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テーマ:本のある暮らし(4604)
カテゴリ:Novel
・米澤穂信『インシテミル』 ――密室×心理戦×殺人。極限状態の中、人間の本性と理性の綱引きが始まる、実験型デス・ミステリ。 「時給11万2千円」という破格のバイト広告に釣られて集まった12人の男女は、郊外の地下施設「暗鬼館」に閉じ込められる。実験の名目は「模擬監獄における心理行動の観察」。だがその真の内容は、ルールによって構築された、疑心暗鬼と殺人が連鎖するゲームだった。 ・参加者全員に配られる「武器」。誰かが殺されると、告発すれば「正当殺人加算報酬」、犯人が否定されれば「虚偽告発ペナルティ」。逆に、犯人が告発されずにいれば「完全犯罪報酬」。それぞれが報酬と生存を天秤にかけ、他者を信用せず、探り合う空気が蔓延していく。 ・次々と発生する不可解な殺人。密室、トリック、アリバイ、そして各人が持つ過去と背景。表面上は理知的にふるまう参加者たちも、徐々に本音と猜疑心を露わにしてゆく。誰が敵で、誰が味方か。理性を保てる者は誰か。命と報酬をめぐる“実験”は、やがて制御不能の領域へと突入していく。 ・主人公・結城理久彦は冷静な観察眼を持ちながらも、極限状況において自らの倫理観と向き合うことになる。推理の果てにあるのは、真相か、それともさらなる欺瞞か。 メタ的な構造と心理ゲームの緻密な設計が特徴の一作。デスゲームの形を取りつつ、人間の欲望、倫理、集団心理の暴走を描ききった、米澤穂信による異色の密室サスペンスである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.06.01 17:00:06
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