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「踊るお父さん」の「踊る情報局!」

初恋 ~ 初めての告白 ~ 別れの時

 中学3年生・・・

 高校進学へ向けてその先への不安感と

 今・と言う時、1年間を何かを残したいと言う

 自分の存在価値を見つけようとする・・・

 多感な年だ・・

 その年・・

 初めて恋をした・・・


 それまで・・それなりに好きな女の子はいたこともあったし

 付き合った事もあった・・・


 けれど・・

 今思えば・・それは仲間内にはやし立てられてだったり・・

 ラブレターなんかを貰って・・

 なんとなく付き合ってみただけだ・・

 
 人を好きになって・・・

 こんなに切ない・・・

 ときめく・・・

 ただ・・その人の笑顔が見れるだけで

 幸せ・・・

 ついつい・・

 いつもその人の姿を探してしまう・・・


 そんな思いをする事はなかった・・


 たぶんこれが本当の恋なんだろう・・・


 これが・・・初恋と言うモノなんだろう・・・




 初めて見た時から・・

 その子を見ずにはいられなかった・・・

 名前は・・奈穂子・・・

 朝、教室にその子の姿を探し


 女友達と談笑して笑っている笑顔を見るだけで・・

 僕の心は張り裂けんばかりにときめいた・・・

 
 奈穂子は転校生だ・・・

 中2の時に転校して来たらしい・・・

 紺のセーラー服が我が中学校の制服だが・・

 彼女は紺のブレザーを着ている・・・

 どうしても彼女に目がいってしまう・・

 
 秋・・・

 文化祭のシーズンを迎える・・

 僕は・・当時つるんでいた仲間が4人いた・・

 学年で1,2位を争うほどの秀才、椎名・・・・

 いかにもお坊ちゃん・・油絵を得意としている・・次郎・・

 ギターが得意で教室でよく引いている・・道口・・

 転校生で、ガンダムが好きでプラバンで模型まで作ってしまう・・暁彦

 僕以外は・・皆・・頭がいい・・・


 何故・・このグループに僕が混ざっていたのか

 今、思えば理解に苦しむ・・

 僕は頭が悪い・・


 自分が思う思わないではなく・・

 この4人・・

 秀才・椎名は・・この後、超有名進学校に入学

 後の3人はそれぞれ公立高校に入学して行った・・

 僕は、かなりレベルの低い私立高校に洗願で入学した・・

 でも何故かこの時はこの4人の仲間たちと

 一番多感な時期を過ごしたのだ・・・


 僕の初恋の相手・・奈穂子にも仲のいい友人がいた・・

 
 事あるごとに、我々五人と、奈穂子達の女子5人グループは

 集まっていた・・・

 文化祭の実行委員になっていたメンバーで

 夕方まで、会議を開き、我々3年4組は宇宙をテーマに

 発表会をする事になった・・・

 事のきっかけは宇宙戦艦ヤマトと言うアニメの世界は

 どこまで実現可能なのか・・

 などと話しているうちに決まってしまった・・


 夕闇迫る教室で、遅くまで残って準備をしていた・・

 僕は・・ただ・いつも奈穂子と一緒にいれるだけで幸せだった・・

 下校する時、次郎と奈穂子が同じ方面だった・・


 一緒に帰る姿を見て少し嫉妬をしていた・・・


 次郎と奈穂子の家は100mと離れていない・・

 その頃から用もないのに次郎の家に寄る事が増えた・・


 文化祭が終わるとそれまでのお祭りムードとは一変、

 クラス全体に「受験」と言う暗澹たる空気が漂い始めた・・

 中間テスト・・学期末テスト・・

 進学相談・・・・・

 みな・・一様に「先」の事について話すようになっていった・・

 そんな気分を吹き飛ばそうと・・秀才椎名がクリスマス会を

 やろうと言い出した・・


 勿論、我々、5人グループと女子5人だけでだ・・

 場所は次郎の家・・・・

 当日、集まった10人でパーティーが始まった・・

 と言っても、当時の僕らはまじめで、酒を飲む事もなく・・

 まだカラオケボックスなんかない時代だ・・・


 ミュージシャン志望の道口がギターを弾いて・

 皆で歌うくらいなもんだ・・・それでも大いに盛り上がった・・

 トランプをする事になった・・

 男女ペアーで「大貧民」と言うゲームをやった・・

 偶然にも僕の相手が奈穂子になった・・・

 隣に座っただけで緊張した・・・そして僕の心臓は張り裂けんばかりに

 ときめいていた・・・

 触れ合う肩と肩・・手と手・・

 この時ばかりは「時間よとまれ!」と本気で願っていた・・


 正月が開け・・・

 3学期が始まると・・もう受験戦争が始まっていた・・

 日によって誰かしら試験に行くようになっていく・・

 僕も例外ではなく、試験を受けた・・・

 3月になると・・もう目の前に迫った「卒業」の文字が浮かんでくる・・

