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テーマ:ミステリはお好き?(1496)
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明治維新から29年 帝都・東亰(とうけい)、パラレルワールド。 夜が人のものであった時代は終わった。人を突き落とし全身火だるまで姿を消す火炎魔人。夜道で辻斬りの所業をはたらく闇御前。さらには人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈する街・東亰。新聞記者の平河は、その奇怪な事件を追ううちに、鷹司公爵家のお家騒動に行き当たる…。人の心に巣くう闇を妖しく濃密に描いて、官能美漂わせる伝奇ミステリ。 あとがきにあるように、宮部みゆきさんの『霊験お初捕物控』や京極夏彦さんの『後巷百物語』シリーズのような妖怪ムードが漂っていました。それとけだるさは時代の雰囲気でしょうか・。 ファンタジーやミステリ部分が楽しいです。 それと時代の雰囲気。明治維新後30年近く、日清戦争や日露戦争はやっていそうですが、パラレルワールドのここでは戦争はどうなんでしょう。軍隊はあるようです。夜、人が殺される事件が相次いで起こります。 事件に興味をもった新聞記者が調べると、華族の鷹司公爵家の人が事件に遭遇していることが判明し、やがて複雑な家庭事情も知る事となります。次期当主争いをしていると目される二人は、同年同月生まれの、どちらも庶子。一方はいかにも華族のお坊ちゃんらしい線の細い美青年。一方は暴れん坊、民主活動をしたり骨太な異端児。 闇の人形遣いと人形が欲しがっているのはどちらの青年なのか。 市井の人々の暮らしぶりが垣間見えました。道路が整備されきれいになったが、大道芸人など隅に追いやられる。逆に、闇を深めることになってしまったようで。。開国をたたえ外国のような暮らしがもてはやされる。日本は進歩したと信じつつも、闇では、昔と変わらぬ人々の暮らしの犠牲があり、人々の血税の上に国は成り立っている。 侵略されるのが厭だから、侵略しに海外進出していくのが正しい未来に繋がるのか。 日本は正しい方向にすすんでいるか。この時代の不安や混迷を魑魅魍魎で表したんですかね~。嘘と真の曖昧さを楽しむ、、というおしゃべりがありましたが、その真意はなんだったのかでしょう。そのおしゃべりをしてた一人は死ぬし、もう一方は人間じゃなかった。 水に沈んだ町を小船で行き交う人々。そして魑魅魍魎に遭遇するのは、病や怪我にみまわれるのと同じ事。 さすが小野ワールド。 時代ミステリー ・宮部みゆき 『本所深川ふしぎ草紙 』『震える岩 霊験お初捕物控1』『幻色江戸ごよみ』『初ものがたり』『堪忍箱 』『天狗風 霊験お初捕物控2 』『ぼんくら』 『日暮らし』 『孤宿の人』 『あやし』 『おそろし』 『蒲生邸事件』 ・京極夏彦 >『姑獲鳥の夏』 『 魍魎の匣』 『狂骨の夢』 『鉄鼠の檻』 『絡新婦の理』 『塗仏の宴 宴の支度』 『塗仏の宴 宴の始末』 『陰摩羅鬼の瑕』 『邪魅の雫』 『巷説百物語』 『続巷説百物語』 『後巷説百物語』 『前巷説百物語』 『西巷説百物語』 『嗤う伊右衛門』 『かぞえずの井戸』 『死ねばいいのに』 『厭な小説』 ・畠中恵 『しゃばけ』 『ぬしさまへ』 『ねこのばば』 『おまけのこ』 『うそうそ』 ・高橋克彦 『だましゑ歌麿』 『おこう紅絵暦』『春朗合わせ鏡』 『舫鬼九郎』 『あやかし』 『京伝怪異帖』 『完四郎広目手控』『天狗殺し』 『いじん幽霊』 『文明開化』 ・岡本綺堂 『半七捕物帳』捕物帳の起源 ・誉田龍一 『消えずの行灯―本所七不思議捕物帖』 本所七不思議(消えずの行灯、送り提灯、足洗い屋敷、片葉の芦、落葉なしの椎、置いてけ堀、馬鹿囃子)を題材にした連作形式の捕物小説 ・松井今朝子 『吉原手引草』直木賞を受賞 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年03月10日 22時20分54秒
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