢競馬場の調教風景。冬休みの間は夜間ではなく午前中に調教しています

 3月12日から特別開催がスタート、という事で、今回からは2020シーズンの各部門表彰馬を採り上げつつ、これからも有力馬となるだろうそれらの馬たちの新シーズンの路線などもお伝えしたいと思います。
 電話取材という形になるため都合が付いた方から・・・という事で“順不同”になるのを最初にお断りしておきつつ、まずは『最優秀短距離馬』のゴールデンヒーラー、『特別賞』のエンパイアペガサスを管理する佐藤祐司調教師に両馬についておうかがいしました。


■2020シーズン岩手競馬最優秀短距離馬ゴールデンヒーラー/”岩手のウォッカ”を目指す


★ゴールデンヒーラー(プリンセスカップ優勝時)


-まずは昨年、昨シーズンですね。ゴールデンヒーラー号の活躍を振り返って
「芝の2戦、1000mのJRA認定戦とマツリダスティールに敗れた若鮎賞とですが、それ以外のダートでは十分に活躍してくれたと思います。
 勝ち負けの結果だけでなく走破タイムも良かったですし、鞍上の信頼度というか、レース前・レース後のコメントなどもね、次のレースに向けて期待度が高まっていく内容になっていきましたからね。それが非常に心強かったですし、今後に向けてもっと頑張っていけるかなという想いを強くしました」

-デビューしてから重賞を勝つまで、内容が良くなり安定感も増していったように思うのですが、それは馬自身の成長度なのでしょうか?あるいはそれだけでなく馬に適した条件が見つかったり馬が手の内に入ってきたり・・・という事だったのでしょうか?
「2歳馬ですから使うレースは最長1600m、という前提があるわけですが、先ほども触れたように1400mあたりでのスピードは合格点のものを持っている。後は、そこから200m伸びる、あるいは将来もっと長い距離に進む。そういう時にも対応できるようなレースができればと思っていました。3歳のシーズンに向けてですね。幸いにして距離はもっと伸びても心配はなさそうという鞍上の評価をいただけましたし、良い形で進んできたのだと思います」

-3歳になっての春ですが、どんな路線を考えられていますか?
「まずは春のあやめ賞・日高賞というところを戦うとして、その後は“ウォッカを目指そう”と考えています」

-というと、牡馬と戦うと
「そうですね。鞍上とも相談しながら考えているのですが、当面の目標はダービー(※東北優駿)を、と。ダービーからオークス(※ひまわり賞)。春はこの4戦というのは決めています」

-そういう路線を狙うというのは楽しみですね
「距離に関しては大丈夫そうですから、後は既存の勢力図の中での力関係。例えば長い距離を得意とする転入馬が来たら・・・とかも考えておかなくてはならないでしょうか。
 あとはやはりもう少し成長してほしい。もう一段階成長しそうなタイミングがありそうなんですよね。それによっては春先は無理をしないように走らせてあげたいですね」


■2020シーズン特別賞エンパイアペガサス/遠征してのタイトルも狙い続けたい


★エンパイアペガサス(北上川大賞典優勝時)


-シーズンラストの活躍ぶりは見事でした
「思っていたとおり、考えていたとおりの競馬をしてくれてのあの結果でしたから、自分もホッとしています」

-北上川大賞典、桐花賞と勝った走りが本来の力かなと、見ていて思いました
「今になって思えばこれまでは、前年度の桐花賞なんかもそうだったんでしょうけども、“勝ち急ぎ過ぎた”のでしょうかね。先行して、好位で競馬をしてこそと、力みすぎていたのかもしれない。
 昨年の桐花賞などでは、出遅れたとしても、だったら差す競馬でいこうと、じっくり構えていけばいいと村上騎手とも話し合って決めて挑めた。結果的にはそれがうまくいったんでしょうか」

-そして、その2戦を勝って終わった事で、新シーズンもまだまだやれるなというところを見せてくれたようにも感じました
「昨シーズン、2020年ですが、6戦しかしていないんですよね。馬主さんのご理解とご協力があったおかげで今年8歳、7シーズン目になりますが、それほど数も使わない状態でこれていますから(※2歳のデビューから前走まで、6シーズンで44戦)そうそう年を取ったような感じもない。
 とはいえもう8歳ですから、そろそろキャリアをどう締めくくるかも考えてあげなくてはならない。もちろんまだ先の話ですけどもね。良い形で、まだまだやれるという力を残しながら進んでいける、という状態は保ってくれているのかなと思いますね」

-この冬はどう過ごしていたのでしょうか
「また浦和に行って走るというのも考えたのですが、昨年の後半に頑張ってくれましたし無理をさせる必要もないだろう・・・ということで在厩のまま休養していました」

-では新シーズンのローテーションなどは?
「馬主さんとも相談しながらいくつかの選択肢を検討しています。ひとつは地元で、シアンモア記念からみちのく大賞典へと進むパターン。もうひとつは遠征を試してみるパターンですね。遠征してのタイトルというのも考えてみたい。今のところはそのふた通りですね。それによって春の使い出しをどこからにするかを考えているところです」


