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2026.01.14
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カテゴリ:Life

・下重暁子『家族という病』、本書で下重暁子が切り込むのは、日本社会が長らく「美徳」として抱えてきた家族観の暗部だ。“家族こそが最も大切である”という価値観——その無垢なスローガンの裏で、人はどれほど多くの義務と犠牲を背負ってきたのか。著者は、自身の生育経験を手がかりに、家族をめぐる幻想の構造を鋭利に解体していく。語られるのは、血のつながりが必ずしも愛情を保証しないという現実だ。むしろ家族ほど、期待、依存、支配、沈黙といった複雑な感情を絡ませ、人の自由を奪い、自己の輪郭を曇らせる存在になり得る。

・本書はストーリー仕立ての物語ではない。しかし、章を追うごとに、著者の人生と思想が一つの“内的物語”として立ち上がる。幼少期の孤独、親子関係の断絶、そして「家族とは何か」という問いに対する長年の葛藤が、淡々とした語り口の中で静かに累積していく。

・やがて浮かび上がるのは、家族を“病”にするのは感情そのものではなく、家族を絶対視しようとする社会全体の空気だという指摘だ。「家族だから仲良くあるべき」「親だから尊敬すべき」という無意識の規範が、個人の自由や幸福をどれほど制約するか——著者はその構造を冷ややかに提示する。

・結論として下重は、家族を否定するのではなく、家族神話から距離をとることで、初めて“個”が息をしはじめるという視点へ読者を導く。家族は愛の源泉であると同時に、時に“呪縛”にもなる——その両義性を見つめること。それが本書の核にあるメッセージだ。

・家族を絶対視する価値観は、組織における「同調圧力」「不文律」と構造が似ている。役割の固定化、沈黙の強制、関係の強依存は、家庭と職場の双方に共通する問題だ。著者が提示する「距離を取る勇気」は、ビジネスにおいても健全な境界線として機能する。過剰な献身や固定観念から自分を解放する視点は、働く世代に一層響く。


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Last updated  2026.01.14 00:00:14



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