2021/06/19(土)01:19
短夜の雨
木の間をのぞく短夜の雨
-曽良-
関東も梅雨入りしました。
この時期降る雨のことを「短夜(みじかよ)の雨」というそうです。
俳句では「短夜」は夏の季語だそうで、日が出ている時間が長くなる夏の夜は「短夜」だそうです。
そして、秋は「夜長」。
夏は短い夜を楽しみ、秋はまた長くなった夜を楽しみ、四季のある国に住む日本人の楽しみですね。
「短夜の頃」ー島崎藤村ー
この短夜の頃が私の心をひくのは、一つは黄昏時(たそがれどき)の長いにもよる。
あの一年のうちの半分が晝で、半分はまた夜であるやうな北の國の果を想像しないまでも、黄昏と夜明けのかなり接近して、午後の七時半過ぎにならなければ暗くならない夜が、朝の三時半過ぎか四時近くには明け放れて行くと考へることは樂しい。
まだ私達が眠りから醒めないで、半分夢を見てゐる間に、そこいらはもう明るくなつてゐると考へることも樂しい。
短夜の頃の深さ、空しさは、こゝに盡すべくもない。
そこにはまた私の好きな淡い夏の月も待つてゐる。夏の月の好いことは、それがあまりに輝き過ぎないことだ。