 ゴールデンヒーラーは“ダービー挑戦”という構想があるとの事。「!」という感じですけども、牝馬ながら昨年の2歳世代のTOP3、リュウノシンゲンやマツリダスティールとも僅差で戦えているわけですから決して大きすぎる構想ではないと思いますね。
 また、ゴールデンヒーラーの母系はフロリースカップまで遡る小岩井牝系バリバリの直系。その点からも岩手をベースに、岩手発で活躍していってほしい存在です。

 エンパイアペガサスは昨年終盤の重賞連勝が見事でした。シーズン前半が、決して悪い成績ではなかったものの、この馬としては初めて春に勝ち星を得られずに終わった事が後半戦の評価にも影響したように感じるのですが、しかしきっちり巻き返した形での重賞連勝で「やっぱりエンパイアペガサスは侮れない」という評価を取り戻したのは立派だったのではないでしょうか。
 新シーズンの古馬勢力図の中にこの馬が加わって来るならば、4歳のフレッチャビアンカから8歳のエンパイアペガサスまで・・・という形で、古馬たちの戦いの“厚み”も楽しみにしていて良いんじゃないかと思います。






最終更新日  2021年02月26日 01時48分47秒
2021年02月18日
カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 掲載が遅くなってしまってすいません。
 今回は、前回予告したように、2月1日付けで調教師免許交付・厩舎を新規開業した永田幸宏調教師にお話をうかがいました・・・という話題です。



★永田幸宏調教師。今回は真面目な顔の写真を

-ではですね、永田調教師補佐あらため永田幸宏調教師にいろいろお話をおうかがいしたいと思います
「調教師と呼ばれるとまだ何か変な感じがしますね(笑)」


-永田調教師は2015年に調教師補佐になられているんですけど、今、調教師を目指そう・調教師になろうと考えられたきっかけを教えてください
「そうですね、“自分でやりたい厩舎のカタチ”というものがようやく分かってきたというか、それを自分でやってみたい、と考えるようになったのがきっかけ・・・でしょうか。
 調教師補佐になった時は売り上げも今より低くて、まわりの調教師さん達が高齢になっていく中で後のなり手がいないなと思った、正直言うと“危機感”だったんです。
 だったんですが、その後橘友和調教師や飯田弘道調教師が開業して、齋藤雄一騎手も調教師になって、若手がこれくらい増えたなら自分が調教師にならなくても良いんじゃないか?と。
 それが、徐々に“自分がどういう厩舎を創りたいか”が見えてきたので、それなら・・・というタイミングですね」


-じゃあ、もしかしたら補佐のままで過ごす可能性もあった?
「馬を触る仕事は好きですからね。でも、こうしたらどうなんだろうか?自分ならこういうしてみたい・・・とも思うようになって。
 調教師試験を受けると決めてからも方向性に悩んでいたのですが、去年のシーズンオフの事、紹介していただいて天栄(※ノーザンファーム天栄)で手伝わせて貰ったら、そこの厩舎長さんが自分が “こんな感じでやりたい”と思っていた事をやっておられたんです。
 風通しが良く、人が働きやすい厩舎というんですか。人が良ければ馬の方も自然と良くなっていくんだと、そういう考えの方だったんです。そういう厩舎にしたいなと」



★コースに出る志村厩務員と見送る永田調教師


-その辺をもう少し詳しく聞いていきたいんですが、「働きやすい」。例えば人間関係がフラットで、お互いに意見も言いやすくて・・・というイメージ?
「馬の仕事は日夜同じ所で一緒に働いていますから人間関係がね、どうしても大事になると思います。パワハラだなんだという事にも世の中は厳しくなっていますしね。そんな中で、上意下達ではなくて、同じ方向を向いて働けるような厩舎・・・ですね。
 自分がいた晴山厩舎が、大きい方向性を調教師が出して、細かいところはそれぞれのスタッフに任せるというやり方でしたから、それを踏まえて、スタッフの力を引き出していければなと思っています」


-いきなり突っ込みますけども、なかなかハードル高くないですか?
それは高いと思っています。自分でも具体的にどうするかはまだ見えていないですし。ですが、そういう方向性とか理想とかを見失わないようにやっていけたら、そういう形になっていくと思っています。
 やっぱり厩舎の雰囲気がそのまま馬にも出ると思うんですよね。雰囲気がいい厩舎の馬って成績も良いと思う。
 もちろんトップダウンもひとつのやり方ですが、それは自分の技術に自信がある人であれば、しっかり勉強している人であればいいんだと思うんですよね。でも今の自分にはそこまでの技術は無い。無いのであれば、そこはできる人に任せる。自分は自分の得意な部分をやる。自分のできない部分と他の人がもっとできる部分で戦ったら絶対に負けるわけですからね。だったらそこは組織で補っていけばいいんじゃないかと。“そんなの甘い”と言われるかもしれませんけどもね」


-そうか。ある意味こう、割り切っているという事ですね。他の人の力を借りることで全体の能力を高めていくと
「これだけ馬に乗っていると自分がどこまでできるかも分かっていますからね。それ以上のものを現時点で出すのは簡単じゃない。そこは、自分よりももっと上手いスタッフが入ってきていますから、力を借りて行きたいです」


