2020年10月22日

今週は二つの騎手対抗戦のお話/ベテランと若手、それぞれの戦い

カテゴリ:横川典視
木曜担当のよこてんです。

 今回は盛岡と浦和で行われた二つの騎手対抗戦のお話。まずは19日に行われた『2020地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』から。




 今年はコロナ禍により交流競走や騎手の遠征騎乗に大きな影響が出てきましたが、騎手対抗戦もその例に漏れず、若手騎手のYJSこそトライアルラウンド2戦の取り止め後に再開されたものの、トップジョッキーレベルの騎手対抗戦は『ワールドオールスタージョッキーズ』の中止などがあり最後に行われたのは1月の佐々木竹見カップ。山本聡哉騎手が総合優勝を果たした事もなんだか遠い昔のような感じがしてしまうくらい世の中のいろいろが変わってしまいました。 
 『2020地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』には全国各地のリーディング騎手12名が参戦して行われましたが、そんな状況でもあり、このレースが久しぶりの他場遠征・他エリアへの遠征となった騎手も少なくありませんでした。北海道の石川倭騎手などは佐々木竹見カップ以来の“有観客”での騎乗だったりしますしね。

 こういうトップジョッキーレベルの騎手対抗戦はえてして、ベテラン同士の気の置けないやりとりの影にピリピリとした空気が漂う事が多いように思うのですが、今回はそんな緊張感ももちろんある一方で、久しぶりの遠征・久しぶりの対戦を楽しむような雰囲気もあったように感じます。

 さて全2戦で行われた『2020地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』。第1戦は村上忍騎手騎乗のロックオン号の差し切り勝ち、第2戦は赤岡修次騎手騎乗のキッズジョリー号の逃げ切り勝ち。結果、優勝・5着でまとめた村上忍騎手が優勝・6着の赤岡修次騎手を2ポイント差で振り切って総合優勝を果たしました。


★村上忍騎手は優勝賞金200万円を獲得(※パネルはないですが2位・3位騎手にも賞金があるそうです)

 村上忍騎手はSJT-地方競馬JSCのシリーズで初めての総合優勝達成。2014年はファーストステージ1位タイながら怪我のためセカンドステージ欠場、2015年もやはりファーストステージ1位タイのポイントを持ってセカンドステージに挑んだものの藤田弘治騎手の連勝に1ポイント差で総合優勝を逃すなど、村上忍騎手にとっては運にも恵まれなかったこのシリーズでしたが8回目の出場でついに頂点に立ちました。



「1戦目・2戦目ともほとんど乗った事が無い馬だったんですけども、どちらも堅実で、評価の高い馬でしたから、チャンスがあるんじゃないのかなという気持ちは持っていました。結果を見たら2ポイント差ですか。他の騎手たちもしっかりポイントを獲ってくるなと思いましたね。
 このレースは何度も出させていただいているんですけど1位にはなれてなくて。今年は、ちょっと残念な部分はあるんですけど、こうやって優勝という成果を残せて嬉しいです(村上忍騎手)」

 村上忍騎手にとっては全日本新人王争覇戦・園田ゴールデンジョッキーに続いて3つめの騎手対抗戦のタイトルともなりました。新人王争覇戦を勝った騎手がトップジョッキーレベルの騎手対抗戦を勝つのは意外に少ないですから(村上忍騎手の他には山本聡哉騎手、中野省吾元騎手くらい)十分に素晴らしい実績だと思います。

 そして遠征騎手たちもさすがという戦いを見せてくれました。自分が驚いたのは第1戦のコース取りで、この19日はコースの内を大きく開けて走るような感じに徐々になっていったんですけど、1戦目からもう、それまでのレースにないくらい大きく内を開けるような隊列で。あれだけ内を開ければ後方の差し馬は外を回らされて距離ロスが大きくなりすぎますものね。
 その1戦目は結果的には外を回ってきた差し馬ロックオンの村上忍騎手が勝ったのですが、2着コンチパーティー、3着リュウグウオー、そして4着ブライトエンジェルはいずれもその“内を大きく開けた隊列”の最内側を進んでいた、距離ロスを最小に立ち回っていた馬たちで、外に回った馬のほとんどは不発だったわけですからね。
 地元の村上忍騎手以外はいわゆる“前乗り”をしていないですから他の11人の騎手はこの日の初騎乗ですし、ほとんどの騎手にとっては今季初の盛岡での騎乗だったにも関わらず、即座にコース傾向に合わせてさらにアレンジした戦いをやってくるあたり、さすがリーディングジョッキー達、名手達だなと感じました。


★第2戦を制して喜ぶ赤岡騎手


★総合3位の森泰斗騎手


 総合2位の赤岡騎手、同3位の森騎手は優勝を逃した事を残念がりつつもレースを楽しんでいたようです。「2戦目を先頭でゴールした瞬間、村上忍騎手を探した(赤岡騎手)」「村上忍騎手はどこ?と思って後ろを見たら、すぐ横にいた(森騎手)」というぶっちゃけ話をレース後にしていたお二人ですが、こんな正直な話をしていたのは、それだけ騎手対抗戦を楽しんでいたからなのだろうと思います。