 その日・・珍しく男5人だけで集まっていた・・・

 話の流れでこの学校で一人一人、好きなやつ、嫌いなやつ、

 を告白していく事になってしまった・・・

 
 皆口々に、違うクラスのやつや、先生、の名前などを連ねた・・

 僕の番が来た・・

 嫌いなやつは・・×組みの○○・・男の名前・・喧嘩売られたからだ・

 好きな奴・・・○○・・奈穂子・・

 「えっー!!」

 僕の告白に皆一様に驚いた・・

 全然そんなそぶりは見せていなかったからだ・・

 こうなるとこいつらはもう後には引かない・・

 「絶対告白しろよ!」「手伝ってやるからさ・・・」

 面白半分、仲間意識半分・・

 とうとう、翌日、告白する日に決められてしまった・・

 当日・・

 3月4日・・

 朝からどんよりとした雲に覆われ・・

 しとしとと雨が降っていた・・

 卒業式の予行練習や、学活などで出席しない奴も出始めていた・・

 
 放課後・・

 その時が来た・・

 朝から4人の仲間たちは段取りを組み、放課後、

 奈穂子が帰らないように話を持ちかけていた・・・

 一人帰り・・二人帰り・・

 最後・・僕と、次郎、奈穂子と、仲のいい女の子が残った・・

 奈穂子とそのこがコートを着て階段を下りていった・・

 次郎と仲間たちが動き出す・・

 教室に誰も入らないようにして、

 後の2人が奈穂子を呼びに行く・・

 奈穂子1人だけを教室に呼び戻した・・・


 薄暗い教室の中で僕は一人・・心臓が張り裂けんばかりに

 脈うち、今にも心臓が口から出そうな程、緊張していた・・



 ガラガラ・・

 教室のドアが開いた・・

 コート姿の奈穂子が入ってきた・・

 目が合う・・

 ドアを閉める・・

 「話が・・あるって言われたんだけど・・・・」

  戸惑いながら・・彼女が言った・・


 ここで言わなきゃ男じゃない!

 心の中で踏ん切りをつけた・・

 しっかりと目を見つめる・・

 つぶらな瞳が僕を見ている・・

 
 「前から・・君の事が好きだったんだ・・」

 一瞬、ほんの刹那、奈穂子の目が大きくなった・・

 「・えっ・・・・」

 奈穂子がたじろぐ・・

 「卒業したら・・もう会えなくなるけど・・付き合って欲しいんだ・」

 しっかりと口にした・・

 「・・・ええっー・・」
 
 奈穂子はうつむき加減になりながら答えを探していた・・

 僕は1年間の思いを伝えられただけで・・

 胸の中の詰まっていたものが全部流しだされたような

 爽快感さえあった・・

 「・・思ってくれて・・ありがとう・・・でも・・」

 奈穂子が切なげな目をした・・

 「・・・友達のままでいましょう・・・・」

 僕はイエスかノーの答えが聞きたかった・・

 多分・・精一杯の優しさなのか・・・

 「・・うん・・判った・・急に・・ごめんね・・」

 言うのが精一杯だった・・・

 奈穂子がゆっくり教室を出て行った・・

 
 僕はまだ気持ちの整理がついてなかった・・

 仲間たちがにぎやかに集まってきた・・

 椎名が開口一番に尋ねた・・

 「どうだった?何だって?」

 「うん・・友達のままでいましょう・・だって・・」

 「うわー!残念!振られちゃったよ!」

 「落ち込むなよ!」

 仲間たちが口々に慰めの言葉とも、おちょくっているともつかない

 言葉を投げかける・・・

 僕はまだ・・奈穂子の言葉が頭の中でリフレインしていた・・


 「友達のままでいましょう・・・」


 その後25年・・彼女に会うことはなかった・・・




  
     別れの時 ~ 告白の日 ~



                  作詞・作曲 踊るお父さん




 ♪ 卒業式の五日前・・雨の音がする教室の片隅・・

   コートを着て帰ろうとしていた君を呼び戻し・・告げた恋・・

   寒さの厳しい教室で声の上ずる突如の告白・・

   驚いてたじろぐ君を今にも壊しそうで・・

   白けたムードの時の中・・

   無言の時が二人を流す・・

   言葉に詰まった哀れな僕を
 
   やさしく見つめてくれた・・・



   好きなのは君一人・・ 見つめていたいのは・・君一人・・

   別れる時は遠くない・ 別れる時は遠くない・・・



  卒業式の別れの時風の強い薄曇の日・・

  涙ぐんでいた一人の少女にかける言葉をなくした・・

 
 
 「友達のままでいましょう・・」最初で最後の思いやり

  走り去っていく後姿をいつまでも見てた・・

 
  
  好きなのは君一人・・ 見つめていたいのは・・君一人・・

  別れの時はむごく・・ 別れの時は過ぎた・・・

  
 



 

 
 

 
 

 





 


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