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テーマ:本のある暮らし(4569)
カテゴリ:Novel
・米澤穂信『可燃物』 ――火のように、静かに潜み、突如として燃え上がる。日常に潜む「火種」を描いた、短編ミステリ集である。 火災や放火をテーマに据えた全6編の短編集。舞台はすべて現代日本。謎解きのスリルよりも、人の心に潜む感情の揺らぎと、そこから生まれる歪みを描く。事件は小さくとも、その背後にある感情は重く深い。 表題作「可燃物」は、コンビニの廃棄処理をめぐる同僚間の確執が、やがて不可解な放火へとつながっていく物語。地味で目立たない人物の小さな違和感が、日常を崩壊へ導く。 ・「燃えない親父」では、定年退職を迎えた父親が突如自宅を燃やした真意に迫る。家族が知っていたはずの父の姿は、何を隠していたのか。 ・「水曜の南模試」では、受験戦争のプレッシャーと教師の立場、少年たちの感情が絡み合い、試験会場での火災騒ぎの真相が浮かび上がる。 ・火は感情の比喩でもある。怒り、嫉妬、怨嗟、寂しさ、あるいは罪悪感。登場人物の心の奥底に眠る「燃えやすい感情」が、火災という物理現象を通してあぶり出される。ミステリでありながら、そこにあるのは犯罪ではなく、「なぜその人は火をつけたのか」という静かな問いかけ。 ・推理というより「解釈」に重きを置く構成で、謎の真相そのものより、登場人物たちの行動と心理が語る“火の理由”が主題となる。犯罪の動機ではなく、人間の感情を「可燃物」として描いた、米澤穂信の異色の短編集。静かな余韻とともに、読む者に火種の所在を問いかける。 ・受賞歴:2024年「このミステリーがすごい!」国内編 第1位、2023年「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位、2024年「ミステリが読みたい!」国内編 第1位 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.06.01 18:00:06
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