2020年06月25日

一條記念みちのく大賞典/ランガディアが3連勝で岩手の頂点に立つ

カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今回は21日に行われた『一條記念みちのく大賞典』のお話を。

 6頭立ての少頭数になってしまった今年のみちのく大賞典。しかし現時点の古馬トップの座を争う有力馬が登場してくれたことで少頭数ながらも見ごたえある戦いになったのではないでしょうか。

 いつも通りに結果から先に触れますと、優勝したのはランガディア。赤松杯・シアンモア記念に続いての重賞3連勝で岩手の古馬の頂点に立ちました。


★一條記念みちのく大賞典優勝/ランガディア

 鞍上は鈴木祐騎手、管理するのは板垣吉則調教師。馬主は蓑島竜一氏、生産は安平・ノーザンファーム。鈴木祐騎手・蓑島竜一氏はこのレース初勝利。板垣吉則調教師は2013年のコスモフィナンシェ以来となる2勝目。またノーザンファームの生産馬の勝利は2001年のグローバルゴット以来となります。

 前走・シアンモア記念では優勝したとは言え僅差、そしてランガディア自身はダートでは1800mまでの経験しかないのに対しライバルのエンパイアペガサスやヤマショウブラックは水沢2000mの優勝経験がある。その辺を見越したファンの皆さんの心理が1番人気ランガディアの単勝1.6倍に対し2番人気エンパイアペガサス2.7倍、複勝の票数ではランガディアの方が多いという売れ方に現れたのかと思います。

 しかし終わってみればランガディアが強かった。逃げたパンプキンズが作った超スローペースに序盤こそ折り合いをつけるのにやや苦心しているようなシーンも見受けられましたが、向こう正面半ばにレースが動き出してからは常にライバルたちに対して優勢な手応えを維持。4角から直線、エンパイアペガサスが引き離され始めたあたりで“勝負あった”と感じましたね。




 最終的な着差こそ2馬身半、赤松杯の時の9馬身差には及ばないとはいえ、超スローの展開が残り1/3くらいの所から一気に動き出す典型的な上がり勝負の形でこの着差なら十分だと、強さを見せつけたと言っていいのではないでしょうか。




 シアンモア記念の時は直前の調整に苦心されたようで、それが結果としてタイム差無しの僅差の接戦になって現れたわけですが、今回は毎週きっちり追い切れる、いわゆる時計を出す調教を4週連続でこなしてきていて、レースの前の陣営からも「今回は段違いに順調」というお話を聞いていました。みちのく大賞典では、その陣営の自信と期待の通りの走りで快勝。これが“本当のランガディアの力”なのでしょう。
 当面のライバルを寄せ付けなかった内容から、そしてマイルだけでなく2000mも問題にしなかったことで、名実ともに現時点の“岩手最強古馬”に。あとはまだ走ったことがない盛岡コースですが、JRA時代は左回りを得意にしていた馬ですから大きな問題になるとは思えません。この先の期待もこの勝利で一層大きくなりましたね。



★センティグレード

 2着のセンティグレードはスローペースにもめげず中団待機からの直線勝負に徹し、上がり3ハロンは最速の脚を繰り出して2着に食い込んで見せました。今季ここまでで見せてきた好調さを最大限に活かし切った走りだったと思います。スローだった分、自分で行き脚を付けなければいけなかった分、最後脚を使い切ったのが惜しかった。


★エンパイアペガサス

 2番人気のエンパイアペガサスはセンティグレードに捉えられて3着でした。レース序盤から終始ランガディアとの一騎打ちの形で進み、節目節目できっちりプレッシャーをかけても行ったのですが、4角手前あたりから手応えが劣勢になりはじめました。
 エンパイアペガサスにとっての理想はシアンモア記念のような、末脚で追い詰めていく形だったと思います。少頭数のスローペースになった事で図らずもランガディアと馬体を接するような位置に付かざるを得ず、その展開で進んだ分、最後センティグレードに捕まってしまった。
 「もう少し速いペースでレースが進んでいれば」とはレース後に佐藤祐司調教師と山本聡哉騎手が異口同音に語った事。ただ、「勝ち馬は思っていた以上に強かったですね」とも。
 エンパイアペガサスはこの後一旦休養に出て、夏の終りに帰厩して復活を目指す事になるようです。まだ7歳。まだまだやれる所をまた見せてくれる、そのための充電期間になると自分は思っています。


★ヤマショウブラック

 ヤマショウブラックは4着。赤松杯からシアンモア記念、そして今回とレースぶりはずっと良くなってきていると感じるのですが。陣営は桐花賞の時のような雨馬場を待っていたようで、当初の天気予報ではそれが叶いそうな気配だったのですが、当日は結局好天、コースも乾いた良馬場。
 実際、2歳時から3歳時にかけての門別、岩手、大井と好走していたのはいずれも雨馬場でしたしね。ちょっと運も向いてくれなかったかも。
 ヤマショウブラックは次戦はマーキュリーカップに向かう模様です。盛岡の2000mでどれだけ戦えるかを見ておきたいという事のようです。


 転入直後の赤松杯からみちのく大賞典まで3連勝。あの馬のことを思い出しませんか?そう。ナムラタイタンです。
 ナムラタイタンは2014年の春に岩手に転入し、赤松杯から3連勝で岩手の頂点に駆け上がりました。実はナムラタイタンにとっては最初で最後のみちのく大賞典制覇ではあったのですけども、JRAで重賞勝ちの実績馬の実力を見せつけるには文句なしの3連勝でした。


★2014年の一條記念みちのく大賞典優勝時のナムラタイタン

 ただ、早くからダートグレードの常連だったナムラタイタンに対しランガディアは芝重賞の経験はあれどダートは転入直前の1戦、それも16着という結果でしたから、いざ3連勝を果たした後のインパクトはまた別種かなとも感じます。
 ナムラタイタンは転入時8歳でしたしね。「まだ全然やれるじゃないか!」な。ランガディアは6歳、「ダートでもこんなにやれるんだ!」な。

 いずれにせよ、ここから先の古馬戦線はランガディアを中心に動いていく事になるでしょう。何度も引き合いに出してしまいますがナムラタイタンのように王座を守り続けるか、あるいは一矢報いる存在が登場してくるか。この先の古馬戦戦が楽しみになるランガディアの勝利だったのではないでしょうか。



 ところで勝った鈴木祐騎手。2016年デビューですから5年目でのみちのく大賞典のタイトル獲得となりました。
 最近では2012年にトーホクキングで勝った菊地康朗(元)騎手が早かったですがそれでも10シーズン目、秋デビューだったから実質は9シーズン目か。
 菅原勲(元)騎手が1981年10月デビューで88年のみちのく大賞典を勝っていますから実質7シーズン目。村上昌幸(元)騎手は1970年デビューの78年優勝だから9シーズン目に入っていたところ。村上実(元)騎手が1971年デビューで77年に優勝しているから7シーズン目か。1975年第3回で優勝した平澤芳三(元)騎手も69年デビューなので7シーズン目。

 早かったのは初期の2名でした。1974年・第2回みちのく大賞典をスリービートで制した佐々木恒騎手(後に調教師)は71年のデビューだったので4シーズン目。そして第1回のみちのく大賞典をヤマトハナで制した千葉次男騎手(後に調教師)も1970年デビューで4シーズン目、実質3シーズン目の快挙でした。

 今回の鈴木祐騎手は、なので史上3位の「デビューから短期間でのみちのく大賞典制覇」。馬も騎手も、これから歴史に残る戦いを演じていく事になるのでしょうね。





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最終更新日  2020年06月26日 18時13分52秒