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| 女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。
「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに、貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り、これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。
●収録作品
「織部の霊」「砂糖合戦」「胡桃の中の鳥」「赤頭巾」「空飛ぶ馬」 |
このミステリがすごい1989年版 国内編 第2位
北村薫のデビュー作です。
どの一遍もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される。本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさらな事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百の手の容易になし得るものではないが。北村氏の作品は読後に爽やかな印象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。 (あとがきより)
この<日常の謎>ミステリが、市民権を得たのは、この作品から。
殺人事件などの犯罪は無い。身近な謎を扱う潮流を世につくりました。
当時作者は覆面作家。女子大生の生活や性格が活き活きと描かれているので、本物の女子大生が著者ではないかと思われていたそうですね。
「私」は、国文学部の学生ですが、非常に文学に詳しい女子大生で、ありえない設定の気もしました。映画やお芝居や落語に旅行と、随分散財しています。アルバイトもしていないのですから、『私」はわりとお嬢様なのかと、思いました。
北村さんの作品は<時と人>シリーズから入りましたが、お嬢様風のおっとりした雰囲気や文調は、同じに感じました。北村さんのご趣味の文学や落語に対するウンチクを女子大生「私」を通して語っているのでしょうね。
【織部の霊】
「私」と円紫師匠の出会い編。
大学の授業が休講。ひょんなことから文学部の加茂教授を介して落語家円紫師匠と雑誌の対談で会う。もともと「私」は非常な落語ファン、円紫ファン。
加茂教授の、不思議な”織部”にまつわる夢のはなしの謎。
教授の子ども時代、叔父の家に泊まると、古田織部正重然(ふるたおりべのしょうしげなり)が切腹している夢を何度も見て恐い思いをする。その切腹している絵は蔵に収められていたもので、子ども時代に見たはずが無い。
【砂糖合戦】
街で偶然円紫師匠と会い、紅茶専門店「アド・リブ」にお茶を飲みに入った「私」は、女性の3人組が自分達の紅茶に何杯も砂糖を入れていた。何のためか?
【胡桃の中の鳥】
大学の友人・正ちゃんと江美ちゃんが初登場。
円紫師匠の蔵王で行われる「円紫講演会」に招待され、3人は東北旅行に来た。蔵王の御釜にドライブした帰り、うっかりロックし忘れたが、何故かシートカバーだけが盗まれていた。
【赤頭巾】
近所の女性が「公園で赤頭巾」を見たというはなし。
【空飛ぶ馬】
知り合いの子供の幼稚園のクリスマス・パーティーをビデオを撮るためにかり出された「私」。酒屋「かど屋」の国雄さんがサンタ役。幼稚園に「かど屋」が寄付したはずの木馬が、夜中に消えて翌朝に戻っていたというはなし。
「私」と円紫シリーズ
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最終更新日
2008年03月04日 11時32分26秒
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