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どうぶつ畑

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暴れん坊やついにおかまになる

暴れん坊やついにおかまになる

当園きっての暴れヤギの『暴れん坊や』君にもとうとう運命のときが訪れた。

彼の去勢に反対していた役所の人間も、
自分たちの身に事が及んでくると
(つまりどつかれるようになってくると)
もはや反対することもなくなり、
彼の去勢手術は満場一致で決定した。
とんとん拍子に話が進み、
話が決まってから2,3日もしないうちに彼はおかまとなってしまった。

去勢手術にはみんなが立会い、
事の成り行きを見守った。
去勢は避妊に比べたらそんなに大事ではなく、
あっという間に終了した。

ぴっと切ってつるんと出す。
その様はまさにぶどう羊羹のよう。
女の子は興味津々。
獣医さんが処置するたびにおおっ!と歓声を上げる。
男性陣は痛々しい表情を浮かべ、
そんな女性陣に思いっきり引いていた。

周りの様々な思いが交錯する中、とにかく坊やはおかまとなった。
こんなふうに人間のさじ加減ひとつで
自分の大切なものが切って捨てられるなんて、
動物って不憫。

でもこの話を最も強く押し進めたのは実はわたし。
当園のような小さい園館で種オスを所有し続けるのは正直しんどい。
それに頭数の関係上、
しばらくはベビー誕生は無理だろう。
そんなわけだから、ごめんね坊や。ママを許して。

去勢手術後の彼は、
角切り後とは比べ物にならないほどへこみまくっていた。
彼の立派な立派なタマタマは、
あまりに大きすぎて地面で擦って
先っぽにかさぶたをこしらえるほど立派なタマタマは
もう彼の体には跡形もなく、
残ったのは中身の無い干しぶどうだけ。
精力満々のオスの象徴が無くなってしまったショックは、
わたしにだって推し量れてしかるべき、だ。

わたしはなぐさめた。
これで君もみんなの仲間入りだよ、と。
今までのようにひとりぽっちでごはんを食べることも無く、
寝ることも無く、
遊ぶことも無い。
これから君の第2の人生が始まるんだ、パラダイスだよ、と。

坊やはひとり柵の中にいれられていても、
その可愛らしさと存在感から来園者にとても人気があった。
他のヤギと同じように接客ができれば
今よりももっと人気者になるだろう。

だがそのために彼には乗り越えなければならない多くの関門がある。
人との接し方を学ぶのもそうだが、
まずなにより彼の求められるのはヤギ社会のHOW TOだろう。
種オスによくあることだが、
一日のほとんどをひとりきりで過ごす彼らには社会性に欠けるものが多い。

ここから彼のヤギ社会復帰への壮絶なドラマが始まる。

2004年3月20日(土)の日記より


はれておかまと成り果てた暴れん坊や。次に彼に求められるのは・・・。
坊やのリハビリ



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