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高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、細かく報酬を稼ぐ刑事弁護士ミッキー・ハラー。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが…警察小説の名手が挑む迫真のリーガル・サスペンス。 新シリーズ登場 リンカーン弁護士ミッキー・ハラー このミステリーがすごい 海外編 2010年版 第10位 国際ミステリ愛好家クラブ最優秀賞 アメリカ私立探偵作家クラブ最優秀賞 警察小説の第一人者マイクル・コナリーのリーガル・サスペンスです。すでに『ブラック・ハート』と『夜より暗い闇』で、その筆力は実証済みですね! 本職のリーガル作家さんと全く遜色ない迫力で、いずれもボッシュ・シリーズでしたが、今作では新シリーズ。刑事弁護士が主人公です。ミッキー・ハラーという名前でピンと来る方は、ボッシュ通。『ブラック・アイス』で登場する人物&ボッシュと深い関わりがある人です。 スコット・トゥロー:リーガル・サスペンスの大御所のことば 「コナリーは、捜査官や警官の領域に広い識見をこれまで発揮してきたのとおなじように、刑事弁護士の世界にもみごとに精通していることを明らかにした。とても素晴らしい書き手によるとても素晴らしい本がまた新たに生み出された」 スティーブン・キング:モダン・ホラーの帝王 ミステリー業界の神のことば 「マイクル・コナリーの驚くべきところは、本を書くごとに、語りの技術をおおいに学び続けているところにある。どの本も、そのまえの本よりも優れているのだ。そして、本書はあえてこう呼ばせていただくと、(リンカーンではなく)本物の極上品キャデラックだ リンカーン弁護士とは? 大型高級車ブランドのリンカーン。第16代大統領エイブラハム・リンカーンにちなんで名づけられた。この車の後部座席を事務所代わりに、ロサンジェルス郡に点在する40数ヶ所の裁判所を飛び回り、こまめに事件を拾って弁護報酬を稼ぐ刑事弁護士だそうです。 主人公ミッキー・ハラーもそんな刑事弁護士のひとり。離婚2回、娘1人。 中盤までは、弁護士や法廷関係の仕事の目まぐるしさ、複数の案件や、専門用語や独特の仕事内容に、頭がついていけず、ページ繰りが停滞しました。 刑事弁護士は、刑事に憎まれ蔑まされる。刑事の正義で起訴した犯罪者を、自由にしたり軽刑にする。依頼人からも、弁護料はふんだくるし感謝される事はまれだったりする。 刑事弁護士は刑事からも依頼人からも、嫌われて大変な商売のよう。。 この商売を何故ミッキーは選び、続けているのか。ハッキリ分かったわけではないけれど、幼い頃に死別した父への思いや、彼なりの正義感を感じつつ読んでました。 「無実の人間こそ恐ろしい依頼人はいない。無実の人間ほどこちらに傷あとを残していく依頼人はいない。」 ラストのほうでミッキーが自分につぶやく言葉です。今作も一人称だったんですよね~。 この新シリーズが今後も定着して続くのかは、わかりませんが、続編『The Brass Verdict』(2008)はすでに刊行され、翻訳待ち状態。欧米ではとにかく爆発的大人気作品だそうですから。続編ではボッシュと早速の共演だそうですし。楽しみです。 それにしても。新シリーズ一発目でいきなり、弁護士業界において、最悪な2ケースが紹介されたんじゃないでしょうか?弁護士にとっては、どちらも悪夢の依頼人ケースに思えました。 以下ネタバレ有り↓ まず、ミッキーら刑事弁護士は、依頼人が無実であるという可能性はほぼゼロという前提で動いてます。必ずなんらかの有罪を受ける立場の人たちを弁護するのだと。その人たちをミッキーは”社会の弱者”としています。どんな重罪犯も軽犯罪者も、等しく彼らはそこに流れ行き着いた人々で、誰もが等しく弁護士を必要としている。じゃあ自分がそれをやりましょう、と。刑事たちに憎まれ蔑まれても、自分の商売にふと嫌気が指しても、荒稼ぎばかりが目的でも、、。 本作の悪夢の究極パターン2つというのは次のとおり ・冤罪 自分が刑務所に送った依頼人が、真実無実だったとしたら。 「お前は、俺に、やったのか?と聞きもしなかった。」依頼人より憎悪の言葉 ・シリアルキラー 自分が弁護してる依頼人が、真実シリアルキラーだったとしたら。 「お前の娘は、かわいいじゃないか」勝手に家に入り込んだ依頼人の言葉 生きている限り悪夢にうなされそう~。 正義のあり方、弁護士の良心というシリアスな主題が主目、うまい話には裏があるごとく、おのれの弁護士としての職業生命および自分や周囲の命そのものまで、危険にさらされるハメとなる、お話でした。 映画化 【スタッフ・キャスト】 [監督]ブラッド・ファーマン [出演]マシュー・マコノヒー/ライアン・フィリップ/マリサ・トメイ/ウィリアム・H・マッキー/ジョシュ・ルーカス 公開: 米2011年 3月 18日 上映時間: 1時間 59分 ジャンル: スリル・法廷・ドラマ 原題: The Lincoln Lawyer 【制作】 マイクル・コナリーの同名サスペンス小説(2005年)をブラッド・ファーマン監督が映画化。 【ストーリー】 高級車リンカーンをオフィスにする弁護士マッキー・ハラーは軽犯罪の弁護で生計を立てているが、ある時、婦女暴行と殺人未遂容疑をかけられた資産家の息子ルーレイを弁護する大きな仕事が舞い込む。ハラーはルーレイが悪党と知りながらも法廷で無罪を主張する... マシュー・マコノヒーさんは、クライブ・カッスラー原作の<サハラ 死の砂漠を脱出せよ>(2005)の主人公ダーク・ピット、ジョン・グリシャム原作の『評決の時』(1996)で人種差別と戦う正義感あふれる若き弁護士役など、演じています。良い役ばかりやってますね~。 <リンカーン弁護士>では、屈折した金勘定にうるさい中年親父の弁護士ですが、やっぱりカッコよくやっちゃいそうですね。(*^.^*) マイクル・コナリー原作の映画化は、『わが心臓の痛み』クリント・イーストウッド監督・主演の<ブラッド・ワーク>以来の2作目です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年05月26日 14時45分57秒
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