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2024/08/17(土)23:38

追っかけ日記 No.522~第55回 相模薪能~

能・狂言(741)

​​​​​ 木曜日(15日)に、寒川神社に「第55回相模薪能」を観に参りました。 「相模薪能」は、護国の英霊への慰霊と世界の恒久平和を祈念することを目的として、毎年、「終戦記念日」の8月15日に開催されます。 昨年は、天候不良で開催されなかったので、今回は2年ぶりの開催となりました。 例年通り、厳かな奉告祭、火入れ式、僉議(せんぎ・開催宣言)と儀式が進み、薪能が始まりました。 半能「春日龍神 龍女之舞」。 京都の栂尾(とがのお)の僧・明惠上人(ワキ・殿田謙吉)は、仏法を極めようと唐に渡り、そこから天竺に向かうこと志し、暇乞いに春日大社に参詣します。 そこで出会った神官に、「危険を冒して渡天(中国から天竺に向かうこと)する必要はない。ここで、天竺五台山を拝ませます」と言われます。​(ここまでは前半なので、半能の今回は上演なしです。) ​その夜、上人が経を読み待っていると、猿沢の池より龍女(シテツレ・中森健之介)が現れ、舞いを待っていると、池が波立ち、春日の野山は金色の世界となり、大龍神(シテ・観世喜正)が現れます。 天竺五台山の様子を上人に見せ、渡天の必要がないこと促し、再び池に消えてゆきます。 数年前に、久しぶりにワキの殿田謙吉さんを拝見したときに、痩せられて御病気をしたのかなと驚いたことがありましたが、相変わらず、重厚な演技で、勤められました。 従僧のワキツレの渡部葵さん。若くてイケメン。 国立能楽堂能楽研修生の第11期生だそうです。楽しみ! 龍女を演じられた中森健之介さんは、中森貫太さんの息子さんですね。 どうみても、女性にしか見えないたおやかな龍女でした。 観世喜正さんの龍神は、黄金色の装束で、それが、夕日と薪のかがり火に照らされ、金色に輝き、本当に美しい舞いでした。 狂言「張蛸(はりだこ)」。 主人(野村萬斎)が来客に張蛸を振舞いたいと太郎冠者(中村修一)に命じて都に買いに行かせるのですが、当の太郎冠者は張蛸が何のなのか知らないのです。 都に着き、声を掛けてきた男(すっぱ・深田博治)の巧みな言葉に騙され、「張り太鼓」が張蛸だと思わされ、太鼓を買わされてしまいます。 喜びいさんで帰り、早速主人に太鼓を見せるのですが、当然のごとく、不要な太鼓を買ってきたことで、主人は怒り太郎冠者を追い出してしまいます。 「蛸ならタコと最初から言ってくれればいいのに…」と思う太郎冠者ですが…。 しかし、太鼓を売った男が、主人というものは気まぐれだから、機嫌の悪い時にはこれを謡いなさいと教えてくれた囃子を謡ってみると、それを聴いた主人は機嫌を直してくれます。 張蛸とは、竹ひごで張り広げて乾燥させた蛸の干し物で縁起の良い食材だそうです。 「引っ張りだこ」の語源ともなっているものだそうです。 ​ この狂言は、珍しい狂言で、今回この「相模薪能」が、55周年の節目の年であることから、萬斎さんが選曲されたそうです。 私も、初見の狂言でした。 能「葵上」。 光源氏の妻の左大臣の娘・葵上(病床の葵上は、舞台上に1枚の装束としておかれ、登場しません)は、物の怪に悩まされていました。 物の怪の正体を知るため、巫女(ワキツレ・石井寛人)が口寄せ(霊を呼ぶ術)を行います。 すると、高貴な女性の姿が現れて、葵上に辱めを受けた(賀茂祭での車争い事件)六条御息所の怨霊(シテ・中森貫太)と名乗り、自らの抱える辛い思いを吐露し始めます。 怨霊は、葵上の病床に迫って責めこみ、魂を抜きとるべく、呪いの言葉を吐き捨てて姿を消します。 臣下(ワキツレ・則久英志)は霊退治のため、比叡山より修験道・横川聖(ワキ・殿田謙吉)を呼び出します。 横川聖が祈祷を行うと鬼女の姿となった御息所の怨霊が現れて葵上を害しようとしますが、法力の前に力尽き、消え失せます。 今年のNHK大河「光る君へ」に合わせたタイムリーな演目でした。 上演頻度が高い曲なので、何度か観ていますが、久しぶりに拝見いたしました。 迫力があって、面白かった~です。 今年は、天気にも恵まれ、良い会でした。

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