片手に吊革・片手に文庫

2009/04/13(月)00:45

「君が降る日:島本理生

今日の1冊。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 恋人・降一を事故で亡くした志保。彼の母親が営む店を手伝う彼女の前に現れたのは、その事故の原因をつくった五十嵐だった。彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていく…。「君が降る日」他、二編収録。 --- 恋人をなくした志保、自分が起こした事故によって友人をなくした五十嵐、息子をなくした母、兄をなくした弟、隆一がいなくなることで同じ時間を過ごすことになる4人。それぞれが切ない思いを抱えて、隆一がいない今を生きる。 表題作の「君が降る日」 恋人に振られた美穂は英会話スクールで高校生「森谷」と知り合う。強引な森谷と付き合いながらも美穂は失恋の痛手から抜け出せないでいた。振られたことを認めることができた美浦は新しい一歩を踏み出す。「冬の動物園」 恋人でもない、けれど何かあったら頼ることができる存在。佳乃にとって祐は大切な存在。いつまでも続くと思った関係も、やがていくつかの恋を経て変化していく。「友達」という残酷な関係。谷川俊太郎の詩にこめられた祐の気持ちを佳乃は随分後になって知ることになる。 「野ばら」 3つの作品の中で、「野ばら」が一番好きでした。 主人公たちの年からずいぶん離れてしまっているけれど、昔同じように傷つけてしまった恋を思い出して胸がキュンとなりました。 作中に出てくる谷川俊太郎の「あなたはそこに」という詩。 探して読んでみたいです。 男女間の友情は、どちらかの思いが強すぎてもいけない。 それでもやっぱりぐらぐらとすることはあるかもしれないけど、天秤でバランスを取りながらちょうどよいところで保っている状態。この状態が長続きする条件なんじゃないかな。 付き合ってしまうと、別れて友達に戻ることはできない。 友達のままでいられたら、どんな今があっただろうとも思う。 追記:googleで検索したらこの詩が全文アップされているサイトを発見しました。興味ある方は検索してみてください。

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