テーマ:本のある暮らし(4158)
カテゴリ:Novel
・小川哲『地図と拳』は、架空の満州都市「光陽市」の創設から崩壊までを軸に、日本と満洲の歴史を重層的に描く、壮大な近代史叙事詩。地図を引き、都市を築き、夢と暴力の果てに何が残るのかを問う ・主人公・南川は「地図を描く者」として帝国の野心とともに満洲の大地に足を踏み入れる。彼の筆が描く線は、やがて戦争、欲望、破壊の軌跡となっていく ・登場人物たちは、己の正義や信念、あるいは幻想のために動く。だが、時代の奔流は彼らの意志さえも呑み込み、問いかける。「地図を描くとは、誰の世界を描くことか」と ・史実と虚構が織りなす世界観は重厚でありながら、ページをめくるごとに人間の業と矛盾が浮かび上がってくる ・拳を握った者たちの歴史は、地図の上には残らずとも、読者の記憶に深く刻まれるだろう。「夢を描く地図が、いつしか拳の軌跡になった。」 ・受賞歴:第168回(2022年下半期)直木賞受賞、第13回山田風太郎賞受賞、2023年 このミステリーがすごい!第9位
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Last updated
2025.05.23 09:31:28
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