テーマ:交通事故・・。(662)
カテゴリ:仕事を離れてふと思う
不幸にして交通事故を起こした場合,運転者に対しては刑事責任と民事責任が追求され,さらに行政処分が与えられる,ということを昨日書いた。
ところで,刑事責任と行政処分の違いがはっきりわかっていない人が多いように思う。どちらも,お国から罰のようなものを与えられるからだ。 今日の日記では,交通事故を起こした場合の話からは少し離れ,交通違反で検挙された場合の刑事責任と行政処分について書いてみる。 交通違反(例えば信号無視)で検挙されたら,交通反則キップを切られて違反点数が加算されて反則金を支払うべき納付書を渡される。これらは全て行政処分である。 道路交通法に違反する行為については罰則の規定があり,その罰則に規定された罰は本来は刑事責任。である。単に信号無視をしただけでも,理屈の上では刑事罰を与えられて前科者になるのである。 しかし交通違反は他の犯罪に比べ,数も膨大で規範に反しているという国民の意識は低い(それは決して良いことではないと思います)。 そこで交通違反に対してはまず行政処分を与え,それに従って反則金を期限内に納めた者については警察・検察が刑事訴追しないことにしているのである。 もし,自分は信号無視なんかしていないと思ったのなら,反則金を期限内に納付しなければよい。そうすれば検察庁が裁判所に交通違反事件として起訴し,裁判所で有罪・無罪を争うことになる。 なお交通違反事件では,刑事裁判になったとしても,よほど悪質な交通違反でない限り逮捕されたり勾留されたりすることはない。このような刑事裁判事件を在宅事件という。 実際にこのような裁判で無罪になっているものはある。また反則金を納めない者について検察庁が裁判所に起訴しなかった例はいくらでもある。起訴猶予になったり不起訴処分になったりしているのである(この違いについては,またの機会に書くこともあろう)。 ただ,刑事事件で無罪や不起訴や起訴猶予になっても,行政処分はなくならない。「信号無視について不起訴になったと思って喜んでいたのに,違反点数の加算はされていて免許更新の際にゴールド免許がもらえなかった。」ということはいくらでもあるのだ。 そのような行政処分を取り消してもらうためには,処分庁(例えば大阪府警の警察に検挙されたのなら「大阪府公安委員会」)に対して処分の取り消しを求めなければならないのである。 処分の取り消しをしてくれない場合には,処分の取り消しを求めて裁判所に訴えを起こす必要がある。このように行政処分の取り消しを求める訴訟を行政訴訟という。 そして,刑事裁判では無罪になったり不起訴や起訴猶予になっていたとしても,処分の取り消しを求めた行政訴訟では負けるということ,これまたいくらでもあるのだ。 何とも理解できない,という人も多いのではないだろうか。明日の日記では,この点についてさらに記載したい。 ←最後にここをクリックして下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 6, 2005 11:27:22 PM
コメント(0) | コメントを書く
[仕事を離れてふと思う] カテゴリの最新記事
|
|