先日、あることがきっかけで
デザインのコンテストに出品したのです。
きっかけとなったあることとは、メルマガに何度も登場している 私のダンスの先生の作品。
その先生とは、踊りの先生であって アクセサリーとは関係ないんだけど、美しさを舞踊で生み出す芸術家として、私が勝手に尊敬している人です。
私はデザインの学校を出たわけでも、デザインを勉強したこともなく、
アクセサリーのデザインは完全に独学。
そのため、自由に自由に好き放題 デザインやバイイングしているし、独走なわけだし。
でもそれを評価してくれる人も時々いて それだけで ほんとは十分幸せ。
でも、
独りよがりになりすぎるんじゃないかとか、
井の中の蛙みたいなことになって行きそうだなとか、 そんなものもあったりするわけです。
そんなさなか、
その、私の大好きな先生のダンスについて 衣装の髪飾りを作る事になりました。
生徒の発表会の衣装で、羽飾りを作ることになったのです。
先生よりなんとなく衣装を伝えられ、「青い羽でなんか作ってきて」ということ。
踊りと曲のイメージは「秋」で衣装は、白い長襦袢。メイクは眉つぶしに血の気の無いような感じで、目の下に朱を入れると聞いたら、
「秋の物の怪」とか、”この世のものじゃないもの””うぶ女(幽霊)”のイメージですね。
そんなことが分かってしまうと!
出てくる 出てくる!
私の、デザイン妄想癖!ほんと たのしい~♪
もう、果てしな~く 頭の中は人の頭部を羽で飾ったデザインでいっぱい。
が しかし、他の準備で掛かりきりになり 羽飾りのイメージや説明にかけられる時間はまるでなく
直前まで 衣装のことなどを詳しく教えてもらえなかったために
沢山浮かんだ羽飾りは 私の頭の中にだけ浮かんでは 形になることなく消えていったのでした・・。
唯一 時間ぎりぎりのイメージあやふやな中、ぎりぎり出来上がった羽飾りが、写真↑。
顔周りの部分をまず作ったのです。
踊りとか舞台のプロの人のイメージに、もともとそういう世界にはシロウトの私が近づくことなんて、とうてい不可能なんだけれど
漠然とだけれど与えられたイメージで用意できる限りのことをしてみました。
聞いても「成人式みたいな・・」という説明。
「ふわふわという意味か?動きがあって欲しいということか?後頭部に何か欲しいということか?あの髪飾りには、使える羽は限定されてきちゃうんだよなあ?」など、考えるほどよくイメージがつかめず。
悩んで先生に使うつもりの材料を見せると・・
「その色じゃ 美空ひばりになる。下品になる!」とのおこたえ。あれまあ。
「私が作るんだから、そんなふうになるわけ無いじゃんっ」と生意気にも内心怒ってもみたりしつつ、後日その材料で作った試作品をへこたれずに持参。
本人に見てもらいながら
”もっと、頭のここら辺に この色を””ふわふわしてる感じを”という要望に柔軟におこたえできるよう、コームにて制作。装飾してみました。
ところが
いくつか作って自分をモデルに頭部につけてみせても、どうやらあんまり納得のいかないご様子・・。
出てきたご意見は:「もっと、正面から見たときに色が分かるようにしないと意味がないんだ・・。」
どうやら ”後頭部につけたかった”わけじゃないのねえ。と思い直し
今度はそのコームを、後頭部ではなく、頭頂部につけ直してみると、
「おおっ!?」と、ちっとはイメージに近づいたのか、反応に変化。
「つけ方を変えただけで、髪飾りそのものは変わったわけじゃないのに」と、心の中でつぶやきつつ、なんだかそれが面白かった。
でも、そんなことより 制作の一番の苦労は・・・
「細かいところを凝っても、誰にも気づいてもらえない」ということ!!
こんな苦痛がありましょーか?!
私は日ごろアクセサリーを作るけれども それと一番大きく違うのは、「舞台で映えるのかどうか」。
でもこれは、舞台では、お客さんの眼に届かないと意味がないのだから、当たり前。
でも、これが一番難しかった。
だって、日ごろ一番苦労している点が「いかに細部について考えるか」なんだもん。
たとえば
「この石のカットは嫌」とか
「このワイヤーの太さで可愛さ半減」とか
「この金具の大きさがどうも気に入らない」とか。
人によってはルーペの世界。そうとう、細かいことが全体の仕上がりに響く世界にいます。
だからもう、
耐えられないというか、本来ならば むしろ”楽”。
だって、いつも悩む細かすぎることを考えなくてもいいんだもの。
でも、逆にその細かさが可愛さを作っているのに、そういう小細工が許されないのであれば、
どうしろというのか?と。
もっと大雑把でよくて、もっと大胆でなければだめで。ライトに負けてもだめだし、動いても大丈夫と。
そんなこと、舞台関係でで活躍している人からしてみれば当たり前なんだろうけどね。
でも、私が日ごろ作るアクセサリーでは”近距離の目線に耐えうる細かさ、繊細さ”が求められるんだもん。ああ ほんと、同じ飾りなのに、難しかったっ。
そういうわけで、せっかく私が細かいことを考えても「これじゃライトで飛んで見えない」と、一蹴されました私のこの作品↑。
実際のところ、あれはかなり自己満足で、
綺麗な孔雀の羽で角度によって色の見え方が違うし、
金具の締め方をゆるくしたので、動くと羽も動いてちらちらするのウフフ♪な作品でしたが、
「こんなの 客席から殆ど見えないから意味ナシ!」って言われちゃいましたよ~。ひい~(;;)
時間も気力なく、これで断念。本当は、頭全体にこんな雰囲気の立体的な飾りを作り、横か後ろから見たときに一つインパクトのあるものをつけてようと思ってたんですけどね。
他にサイド用を2,3個作ってギブアップ。
日ごろから、木目込み人形を製作していた祖母のもと、あんなものやこんなものが家にごろごろあった我が家なので、
青地の金襴のハギレでリボンを作っても良いか?ときいたら
「は~?」って顔をされ却下だったし。 そういうわけで、私のデザインはお蔵入りです。
最後までちゃんとしたものは作れずだったけれど、舞台の小物を作るという経験をかじることが出来て、ものすごく勉強。
そういうわけで 顔周りの飾り一つで相当苦労した私は
他の人の飾りはもっともっとシンプルだったのもあり、バランスを考えてこの飾り一つでやめておきました。
でもこれが、私にとっては新しく、難しく、とっても面白いことでした。
こうやって私は”テーマで作る楽しみ"を知ってしまい、
ひとりでデザインをしていく自己完結の退屈と相まって コンテストに出品することにしたんですね~。
先生の作品がきっかけとなって、作ってしまった私のコンテストの作品。
さて、その作品とは・・・?