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テーマ:本のある暮らし(4328)
カテゴリ:Life
・王貞治『人生で本当に大切なこと 壁にぶつかっている君たちへ』は、世界記録を打ち立てた稀代の打者が、自らの半生を通じて「壁」とどう向き合ってきたのかを語り、そこから導かれる人生と仕事の指針を示す一冊だ。対象はスポーツ選手だけではない。むしろ、ビジネスの現場で迷いや焦りを抱える大人にこそ響く言葉が並ぶ。 ・本書は、王貞治が少年時代から現役、監督、そして人生の熟成期まで、数々の試練をどう乗り越えたのかを軸に構成されている。一本足打法という革新的なスタイルの確立、記録への執念、スランプとの闘い、そして引退後の組織マネジメント――これらのエピソードが、単なる回顧ではなく「どう壁を定義し、打ち破るか」という哲学に結晶している。 ・彼が強調するのは「壁は成長の証」という逆説的な考え方だ。楽な道を選んでいては壁にぶつかることはない。困難が訪れたということは、今まさに次のレベルへ進む機会を与えられているということ。その視点が、全編を通じて脈打つ。 1. 努力は裏切らない。ただし“やり方”は裏切る 努力そのものは尊いが、結果を出すには方法論が不可欠。一本足打法を確立するまでの試行錯誤は、創意工夫なくして努力が空回りすることを証明する。これはビジネスでのPDCAやイノベーションと同質だ。 2. 逆境は伸びしろの証拠 スランプ、批判、限界――これらは避けるものではなく、自分の枠を広げるトリガー。王は「壁を楽しむ」という境地に至る。その心構えは、キャリアで昇進や転職を考える際にも重要な示唆を与える。 3. 変化を恐れない柔軟性 一本足打法は、従来の常識を覆す発想だった。固定観念を崩す勇気こそ、ビジネスで競争優位を築く最大の武器だ。 4. 人を活かすマネジメント 監督としての王は、選手の特性を見極め、無理に型にはめなかった。人材マネジメントにおいても、個の強みを活かす視点が必要だと語る。
・王貞治は言う。「壁があるからこそ、人は成長できる」。その言葉は、数字や肩書に追われるビジネスパーソンにとって、静かながら強い励ましとなる。困難を前にしたとき、それを避けるのか、打ち破るのか。その選択が、キャリアの質を決定づける。本書は、迷う者に「進め」という最もシンプルで力強い答えを提示している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.10.13 00:00:16
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