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2025.06.19
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カテゴリ:Novel



・上橋菜穂子『鹿の王』は、人間の尊厳と生の意味を静かに、しかし力強く問いかける壮大なファンタジー叙事詩でありながら、医療・政治・信仰が交錯する社会的リアリズムを湛えた作品である。

・物語の舞台は、かつて強大だった東乎瑠帝国に併呑された群島国家・アカファ。その支配の余波が続く中、山岳地帯の民“独角(どっかく)”の生き残りであり、戦士でもあったヴァンは、敗戦の末に鉱山の奴隷として囚われていた。

・ある日、謎の病“黒狼熱(ミツツァル)”が鉱山を襲い、人々が次々と命を落とす中、ヴァンは奇跡的に生き延び、幼い少女ユナを連れて脱走する。やがて彼は、この謎の病と帝国の医術との狭間に蠢く巨大な陰謀に巻き込まれていく。

・一方、帝国随一の医術師ホッサルは、黒狼熱の感染経路と治療法を追い、医師として、そして人間としての信念を試されていく。ヴァンはかつて“生き残ること”に罪悪感を抱えた戦士でしたが、ユナという小さな命を預かることで、生きる意味を再び掴もうとする。その姿は、読者に「生きるとは、誰かを守ることなのか?」という問いを投げかけます。また、ホッサルの葛藤は、知識と信仰の対立、帝国の論理と個人の倫理、医療の限界と希望を象徴している。
・それは、現代を生きる私たちが直面する「科学」と「感情」のせめぎ合いそのものであり、仕事と人生の境界があいまいになるこの世代にこそ響く問いとなる。

・『鹿の王』に描かれる「大きなものに抗いながらも、小さな命を守る」という姿は、父であること、夫であること、職業人であることの意味を、改めて問い直すきっかけとなるはずです。その重層的な世界観と語り口は、心地よい疲労とともに読後に深い余韻を残す。まさに、年齢を重ねた読者にこそ開かれる文学としてのファンタジーである。

・受賞歴:2015 12回本屋大賞受賞







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Last updated  2025.06.19 00:00:12
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