となり町戦争
第17回小説すばる新人賞に輝いた、三崎亜記原作小説の映画化、話題作。となり町同士の戦争に巻き込まれて行く一般市民の恐怖をユーモたっぷりに描く。“ことなかれ主義”の主人公を演じるのは『戦国自衛隊1549』の江口洋介。彼を戦争に加担させる役場勤務の女性を『紙屋悦子の青春』の原田知世。静かな町にじわじわと忍び寄る戦争の気配に引き込まれる。公式サイト「舞坂町はとなり町・森見町と戦争を始めます。開戦日5月7日」ある日届いた、となり町との戦争のお知らせ。唐突な出だしと裏腹な、主人公の平常生活。戦争というのが現実の戦いを指しているのか、それとも抽象的な何かをなのか、分からないままに話は淡々と進んでいく。分かっていないのは主人公も同じで、読者が「???」と思っている混乱を全く同じ温度で、主人公も味わっている。妙な連帯感。 本当に戦っているのか、敵は誰なのか、どこにいるのか、全く分からない状態。そもそも、市でも県でもなく、町と町の戦争であるというところが絶妙。その範囲の異常な狭さが、現実にありそうでなさそうで、といったぎりぎりのラインを踏み越えずにいる。偵察業務に就かされた“僕”(江口洋介)は、その業務遂行のために、対森見町戦争推進室の“香西さん”(原田知世)と夫婦生活を始める。戦時にもかかわらず、町は平穏を崩さない。何をするにも事務的な手続き、書類提出、任命式。その非効率的な一連の流れが、戦争という緊急事態と全くかみ合っていないという皮肉がいい。かろうじて戦争状態と分かるのは、日々のニュースで発表される戦死者の数だけ。淡々とした日常生活のなかに侵食した戦争。“僕”は、知らず知らずのうちに、その戦争の中心にいた・・。感想正直、一回目見たときは眠くなって挫折。二回三回とチャレンジしてやっと最後まで見れました。かなり眠くなる映画ですた。派手なアクションやテンポのよい展開の映画を期待する方には、不向き。それでも、江口さんや原田さんのズレた?掛け合いというか、、江口さんの終始 周りになにが起こっているのか、分からないまま、流れにのっかっていってしまう、お人よしというか、無責任というか、役場の女性香西さんに魅かれて、、という軽さに、ツイ見る側も引っ張られた、という感じです。 現代人の、戦争への意識をざっくり見せられたな、、という印象でした。【江口洋介、原田知世初共演&夫婦役『となり町戦争』プレミア試写会舞台挨拶】江口洋介「“戦争”とタイトルにありながら、映画の中では最後の最後まで、映像としての戦争シーンが出てこないんです。小説を読んだときは、それが小説ならではの面白さと感じていましたが、映画版も違う意味で面白いですよ。それに、映画の中では“業務、業務”という言葉がいっぱい出てきます。与えられた日常の業務をこなし、普通に暮らしていたらいつの間にか戦争の中心にいた、という感じになっています。少しラブシーンなんかの要素も含めて、本作は“戦争反対”と説教がましくなく、楽しみながら受け入れてもらえる映画に仕上がっていて、今までの映画にないオリジナリティがある映画です」原田知世「私が演じた香西さんという女性は、舞台となった舞坂町に生まれて、舞坂町が大好きで、町の役に立つために町役場の職員になった人なんです。舞坂町がとなり町と戦争することになり、彼女は戦争推進室に配属されるのですが、戦争に対しマイナス感情を抱きつつもロボットのように無表情に感情を押し殺して業務を推進する。そうした感情を演じるのに苦労しました。でも撮影現場は本当に和気あいあいとしていて、景色がいいところだったのでのんびりとした気分で撮影に望めました。『となり町戦争』は物語なので、オーバーに描いているところもありますが、いろんなことに敏感でいなければいけないんだなと、私はこの映画を通して感じました」