★「こういうレースでは1戦目で勝つ事が大事やね」と頷きあっていた二人でした

 そんな赤岡騎手に、地元・高知競馬の宣伝とご自身の近況とを話していただきました。


★第2戦を制した赤岡騎手

「高知競馬はこのコロナ禍の中でも未だ全国一の売り上げの伸びを保っていて、ホントありがたいことで、ファンの皆さんが高知競馬の事を応援してくれているんだなというのを実感しています。これからも高知競馬は熱い競馬をね、冬でもナイターでやっていますので、ぜひ楽しんでください。
 (赤岡騎手も最近は遠征騎乗が増えてきましたね)そうですね、一時期は全部お断りしていて、南関東の方からも依頼は貰っているのですがなかなか行けていない。移動とかにまだ気を遣う部分があって。でも依頼をいただけるというのはありがたい事なんで、いずれ行きたいなと思っています。
 (また全国で騎乗する姿を楽しみにしています。“世界の赤岡”で)そこは吉原君がいるんでね。そこまでは難しいかな(笑)」

 せっかく各地から来ていただけたのでできれば全員からこんな風にコメントを頂きたかったのですがそこまでの時間がなくて。またいつか、こうして全国の皆さんの戦いを盛岡で見たいですね。


 もう一つの騎手対抗戦は21日の浦和競馬場で行われた『ヤングジョッキーズトライアル浦和』。岩手から関本玲花騎手と、期間限定騎乗中の田中洸多騎手が参戦しました。



 結果から先に書くと第1戦では関本玲花騎手が同着の3着、田中洸多騎手は12着。第2戦では関本玲花騎手は10着。それぞれ優勝したのはJRA・菅原明良騎手、大井・吉井章騎手でした。


★第1戦優勝のJRA・菅原明良騎手


★第2戦優勝は大井・吉井章騎手



★第1戦/スタンド前を通過する関本玲花騎手


★同じく第1戦/先行集団にいる田中洸多騎手


★第2戦/スタンド前を通過する関本玲花騎手

 この2戦の結果、第1戦5着・第2戦3着の北海道・小野楓馬騎手が暫定1位に、第2戦優勝の吉井章騎手が同2位に浮上。関本玲花騎手はポイント上積みは果たしたものの暫定4位に後退してトライアルの騎乗予定を終了、本戦出場の可否は最終戦大井の結果待ちという事になりました。

「1戦目は、騎乗馬の過去のレースを見たら終いの脚を使うタイプに思えたのでそういうレースを狙ってみたのですが、最初なかなか気を出してくれなくて。でも最後はよく頑張ってくれました。2戦目は、3コーナーのところでもっと前に並んでいきたかったのですが外に出せなくて。それで伸びきれなかったと思います。
 (暫定4位となって)2位から4位に落ちてしまったのでちょっと暗い気分。次の大井の結果を待つしかないですね(関本玲花騎手)」




 関本玲花騎手はTR浦和を終えた時点で52ポイント、地方競馬東日本地区の暫定4位となっています。
 暫定5位の浦和・赤津騎手は浦和で騎乗が終わっているので、関係してくるのは6位以下の騎手の成績です。
 42ポイントの浦和・福原杏騎手、39ポイントの塚本涼人騎手はそれぞれ大井で1戦の騎乗あり。福原騎手はその1戦で3着15点を取ると逆転(4着だと関本玲花騎手と同じ52ポイントになりますが、騎乗機会の中でより上の着順成績がある関本玲花騎手が順位が上になります)。塚本涼人騎手も同じ理由で逆転には2着が必要。9位の大井・仲原騎手は24ポイントで同点ですが2着がある分で上になります。10位以下の騎手になると一つ勝つとか2戦とも2着とかそれくらいなら。まあなので、一番は福原杏騎手の結果次第でしょうか。
 自分的には関本玲花騎手が逃げ切るか、そうでなければ塚本涼人騎手が逆転上位突入がいいですけども・・・こればかりはもう運としか言えませんよねえ・・・。




★YJSTR浦和当日の6Rで関本玲花騎手が南関初騎乗で初勝利。「一つ勝って帰れるので良かったです」

 ベテランと若手の騎手対抗戦が連続したわけですが、馬の強さを見る・はかるというのが競馬の面白さとして、騎手の腕だったり“流れをつかむ引きの強さ”だったりを見るのもやはり競馬の楽しみのひとつだと思います。今年は機会が限られていますが、来年は状況が変わって、騎手同士の戦いがより多く楽しめるようになっている・・・事を願っています。





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最終更新日  2020年10月23日 04時43分19秒