-さて、開業直後ですがそろそろ春の開幕も近づいてきました。永田厩舎の陣容はどうなりそうですか?まずは馬の方
「こんな状況なのであちこち営業に回るというのもなかなかできないでいるのですが、スタッフの志村君(※永田厩舎の最初の厩務員として入った志村直裕厩務員。前回もちらっと名前が出てきました)があちこちに声をかけてくれたおかげで最初に入厩したのは志村君が連れてきてくれた馬ですし、橘友和調教師はじめたくさんの方を通して馬主さんや牧場を紹介していただいたり。今入っている馬の一頭はオーストラリア時代の同期がやっている育成牧場の馬なんですよ。そういうつながりもあって。
 今の時点で入厩が決まっているのは3頭。オークションも値上がりしていてなかなか手に入らないですが、3月いっぱいくらいまでには最初の10馬房を一杯にしたいなと思っています。
 調教師になってみて改めて、いろいろな人たちに応援していただいているなあと感じて。嬉しいですね」


-“オーストラリア”というワードが出てきたのでちょっとそっちに行きますが、永田調教師はいつ頃オーストラリアの競馬学校に?
「96年、97年だったかな。クィーンズランドにあった日本人向けの競馬学校にいました。志村君は同期であり同級生です。
 騎手になることを目指してオーストラリアに行って、カリキュラムも終えたのですが、ビザが取れないという事もあって日本に戻ってきて(※現地で騎手のライセンスを取るにはワーキングホリデーのような一時的なビザではなく正規の就労ビザを取得する必要があるのですが、雇い主の推薦とかが必要で、条件が整わないと難しい)。
 自分は埼玉出身だから南関東とか北関東が近かったんですけどね。校長が「岩手が希望だったよね!」と岩手の関係者に紹介してくれたんですよ(笑)。それで盛岡の厩舎に勤め始めました。
 今まではそのことを敢えて話さなかったりもしましたが、調教師になったからにはそれを売りにしないとな、と」


-その志村厩務員と一緒に働くのはそれこそオーストラリア時代以来だそうですね。岩手でそういう出会いがあるとは、自分も見ていて興味深いです
「そうですね。こうして一緒に働くことになるとは思っていなかったですし、20年経っても考え方が近かったり、アイデアもいろいろ出してくれたりするので楽しいですね。面白い考えはどんどん取り入れていくつもりです」


-志村さんとの再会の経緯は?
志村君は日本で騎手になることを目指しているんです。その前提で動いた時、岩手なら可能性があるかもしれないと。その時にちょうど自分も調教師試験を受けるので、ならば岩手で騎手を目指せないかということで連絡を取り合って。自分としても乗り手がね、それも腕の良い乗り手が来てくれるのは渡りに船・・・で。
 こういう形だとは思っていなかったですが、自分もね、いつか調教師になれたら、昔の同期と一緒にやれたらいいなあ・・・と漠然と考えていたりもしました。それが意外なことから形になったのも面白いなと」


-話を戻して。まだ少し気が早いかもしれませんが開業初年度の目標等が決まっていたら教えてください
「そうですねえ・・・。厩舎としての方向が定まる1年になれば、かな。まだいろいろ試行錯誤しているし、いろいろ挑戦したいこともあるし・・・。いろいろ頑張った結果、馬主さんに喜んでいただければ、でしょうか」


★長く活躍したシャークと口取り写真におさまる永田師(当時補佐・右)


-これも気が早いですが厩舎としての初出走、そして初勝利の時を楽しみにしています
「最初のレースは関本淳騎手にお願いするつもりです。関本淳騎手とはずっと一緒に仕事してきましたから、晴山調教師が了解してくれるかどうかですけどもね、自分の最初の一頭は関本淳騎手にお願いしたいと思っています」



 永田調教師は1977年生まれですので現在の岩手では3番目に若い調教師という事になります(1番若いのは84年の齋藤雄一調教師。次いで79年の橘友和調教師)。
 永田調教師がオーストラリアの競馬学校に行っていた話は実は自分も最初知らなくて、自分がクィーンズランドの競馬場に行った時の写真をSNSに上げていたら、「あそこは昔はもっと立派で」みたいな話をされたことでそうと知った・・・という事がありました。ちなみに太田陽子騎手とは学校は違うと思いますが時期が近いはずです。
 オーストラリアの話をゆっくりする機会もないうちに調教師になられたのですが、そうすると厩務員として入ったのがそのオージー時代の同期であり現地で騎手としても乗っていた志村厩務員。お話の中にも出てきたように当時の同期のつながりから預かる馬もいるとのことで、意外な形で“オージーコンビ”な厩舎が岩手に生まれることになりました。
 その厩舎がどういう形になっていくか、それもまた師のお話通りにこれから定まっていくのでしょうが、まずは初出走、初勝利。そして、来年の今頃、どういうふうに振り返ることができているのか?注目していきたいですね。






最終更新日  2021年02月19日 17時01分16秒
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