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テーマ:本のある暮らし(4595)
カテゴリ:Business
・『仕事を好きになる技術』は北野唯我が、今度は「そもそも、いま目の前にある仕事をどうすれば面白くできるのか」に焦点を当てた一冊。著者は、やりたい仕事を探し続けるよりも、現在の仕事への向き合い方を変えることが重要だと説く。 ・本書の全体像は「キャリアラダー(5つの階段)」として整理され、マインドセット、業務、組織、人間関係、キャリアの変化へと視野を広げながら、仕事を「好きになれる対象」へ変換する方法を考えていく。目次では「認知的選択肢」「やらされ仕事をゲームに変える」「タグをつくる」「人間関係の北極星」などが柱になっている。 ・本書で最も重要なのは、「仕事が好きだから、仕事が楽しい」のではない。仕事への向き合い方を変えることで、仕事は好きになり得る。という発想だ。「自分の好きなことは何だろう」と考え続けると、仕事を選択することばかりに意識が向く。しかし、どんな仕事にも退屈な作業や面倒な調整はある。そこで北野は、仕事そのものを変える前に、仕事を見る認知と行動を変える。これは、転職によって環境を変える発想とは対照的だ。 ・第一章の重要なキーワードが「認知的選択肢」。同じ仕事でも、「上司からやらされている仕事」と見るのか、「自分なりの攻略法を試せるゲーム」と見るのかで、仕事の意味は変わる。もちろん、現実の業務そのものが変わるわけではない。変わるのは、「自分はこの仕事をどう解釈し、どこまで選択できるのか」という感覚だ。この「選べている」という感覚が、仕事への主体性を取り戻す鍵になる。 ・第二章では、日常業務を「業務ハック」する。ここで面白いのは、仕事を好きになるために、必ずしも仕事内容そのものを好きになる必要はないということ。たとえば、 - どうすれば最短時間で終えられるか - どうすれば品質を上げられるか - どうすれば周囲を巻き込めるか - どんな方法なら昨日より改善できるか といった攻略対象として仕事を見る。退屈な作業にも、自分なりのルールや目標を設定すれば、そこにゲーム性が生まれる。つまり、「やらされる仕事」→「攻略する仕事」への変換だ。 ・第三章の「組織ハック」では、「タグ」をつくるという発想が登場する。これは、自分が何者なのか、何ができるのかを周囲から認識してもらうための特徴・強みを明確にする考え方だ。会社に自分を完全に合わせるのではなく、「自分は何を提供できる人間なのか」を明確にする。すると会社との関係も、「会社に評価してもらう」だけではなく、「自分の価値と会社のニーズを交換する」という対等な関係に近づいていく。30代・40代には特に重要な視点だ。 ・『仕事を好きになる技術』は、「天職を探す本」ではなく、「いま手元にある仕事との関係を再設計する本」だ。30代・40代にとって大切なのは、「本当にやりたい仕事」をいつまでも探し続けることではない。今の仕事の中に、どこまで自分の意思を持ち込めるか。そこに仕事の面白さが生まれる。仕事とは、与えられたものではなく、自分の認知と行動によって少しずつ編集できるものなのだ。本書の静かな核心は、「人生を変えるために会社を辞める」という大きな決断より先に、明日の仕事の見方を一つ変えてみることにある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2026.09.03 00:00:09
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