
北のひんがしは、涼しげなる泉ありて、夏のかげによれり。
前近き前裁、くれ竹、した風涼しかるべく、木高き森の様なる木ども、木深くおもしろく、山里めきて、卯の花咲くべき垣根、ことさらにし渡して、昔思ゆる花たちばな・撫子・薔薇・くたになどやうの花、くさ〲を植ゑて、春秋の木草、その中にうちまぜたり。
ー『源氏物語』乙女の巻ー
※光源氏が関わりの深い女君たちのために造営した六條院の春秋御殿、花散里の住まいの夏の御殿の庭の風景。
この時代の薔薇は、中国から舶来したコウシンバラ~漢名では月季花、長春花~だそうです。
こんな場所に浸りたい…。