片手に吊革・片手に文庫

2009/04/16(木)22:39

「スタンレーの犬」東直己

「スタンレーの犬」夜中に読了。 見えない力を持つ少年ユビは、折井の元でその力を活かし仕事をしていた。 そんなユビの今回の仕事は、ある女性を1週間旅に連れ出すこと。 心の宝物を探して旅に出る香奈、旅をともにするうちにユビは香奈のことを「好き」になる。 自分がしていることは、香奈を陥れることなのか。 二人が続ける旅をするための旅、目的地が大事なのではなく、旅をすることを楽しむ二人。 親子のふりをして田舎の旅館に泊まり、居酒屋で酒を飲み、身の上話をし・・ そんな二人のやりとり、かもし出す空気がよかった。 表題になっているスタンレーの犬。 ああ、そうなんだよね。と言葉以外のところで感じるものがあった。 心の宝物。 不幸を背負ったユビ(イヅモ)、怪しげなユビの雇い主、折井。 シリーズ化してほしい。そんな作品。 ただ、ユビが最後にみせたあの「力」を登場させなくとも、物語は十分成立していると思うのだけど・・・かえって、唐突で違和感を覚えました。 悲しい人がたくさんでてくる物語だから、折井さんの言葉でなんだか救われる。 「自分の感情には意味はない。・・・」 「感情なんか、クスリでどうにでも変わる。・・・科学薬品で左右される程度のものだ。感情ってのはな。そんな具合の、どうでもいいもんなんだ。」

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