ダンス！DANCE！

日韓合作映画「焼肉ドラゴン」。
２０１８年公開。

「焼肉ドラゴン」は、新国立劇場１０周年と、ソウルの芸術の殿堂２０周年を記念して合同公演作品として、
鄭義信作・演出で、数々の演劇賞を受賞し、好評をえた作品だそうです。

鄭義信さんは、映画「月はどっちに出ている」の脚本家でもあり、
今回は、この映画で初の監督をしたそうです。

１９６９(昭和４４)年の春、中学生になった金時生(大江晋平)は、
貧しい家々が見渡せる屋根の上で、「僕はこの町が大嫌いだ」と叫んでいました。
～昭和４４年に中学１年生…なら、時生君は私と同級生です。～

時生は、伊丹空港近くの小さな町の焼肉店「焼肉ドラゴン」の長男。
父・金龍吉(キム・サンホ)は、第二次世界大戦に従軍して左腕を失い、片腕だけで仕事をしています。
四・三事件で故郷の済州島を追われ日本に来た高英順(イ・ジョンオン)と再婚して時生が生まれました。
龍吉の連れ子の長女・静花(真木よう子)と、次女の梨花(井上真央)、
英順の連れ子、三女の美花(桜庭ななみ)の６人で暮らしています。

貧しいながらにも平穏に暮らしていたはずの家族でしたが、
大阪の有名私立中学に進学した時生は、いじめにあい不登校になり、
その結果失語症になってしまい、橋から飛び降りて死んでしまいます。

長女の静花は、幼馴染の李哲夫(大泉洋)と帰国事業で、北に行くことに。
北朝鮮に行ってしまうと、家族とは２度と会えないのです。

次女の梨花は、付き合っていた呉日白(イム・ヒチョル)と韓国へ移住。
三女の美花は、勤め先のクラブの支配人だった長谷川豊(大谷亮平)と結婚して日本でスナックをやることに。

実は「焼肉ドラゴン」は、国有地を不法占拠した集落地にあったのです。
何度も立ち退き命令が出ていたのに住んでいたのですが、
１９７１年春、とうとう店は取り壊されました。
龍吉と英順はリヤカーを引いて何処かへ去ってゆきます。
金家の家族は、バラバラになってしまいました。

１９７０年に大阪で万博博覧会がありました。
日本は高度経済成長期。
こんな時代の片隅で懸命に暮らす家族もいたのですね。
日韓関係もあって少し重く感じる部分もありますが、
全体に温か味が感じられる映画でした。