Digital Book Library of SKPI

・重松清『その日のまえに』

──「その日」とは、大切な人との別れの日。けれど、物語はその“まえ”にこそ宿る。

・死を見つめることは、生を見つめることと同義なのかもしれない――本作は「死」を真正面から描きながらも、「生きる」ことの意味をそっと手渡してくれる連作短編集である。

・がんで余命を宣告された妻と、その知らせを受け止めきれない夫の姿を描いた表題作「その日のまえに」をはじめ、余命を知りながらも子どもに愛情を注ぐ母、残された人たちが抱える後悔や痛み、そして小さな希望を描いた短編が並ぶ。

・どの物語も、別れの“その日”に向かう過程に焦点を当て、「もう一度会いたい人に、何ができるのか」「明日が当たり前に来ると思っていなかったか」
と、読者自身の“今日”を静かに見つめ直させる。

・決して感傷に流れず、けれど胸を締めつけられるような、優しくて苦い、生と死の物語である。

その日のまえに （文春文庫） [ 重松 清 ] 価格：814円（税込、送料無料) (2025/5/20時点) 楽天で購入