062402 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Digital Book Library of SKPI

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

DBL_SKPI

DBL_SKPI

Keyword Search

▼キーワード検索

Category

カテゴリ未分類

(0)

Business

(277)

Novel

(447)

Manga

(143)

Life

(159)
2026.01.10
XML
カテゴリ:Novel

・角田光代『タラント』は、国際都市・パリを舞台に、偶然の連鎖が人の運命をゆっくりと、しかし確実に変えていく様子を描く長編小説。角田光代が得意とする「人の心の硬さと脆さ」「自分の在りかを探す旅」が、異国の風景の中でより陰影を帯びる。

物語は、数人の人物の人生が“ほんの小さな偶然”によって交差し、思いも寄らぬ渦に巻き込まれていく群像劇だ。それはまるで、現実のビジネス世界で起きる“不可視の因果”のように静かで、冷たく、美しい。

・パリに集う“孤独な旅人”たち

主人公のひとり・は、日本での生活に行き詰まり、逃げるようにパリへ渡る。ほかにも、過去から逃げてきた者、未来を見失った者、愛を求める者など、「どこにも居場所がない」者たちがパリという都市に吸い寄せられる。彼らは互いを知らないまま、同じ街角をすれ違い、同じ店でかすかに痕跡を残していく。

・“偶然”が運命の形を変えていく

タラントとは、ギリシャ語で「秤」を意味し、聖書では“神から与えられた資質”を指す。作品では、この“タラント”という見えない力が、人々の行動や選択を静かに押し動かす。財布を落とす。メッセージを見落とす。ふと足を向けた道で誰かとすれ違う。その一つひとつが、後に重大な意味を帯び、別々の人生がゆっくりと集束していく構造が描かれる。

・真に描かれるのは“人間の弱さ”と“再生の気配”

登場人物たちは皆、決して英雄ではない。

  • 自信を失った若者
  • 愛に翻弄される女性
  • 過去の罪を抱える男

彼らは自身の弱さと向き合いながら、「自分はどこへ向かうのか」、「何を失い、何を得るのか」という問いを抱えて生きる。角田光代は、異国の街の冷たい空気を通して、その問いを鮮やかに浮かび上がらせる。

1. 偶然と必然の境界

人生を動かすのは、大きな決断よりも、見過ごしがちな“小さな偶然”であるという冷静な視線が流れる。ビジネスの場での“ひとつの判断”“一瞬の直感”の重さとも重なる。

2. 都市がもたらす孤独と自由

パリという都市は、登場人物たちに孤独を与える一方で、何に縛られずとも生きられるという自由をそっと差し出す。その二面性が、彼らの内面を深く揺り動かす。

3. 価値は外にではなく内側に宿る

“タラント”という言葉が象徴するように、登場人物たちは外的成功や承認を求めるのではなく、自分が抱えてきたものの価値に気づく物語でもある。

・『タラント』は、角田光代が描く“人間の影の部分”が、異国の光景の中で柔らかく反射するような小説だ。偶然に導かれ、弱さに触れ、そしてわずかな希望へと歩き出す人々の姿は、忙しい日常のただなかにいるビジネスパーソンにも深く響く。人生を動かすのは、大きな意志ではなく、小さな揺らぎである。その真実を、作品は静かに、確かに語っている。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

タラント (中公文庫 か61-6) [ 角田光代 ]
価格:946円(税込、送料無料) (2025/12/3時点)







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2026.01.10 00:00:13
[Novel] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X